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未来世界に戦争する為に召喚されました  作者: 堕天の翼のあさぼらけ
宇宙召喚編

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第30話 未来の代償

 これは西暦9980年のはるか未来のお話。

 マインの部屋へお泊まりに行ったマイ。

 そこにあったボディクリーナーを堪能してしまう。

 マイの時代には無かったこれって、バリバリの禁則事項なんだからね。

 マイが知ってはいけない事だったんだからね。

 とりあえず、アニメ化されたらどう表現されるか、楽しみにまとう。

 戦闘の報酬で手狭になったマインの部屋も、ジョーによって改築されている。

 この区画の部屋割りは、ジョーの権限によって、自由に増改築が出来るのであった。



 それからふたりは、色んな事を話した。

 この時代に召喚された後の事。

 召喚される前の事。

 それは、今まで誰にも話した事もなかった事だった。

 そんなマインの秘密の事まで聞いたマイは、自分も言うべきか、迷った。

 中身がおっさんである事を。

 と言っても今のマイには、今の性別の方がしっくりきている。

 もしかしたら、おっさんであった事は、何かの勘違いではと思えるほどだ。

 マイは今までのマインとの話しから、慎重にきりだしてみた。

「あーあ、マインが男だったらよかったのに。」

「え?」

 マインの笑顔が、ぴたりと消える。

「やめてよマイ、私が男嫌いだって分かってるよね。」

 マインは両親に虐待されて育った。見かねたおばあちゃんに引き取られた。

「ごめん、マインが男だったら、いい恋人同士になれたのにって思ったから。」

「やめて!そんな訳ないでしょ!」

 マインはマイの言葉を即座に否定する。

 だが、マイに対しての理解も示す。

「そうよね、男嫌いなのは私だけ。マイは違うもんね。マイが誰を好きになっても構わない。

 でも、私の前で、男の話しはやめて。」

 マインは震えている。

「変な事言ってごめん。」

 それ以上マイは言えなかった。


「もし僕が男だったら、マインと仲良くなれなかったのかな?」

 喉まで出かけたその言葉を、マイは口にする事が出来なかった。

 そしてこの事は、生涯絶対マインには言わないと、心に固く誓った。

「安心して、僕は女だよ。」

 マイはそう言うと、震えるマインの手に手を重ねる。


 ふたりはいつしか、眠りについた。

 同じベッドで。

 朝がくると、先にマインが目を覚ます。

 枕元には、ミサとアイが立っていた。

 マインは思わず跳ね起きる。

「ど、どうしたの、ふたりとも」

 上半身を起こしたところで話しかけるマイン。

 その口を、アイがふさぐ。

「静かに、マイが起きちゃうでしょ。」

 マイを見ると、ちょうど寝返りをうって、反対方向を向くところだった。

「先に起きたのがマインで、助かったぜ。」

 ミサはそう言いながら、マインの額に鉢巻をしめる。

 これでマインの思考回路はミサとリンクする。

「マイン、マイに変わった事はなかったよね?」

 早速アイが問いかける。

「変わった事って、特にないよ?」

 マインは昨晩の記憶を遡って答える。

「いや、あったぜ。」

 マインの記憶を読んだミサが答える。

「翻訳機能が機能不善を起こしてる。まだマイには、鉢巻外すのは早かったって事だな。」

「マイ。」

 アイは涙ぐむ。

「でも、今マイが無事でいられるのは、マインのおかげなのね。ありがとう、マイン。」

 そんなお礼を言われても、何の事だか分からないマイン。

「ああ、マインの機転がなかったら、ヤバかったぜ。

 それにしてもジョーの野郎、こうなる事は分かってただろ。何考えてるんだ、あいつは。」

