第59話 新たな旅の同行者
これは西暦9980年のはるか未来のお話。
千年前にタイムスリップしてしまったケイは、この星の鉱物資源を密輸者から護る事を、千年後のマイ達に託した。
その封印を解く鍵として、八極陣なる八つの技を残した。
この八つの技は、この作品がアニメ化された時、アニメ監督さんが考えてくれるだろう。
なんなら、どこぞの鬼を斬るための型を流用してもいいだろう。
ともかくグリーンドラゴンは、これらの事を友のブルードラゴンに頼まれた。
この事は、何を意味するのだろう。
ケイが残した八極陣。
これにマイも挑戦してみる。
ローラスの水の剣。ユアの炎の剣。
ならばマイは風の剣になるのだが、その想像がつかない。
とりあえず、風のマナをまとわない状態で、やってみる。
八つの技の流れは、完璧に理解出来ていた。
そして、その技ごとにふさわしい武具も、マイは理解出来ていた。
あとは、風のマナをソウルブレイドに込めるだけなのだが、マイはいまいち分からない。
これについては、グリーンドラゴンの化身した少女がアドバイスしてくれた。
風とは、大気の流れ。
風のマナを取り込むという事は、その場の大気を取り込むという事。
八極陣を行う場所によって、風の剣は性質を変える。
水や炎とは、本質が違うのだ。
と言われても、マイはなんとなく分かった気にはなっても、ちゃんと理解は出来ていなかった。
マイお姉さまなら大丈夫と、メドーラははげましてくれた。
そしてマイ達は、この場から離れる事にするのだが、グリーンドラゴンの化身である少女も、ついて行きたいと言う。
マイ達はそれを受け入れるのだが、ひとつ問題があった。
神武七龍神であるグリーンドラゴンは、顕現出来る場所が限られていた。
緑系のマナが満ちている場所限定だった。
つまりこの森の外では、顕現出来ないのだ。
そこでグリーンドラゴンは、召喚術を試みる。
召喚のための魔法陣が輝き、中からひとりの人物が現れる。
それは、ミイだった。
ケイのパートナーの、サポートAIのミイだった。
グリーンドラゴンの化身した少女は、召喚したミイに声をかける。
「我と契約して、我のパートナーになってよ。」
突然そんな事言われても、ミイも困る。
「わ、私のパートナーはケイだけです。ケイ以外と、パートナーになる気はありません。」
突然の召喚にも驚く事なく、平然と答える事が出来るミイ。
これは、マイ達のパートナーのサポートAI達と、ミイも意識の共有が出来ていたからだ。
「でも、もうケイはいないんだから、我のパートナーになってよ。」
ぱしん!
グリーンドラゴンのその言葉に、ミイは思わず平手打ち。
「ケイを勝手に殺さないで下さい!」
「ごめんなさい。」
グリーンドラゴンの化身した少女は、素直に謝った。
「あ、そうだ。」
そんなふたりのやり取りを見て、ユアは気になる事があった。
「ケイを召喚出来ないの?ミイを召喚したみたいに。」
その言葉に、少女は首をふる。
「あなたがたの言うケイとは、存在する時空間が違うのです。
これでは召喚は出来ないのです。
それに、一度召喚されてる魂ですよね?召喚されてる者の二重召喚も、出来ません。」
少女の言い方に、引っかかるモノをメドーラは感じたが、あえて言わなかった。
「つまり、ケイの召喚は出来ないのか。これで会えるかもって思ったのに。」
ユアはがっくりと肩を落とす。
「あれ、そう言えば。」
今度はマイが、何かを思い出す。
「パートナーになるには、髪の色が同じじゃないと駄目じゃなかったっけ?」
マイは以前、マイのパートナーのサポートAIのアイと、メドーラがパートナーになった時の事を思いだした。
サポートAIのミイの髪の色は、青だ。
対してドラゴンの化身した少女の髪の色は、緑がかった黒だ。
「分かった。髪の色を青にすればいいのね。」
少女は化身に使うマナを操り、髪の色を変える。
緑がかった黒が、青みがかった黒になる。
「やっぱり駄目か。」
それを見てマイは言う。
「ま、まだです。我は、がんばります!」
少女はさらに気合いを入れる。
でも、青みが強くはなったが、基本的には黒髪だ。
「髪の色が青でも、駄目なのです。」
ここでミイは、真実を暴露する。
「え?メドーラの時は、ジョーがそう言ってたよ。」
マイは、メドーラをアイのパートナーにした時の事を思い出す。
確か、黒髪のサポートAIがアイだけだから、とかなんとかだった気がする。
「あの、ちょっと申し上げにくいのですが。」
そんなマイに、ケイは意見する。
「私とアイとでは、性能が違うのです。私には、複数人とのパートナー契約は出来ないのです。」
つまり、ミイがその気でも、グリーンドラゴンの化身した少女とはパートナーになれないのだ。
こんなにダラダラ引っ張っておいて、なんだが。
「なんだ、それから最初から、こうすればよかったのね。」
そう言うと少女はその場に倒れる。
マイは慌てて少女の身体を抱き起こすのだが、そんなマイの肩にメドーラは手を置いて首をふる。
メドーラには、何が起きたか分かったようだ。
「この身体を借りればよかったのよ。」
その声は少女の声だったが、その声はミイから発せられる。
「え、乗っ取ったの?ミイの身体を。」
マイはグリーンドラゴンの発言に驚く。
「いいえ、ただ借りてるだけです。ね。」
「はい、不思議な気分です。私の身体に、別の意思が同居しています。」
ミイは、現状を答えてくれた。
「じゃあ、この身体はどうなるの。」
マイの抱きかかえている、少女の身体。
だが、その身体は蒸発して消える。
「我ら神武七龍神は、大気中のマナを利用して姿を具現化してるにすぎません。
だから、こうやって身体を借りる事も出来るのです。
本当はあの身体、気に入ってたんですがね。」
つまり、少女の姿は仮の姿。
その姿を固定して歩き回るため、ミイとパートナー契約したかったのだ。
この森に満ちている、風系のマナ。このマナの元でしか顕現出来ない少女の姿も、サポートAIのミイを介する事で、どこでも顕現可能になる。
サポートAIのミイのそば限定ではあるが。
グリーンドラゴンと行動をともにする為に、随分と文面をさいてしまった。
やはり美少女キャラは、準レギュラー化しなければならない。
そして、問題はまだあった。
「ねえ、あなたの事は、なんて呼べばいいの?」
その問題とは、マイのこの言葉に集約される。
化身した少女だの、グリーンドラゴンだの書いてきたが、やはり名前はほしい。
「我に名前などない。すきに呼ぶがいい。」
グリーンドラゴンのその言葉に、マイは少し考える。
「そうね、グリーンドラゴンだから、みどり。」
「ナツキ!」
マイの言葉にグリーンドラゴンがかぶせた。
「グリーンドラゴンだから、みどr」
「ナツキ!グリーンドラゴンだから、ナツキ!」
グリーンドラゴンは、その名を譲らない。
「そうね、グリーンドラゴンだから、ナツキね。
よろしくね、ナツキ。」
こうして、新たな仲間が加わった。




