第66話 荒野のほこらへ
この作品の登場人物は、その場にいない人も普通に会話に絡みます。
初めて読むお友達には、よく分からないと思うので、キャラ紹介載せときます。
古残なお友達も、これを機に復習しましょう。
マイ
この作品の主人公。このドルフレア編ではメイドさんで、マイアミン・スケード・メドローアと名乗る。
緑のマナを使う。芽吹く命を運ぶ息吹の風のイメージで、治癒系マナを使えるぞ。
メドーラ
元は敵であったゴンゴル三姉妹のメドー。
マイ達と仲間になって行動するために、幼女の姿からマイと同じ二十三歳の姿になる。
自分を救ってくれたマイの事を、姉のように慕っている。
このドルフレアでは、メドーラ・ミツエーモ・トクナーガと名乗る。旅のお嬢さまだ。
紫のマナを使う。腐る大地とその再生のイメージで、よく分からん。
ローラス
千年前に魔王を倒したとされる、勇者ローランの子孫。
青系のマナを使う。水のマナを使うのだが、水にも色々イメージがあって、どのイメージの水なのかは、定かではない。
ミイ
行方不明になったケイの、パートナーであるサポートAI。
ケイが千年前に飛ばされ音信不通の今、ナツキの依代になっている。
ナツキ
神武七龍神のひとりグリーンドラゴンが少女に化身した姿。
その姿を顕現出来る場所が限られてるため、ミイに憑依している。
憑依状態でも、ミイの意識はナツキと同時に存在する。
アイ
マイのパートナーのサポートAI。
この場から離れた宇宙ステーションにいる。
マイが額にまいたはちまきのチップから、通信可能。
色々な情報も、インストールしてくれるぞ。
アイツウ
メドーラのパートナーのサポートAI。
アイと同様。説明同じ。
これは西暦9980年のはるか未来のお話。
惑星ドルフレアで行方不明になったケイは、なんと千年前にタイムスリップしていた。
その時代で鉱物資源を封印したケイは、千年後のマイ達に、その封印の解除を託す。
封印のほこらは三つあり、最初のひとつ目のほこらに向かう。
先行したメドーラは、何やらほこらの罠みたいなものにかかってしまったらしい。
マイとローラス、ミイに憑依したナツキの三人は、メドーラの元へと急行する。
「なんでメドーラを行かせたのよ、ナツキ!」
マイはほこらの事情を知るナツキが、メドーラを止めなかった事を責める。
「ほほほ。あの者の好奇心は、止められんわい。」
ナツキはのんびり歩きながら、マイの問いに答える。
その答えは、はじめから止める気などない事を言っていた。
「つか、もっと急いでよ!」
駆けだしたいマイに比べ、ナツキの動きはスローすぎた。
「仕方ないじゃろ。この身体、走るようには出来ておらん。」
「はい、私の身体は、走る事は想定されてません。」
ナツキの言葉を、憑依されたミイが補足する。
「ところでマイ、浮遊スクーターを使わないのは、なぜです?」
ミイは発言ついでに、聞いてみる。
「浮遊スクーター?なにそれ。」
マイは、それを知らなかった。
「アイ、あなた教えてないのね。」
マイの反応に、ミイは思わずつぶやいた。
マイ達の持つマジカルポシェット。
中が多次元空間になっているため、なんでも収容可能。
中身は、惑星上での任務を想定した品々が入っている。
ただし、その星の通貨などは入っていない。
ここに浮遊スクーターもあるのだが、そんなもん存在自体知らないマイは、それがある事すら知らなかった。
マイが取り出した浮遊スクーターに、ローラスとミイも乗る。
いわゆる三人乗りだ。
「これ、走った方が早くない?」
浮遊スクーターのあまりの遅さに、ローラスは思わず口に出す。
浮遊スクーターは重量オーバーのため、浮かぶのがやっとで、推進に使う反重力エネルギーを充分確保出来なかった。
「これでも、この身体が歩くより、早かろう。」
ナツキが言う通り、ミイの身体が歩くよりは、早かった。
「やっぱり、馬とかいた方がよさそうね。」
移動速度の遅い現状に、ローラスがぼそりともらす。
二時間あまり荒野を進むと、その先は渓谷のようになっていた。
地面が二十メートルくらい、隆起している。
その隆起は壁状に隆起していて、上空から見ると、無数の地割れが縦横無尽に走ったような地形をしていた。
それだけで天然の迷路だった。
マイ達の足がすくむ。
この迷路に飛び込む勇気がなかった。
「ほほほ、風のマナを使ってみい。」
ここでナツキがアドバイス。
ソウルブレイドで風の剣を作れというのだが、マイは一度も風の剣を作った事がない。
そんな事も言ってられる状況ではないので、ナツキのサポートを借りて、マイは風の剣を作ってみる。
マイは呼吸を整えると、大気中のイデと会話する。
イデからこの場所のマナを借りる事を許してもらう。
マイは大気中の風のマナを体内に取り入れると、自分の体内のマナと錬成させる。
そしてソウルブレイドに気合いを込める。
風の剣が出来た。
風はマイの呼吸で体内に入り、ソウルブレイドから抜けていく。
マイの身体は風の通り道になっているような、そんな感覚だ。
剣の刀身は無色で、ただ風が吹き出ているに過ぎない。
これが、剣と呼べるのだろうか?
