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1章 21話 元勇者アリシヤ03

気持ちだけ明るくなったような木々。

でも相変わらず周囲は暗く時間感覚も掴めない緑の空間。


「……もう直ぐ夜が明けそうね。そろそろ始めようか?」


「もぐもぐ、まだ僕は食事中なんですが?」


両手で骨の付いた通称原人肉を持ち、数回噛り付いたまさに

祝福の時間だったのに。突如鞘が飛んできたって思ったら、


「地面にある鞘を使って、私に反撃してくれる?」


そう簡単に枝を持ったアイシヤが説明すると、


「行くわよっ」


ってかけ声と同時に僕に向かって突撃してくる。


「や、やめろって。食事が終わってからでも遅くはないだろう?」


「油断大敵ってね。食事中とか誰でもリラックスしている時が

 1番隙ができて危ないのよ」


アイシヤはポコポコと容赦なく僕の頭目がけて叩いてくる。


「痛い、もう痛いって」


「なら先にアイシヤだけがご飯を食べていることがずるいって。

 まだ僕は空腹なんです。お腹がペコペコで死にそうなんです」


「また私がお姉ちゃんなのに呼び捨てにしてさ。

 教えを乞うって決定した途端にまた手の平を引っ繰り返す玲音の悪い癖は

 自覚して早めに直した方がいいと思うよ」


先生そして親に同じことを指摘されたら、腹を立てて言い返したと思う。

だけど沙耶奈に似ているアリシヤに問われるとなぜか素直に受け入れられて、


「分かったよ、アリシヤお姉ちゃん」


って頷いて納得してしまうもう1人の僕がいた。


「分かったら、私の鞘を取りなさい。

 刀を扱うには玲音にはまだ早いと思うから、

 鞘で玲音のだいたいの力量を私が調べて上げる」


「泣いても知らないぞ。アリシヤお姉ちゃん」


地面にある鞘を掴む。鞘の横には湾曲している刀もあって。

もしかしてこの刀もムラマサなんじゃ?

やっぱり間違いないアリシヤは太古の13の武器に選ばれた伝説の勇者の

1人なんだ。


「なにじろじろと私の刀を見ているのよ、気色悪いわね」


「隙あり、うりゃ、とおぅ……あれれ?」


不意を付いて、ゲームの見様見真似の動きで僕は

アイシャを捕らえたつもりだったのだけど、


「遅い、遅すぎる」


そこには既にアイシヤの姿は消えていて、

また後ろからまたポコポコと頭を枝では叩かれてしまう。


「そらそら、どうした? スフレって子を守るんじゃんかったの?」


予想以上に重たく、数回鞘を振り回すだけでもにタコが出来ているって

ぐらい汗だくで手の平がヒリヒリして染みる。


「相手に遠慮してたらナディって子は守れないよ」


「……ちょっとタイム」


「私を男だとか? 思っていた癖にっ、えーーい」


まだアリシヤは男って疑ったことを根に持っていたようで。

ストレス発散のサンドバックのごとく容赦なく僕を滅多打ちにしてくる。


「もう痛いって、もう少しおしとやかに練習しようよ」


「甘いわね、相手は玲音を殺す気で向かって来ているのよ。

 殺し合いはルールがあるスポーツじゃないんだからね」


「いつから僕とアリシヤは殺し合いをしてたの?

 これは確か打ち合いの模擬練習はずだったよね」


アリシヤの枝ラッシュの猛攻が止まり、


「……玲音は私の胸ばかり見ていたから。どうせ妹の沙耶奈さんと比べて

 『アイシヤのおっぱいって全然揺れないな』とか

 考えているって思うとだんだんとムキになってきて、

 それでついカッとなって」


「それは鞘が重たすぎて顔が上に上がらなかっただけだからっ」


それは見た目も背丈も同じでそっくりで唯一胸だけが極端に違ったら

同じ女の子として複雑な気持ちになるのも分からなくはない。

でも理由はどうあれ理不尽過ぎる。


「なら持ちにくい鞘よりもやっぱり刀を使わせて上げれば良かったね」


「それはそれで刃があるからアリシヤお姉ちゃんが危ないでしょ」


「ふーんだ。へっぴり腰の玲音の刀でこの私が斬れるわけないでしょ」


「それはさすがに言い過ぎだってっ」


まぐれでもアリシヤの顔に傷でも付けてしまったら、

もう取り返しがつかないんだ。

もしもこのアリシヤと愛が育まれ、僕が嫁として貰ってやるって言っても

冗談はたまた顔の傷の償いとして受け取られてしまう。

ギャルゲーでは攻略できるヒロインはシナリオが薄くなる可能性もあるが

多いに越したことはない。

それにアリシヤの顔に傷を付けることは沙耶奈にも

同じ目に遭わせるようで嫌なんだ。

お読み頂きありがとうございます。感謝感激雨あられです。

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作者の書くモチベーションにも繋がってきます。

この本主人公である篠染玲音のようにみんなに無視されるのが1番怖くて、

読者様の反応があるだけでどれだけ心が救われるでしょうか?

少しでも読者様の貴重なお時間を楽しい時間に変えられたら嬉しい限りです。

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