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第8話 試作型と改良型

 これははるか未来の物語。

 西暦9980年の未来に召喚されたマイは、そこで初めての実戦に挑む。

 それは、初めて聞くトライフォースでの戦闘。

 そのトライフォースを知るにつれ、そのトライフォースの可能性の奥深さに感動するマイであった。



 ここでマイは疑問が生じる。

 ユアは、三機同時に操縦するのは難しいと言っていた。

 なぜだ?

 三角形のイメージで操縦するのだから、それは一度に出来る。

 難しくはない。と思う。

 そして、このトライフォースについては、ユアに一日の長がある。

 初めて触れるマイにも気づいた事。

 これをユアが気づいていないとは、思えない。

 何か、もっと奥深いものがあるのだろうか?

「ユアは、おそらく気づいていませんよ。」

 マイの心を察して、アイが答える。

「うお、びっくりしたぁ。」

 精神が同調しているので、マイの考える事は、言葉になる前にアイに伝わってしまう。

「いい加減、慣れて下さい。」

「って言われても。」

 マイからは、アイの思考を感じる事は出来ない。アイからの情報のインストールを遡って、アイの思考を感じるのは難しい。

 ただ、なんとなく、こうかなぁ?って思う程度であった。

「なんかずるい。」

 それがマイの本音だ。

「で、なんでユアは気づいてないの?」

「ユアの機体には、投影システムが搭載されていません。」

「え?なんで?」

 機体は同じじゃないのか?

「ユアの機体は、成長に応じてカスタマイズしていく機体です。

 まだ投影システムは搭載されていないので、トライフォースについては、まだ理解していないと思われます。」

 マイの機体には、既に搭載されている。

 なのにユアの機体は成長に応じてカスタマイズだと?

 この違いはなんなんだ?


 その疑問に答えるため、アイは説明する。

「ちなみに、マイの機体の名称はシリウスαIです。」

「あるふぁーわん、つまり1号機なんだな!」

「ユアの機体は、シリウスγⅢです。」

「がんますりーって、三号機かよ。」

 マイは、自分の機体が先の番号である事に、優越感を感じる。

 が、アイの次の言葉が、その優越感を打ち消した。

「つまり、マイの機体は試作品で、ユアの機体は改良型です。」

「え、1号機ってそんな扱いなの?」


 シリウス構想。

 人体転送装置の設置を軸にした、戦闘システムの構築。

 それが出発点だった。

 人体の転送は、物質を転送させる事とは違った。

 生命体を転送させると、肉体のみの転送になり、魂がともなわなかった。

 これは、動物でも植物でも、虫でも同じだった。

 そこで、魂についての研究が進められた。

 精神と肉体との同調についての研究が進み、脱出用ポッドが実用化された時、魂と精神力を軍事利用する事も、可能となっていた。

 この時、考えうる全ての可能性を詰め込んだ機体。

 それがシリウスα1(アルファーワン)である。


 しかしこのアルファーワン、機体と魂の同調が操作不能で、乗り手を選ぶ機体となった。

 魂の波長が近い操縦士が選出されたが、うまく同調出来ず、脱出用ポッドと連動出来ずに戦死。

 そこで、魂の波長が合うものを、過去の人間に求めるようになった。この時代に、魂の波長の合う人間がいなかったのだ。


 この乗り手を選ぶ仕様を改良し、魂の波長を考慮せずに運用出来るようにした機体が、シリウスβ(ベータ)シリーズである。

 しかし、精神との連動機能がほとんどカットされたため、戦闘機としては弱体化してしまった。

 そして改良された機体が、シリウスγ(ガンマ)シリーズである。

 機体と魂との同調に幅を持たせる事で、ベータシリーズには搭載出来なかった、精神に依存したシステムを搭載出来るようになった。

 しかし、精神の波長が、ある程度同調した者にしか操縦出来なかった。アルファーワン程、シビアではなかったが。


「って、マイ。説明聞いてますか?」

 ここまでの説明をマイにするアイ。

 マイはうとうとし始めていた。

「えと、難しくて、よく分かんない。」

 マイはバカづらの笑顔で答えた。

「はあ、これくらい理解して下さい。もっと長くなる所を、半分くらいはしょったんですからね。」

 アイは、言いたい事の半分も言えなかったのにと、少し悲しくなる。

 同時に、うまく伝えられなかった自分にも、悲しくなった。

「でも、これだけは分かったよ。」

 マイはバカづらをやめ、ひきしまった顔つきでアイに言う。

「つまり、僕の機体の方が高性能てんこ盛りなんだな。」

 アイが伝えたかった事と少し違うが、そんな事も言ってた気はする。

「ですが、扱いきれない機能は、邪魔になるだけです。無い方がマシです。

 ユアの機体は、この考え方から作られてます。」

 アイは、マイが慢心しないよう、忠告する。


「使いこなしてみせるよ、分かる範囲で!」

 マイがそう答えた時、ユアとの決戦の時間がせまっていた。


 決戦用の演習場へと移動する

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