ナツキが言うには、使いこなせば斬りたい物だけが斬れる剣になるらしい。
そして、この場所のマナを取り込む事により、この迷路のような渓谷の全貌が、はっきりと分かる。
封印のほこらの場所、そこに居るメドーラの姿。
マイは走りだす。
だが、一歩走った時点で、歩みが止まる。
風の剣の維持も出来なくなった。
ナツキは言う。
風の剣を維持しながらの激しい運動は、不可能だと。
ならば、これでどう戦えと言うのか?
風の剣が無くなった事で、迷路の全貌は分からなくなった。
だが、マイの記憶には残ってる。つか、パートナーのサポートAIのアイが、はっきりと記録した。
マイの体力の回復をまって、一行はほこらへと向かう。
マイの記憶はあいまいで、何度か道を間違えそうになるが、アイの記録は完璧だった。
ほこらにたどり着くと、かたわらの岩に、メドーラが座っている。
「メドーラ!」
マイは目を閉じて座っているメドーラを抱きしめる。
「ま、マイお姉さま?」
目を開けるメドーラだが、メドーラの顔はマイの胸の谷間に埋まってた。
「く、苦しいですわ。マイお姉さま。」
「ばか。心配させないでよ。」
涙声になるマイは、メドーラを抱きしめる腕に、さらに力を込める。
「マイお姉さま、ご、ごめんなさい。」
メドーラも涙声になる。
再会したふたりは、しばらく泣いた。
「なんでひとりで来たのよ。」
気持ちが落ち着いたマイは、メドーラに問いかける。
「ごめんなさい。ほこらが気になったから、つい。」
メドーラはうつむき加減でボソっとした声で答える。
「謝るのは、僕の方だよね。僕がしっかりしていれば、メドーラと一緒に来れたのにね、」
マイはエキシビションライブで疲れ果ててしまった事を悔やむ。
「違うわ、マイお姉さま。先走った私がいけないのですわ。」
そんなメドーラの言葉に、マイは首をふる。
「メドーラは、僕のために、ほこらの事を早く知りたかったんだよね。」
マイの言葉に、メドーラはうなずく。
その瞳から、涙がこぼれる。
「メドーラは、どうやってこの場所が分かったの?」
マイは、二番目に気になってた事を聞く。
「そうじゃ、お主はおケイの予言にはいなかった。いわば招かれざる客のはずじゃぞい。」
マイの問いに、ナツキも続く。
メドーラは、座っている岩に手のひらを当てる。
「私はただ、土のマナを感じ取っただけ。」
「そうか、そのような方法もあるのじゃの。」
ナツキは、メドーラがたどり着けた理由が分かった。
でもマイは分からない。メドーラは説明を続ける。
「ここだけマナの性質が違うから、すぐに分かったわ。
でも、帰り道が分からなかったの。
ここに居れば、マイお姉さま達が見つけてくれると思ったから。」
メドーラの言葉に、マイはメドーラを抱きしめる。
「ばか。」
マイは、そのひとことだけしか言えなかった。
「はい。ばかです。」
メドーラも、そう返すのがやっとだった。




