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2章 23話 しのぞげれもん?

朧気に見えてくるのは奇妙な牛人間。

いくら自分の胸にコンプレックスがあるからって牛の姿に

ならないでもいいのに? それとも今年は丑年だっけかな?


「……お姉ちゃん」


「……うんだ? ワシ、おめぇのお姉ちゃんじゃねぇべぇ。

 それはそうとこんな所で寝ていたら風邪を引くべぇよ」


アリシヤと明らかに違うなまった低い声。


「誰? 誰ですかあなた?」


青に満ちた透き通るような空。そして草原のように拡がっていく緑。

あの沙耶奈ように可愛かったアリシヤの容姿が

筋肉もりもりの牛のおっさんの姿に変わっていた。


「誰だとは失礼なヤツだべ。まぁ、ワシの名前は

 ブライセンだけどお前さの名は誰だべぇ?」


「篠染玲音」


「しのぞげれもん」


「しのぞめれおんです」


「そんでそのしのぞめさんはこんな所で結界を張ってのんきに

 お昼寝だべぇか?」


「……結界?」


周りが暗すぎてよく緑が見えなかったけど明るくなった今では

まるで見え方が違う。

焚き火を中心として五芒星の形に石が置かれていて、

イルバーナで見たミミズの徘徊したような文字があちこちに描かれている。

通りでアリシヤとの訓練中に魔物たちが近づけてこなかったわけだ。


「いつまで僕は寝ていたんでしょうか?」


まだあれから余り時間が経っていなければアリシヤを追えるんじゃ?


「さーな。ワイが知る訳ないべぇよ」


「そうですか?」


もっと冷静になれ僕。仮に数分しか経ってないと仮定して

どこの行った分からないアリシヤをどうやって見つけるんだ?

僕は犬でもないからあのいい香りだったアリシヤの匂いを辿って

追跡することも出来ないし。そうだ? この牛人間のブライセンさんなら

アリシヤの匂いを嗅ぎ分けれるんじゃないだろうか?


「ブライセンさんはこの場でほのかに甘酸っぱくていい女性の香りを

 感じませんか?」


「何っているだおめぇ? まだ寝ぼけているべか?

 こんな恐ろしい森で女性の香りがする訳ねえべよ。

 ところでおめぇさんもイルバーナに用事か?」


「イルバーナってあの妖精の国ですか?」


「そうだべぇ、妖精のべっぴんさんが多いイルバーナだべぇ」


確かによく見ると巨大な大木に僕がマーキングした傷跡が

しっかりと残っていた。

情けないことに必死になってイルバート周辺をただぐるぐると

回っていただけなんじゃ……。

僕はグランドをひたすら周わる陸上選手かよ?

何だこの皮袋は? まったく見覚えがないんだけど。


「なら黒髪で短くて、胸の小さい女の子を近くで見ませんでしたか?」


直ぐさま僕の横にあった皮袋を開けると中には

ぎっしりと大量の金貨が入っていた。

……力のない僕はこのお金で仲間を雇えって戦えってことですか? 

それは余りにも育児放棄過ぎるよ、アリシヤお姉ちゃん。


「いーや。見なかったべぇ。

 ひょっとしておめぇさ、女に直ぐさま手さぁ出して愛想疲れたべぇか?

 やっぱ貧乳よりでかい乳の娘の方が包容力があっていいべぇよ」


でもこのお金は絶対に使えない。

こんな物がなくても僕はやっていけるんだってアリシヤに見せつけて

金貨を全て突き返すんだ。


「胸の小さい女の子は僕のお姉ちゃんです。

 だから異性としては全然見れなくて……」


アリシヤは沙耶奈に似ているから妹に欲情しているみたいで。

それってもう完全に兄としてヤバいヒトだろって。


「この近くでイルバーナの他に村や町はありますか?」


「マガディって大きな国があるにはあるべぇが、

 貧弱なヒトのお前さ1人の力では死に急ぐだけだべぇ。

 イルバーナの森にはレベルの高いモンスターがうろうろといるべからな」


大きなスライム、角が生えたオオカミ、ゴブリンと遭遇して逃げ回ったことも

決して夢じゃなかったんだ。


「ちょうどイルバーナの取引も終わったところだべぇから一緒行くだべぇか?

 旅は道連れ、世は情けだべぇってな。うははぁぁ」


このままここに踏み止まっていても何も始まらない。

先ずは大きな町でアリシヤの情報を集めないと。


「是非とも同行させて下さい。ブライセンさん」


最初に思っていた理想の筋書き通りだったこともあり、

断る理由もなく僕は速答するのだった。

お読み頂きありがとうございます。感謝感激雨あられです。

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作者の書くモチベーションにも繋がってきます。

この本主人公である篠染玲音のようにみんなに無視されるのが1番怖くて、

読者様の反応があるだけでどれだけ心が救われるでしょうか?

少しでも読者様の貴重なお時間を楽しい時間に変えられたら嬉しい限りです。

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