 ミサの言葉に、マインも事の重大さがなんとなく分かってきた。

「ねえ、あの時マイが翻訳出来なくなっていたら、どうなっていたの?」

「魂の拒絶が起きるわ。」

「魂の拒絶?」

 マインはアイの言葉を、おうむ返す。

「魂が有り得ない事って認識しちゃうと、この時代にいられなくなるんだ。」

 ミサがマインに分かるよう、説明し直す。

「それって、マイが元の時代に帰っちゃうって事?」

「ああ、その場合、今頃物言わぬアバターが転がってた事だろうぜ。」

 ミサはマインの言葉を補完する。

「マイがいなくなったら、マインはレドリアに捕まるだけだ。

 何考えてるんだ、ジョー!」

 ミサは吐き捨てる。

 涙ぐむアイを見て、マインは思った。

「あやうく、マイが五人目の戦死者になるとこだったんだね。」

「十人目よ。」

 アイはそう返す。

「おい!」

 ミサも、マイが起きないよう、小声で叫ぶ。

「ミサも知ってるでしょ。私には非公式なパートナー含めたら、マイが十人目だって。」

「だけどあれは、召喚とは呼べないだろ。」

「でも、この時代に召喚した事にはかわりないわよ。」

 アイは過去のパートナー達を思い出し、涙があふれる。

「どう言う事?戦死者は四人じゃなかったの?」

「アイのパートナーは、ほとんどが乳幼児で死んだ魂だったんだよ。」

「え?」

 マインの問いにミサが答える。

「そんなガキを、戦闘に出せるわけないだろ。それに戦死した四人だって、全員十歳以下のガキだ。いくら魂の波長があった所で、何が出来る?」

「今はやめましょう、その話しは。」

 アイは、自分の代わりに怒ってくれるミサが嬉しかった。

 でも今はマイの事が心配だ。以前の九人の召喚者の事も忘れてはいけないが、今はマイの事が心配だ。

「マイは特別。そうか、そう言う事だったのね。」

 マインは、以前アイが言ってた言葉を思い出す。

「ねえ、ついでに聞いておきたいんだけど。」

 マインはアイに尋ねる。

「マイって本当は男なの?」

 アイは一瞬ピクつく。

「男?アバターが女なのに?」

「ええ、不思議よね。私にはそんな気がしてならないわ。」

「違うと言っても信じてもらえないみたいな言い方ね。」

「本当の事なら、信じるわ。」

 マインの口調は、アイに男だと言わせたい口調だった。

「おいおい、アバターが女なんだぜ?アバターはその魂が二十三歳の姿を再現してるんだ。女以外あり得ないだろ。」

 アイがどう言おうが、マインは信じないと思って、代わりにミサが状況を説明する。

「そうね、今はそう言う事にしておきましょう。もしマイが男だったら」

 マインはその続きをアイの耳元でつぶやく。

「私がマイを殺すわ。」

 アイはマインを睨みつけたい感情がこみあげてくるが、その感情を遮断する。

「じゃあ、代わりに答えてほしい事があるんだけど。」

 マインは、次の質問をしようとする。

「おい、もういいだろ。今はそれどころじゃ」

「いいわ。」

 ミサが質問をやめさせようとするが、アイはそんなミサを止める。

「マインが機転を効かせなければ、マイはここにはいなかった。

 マインには、マイについて納得いくまで聞く権利があるわ。」

 アイはマインの質問を待つ。

「ありがと。」

 マインは先に礼を言う。そして問う。

「なんで、マイは記憶が曖昧なの?」

「それは」

「私は、アイの口から聞きたいの!」

 聞くまでもないその答え。

 ミサが思わず答えようとするが、それをマインが制止する。

「私が言っても信じてもらえないみたいだけど。」

「真実だったら、私は信じるわ。」

 マインのその言葉で、アイも答えを言う。

「アバターは、二十三歳の姿を再現しているわ。つまり、二十三歳の時、毎日何をしていたのか、何を思っていたのか。その記憶がないと、召喚された時の記憶は曖昧なのよ。」

「ふーん。」

 アイの答えに、マインはニヤリと笑う。

 何か納得いかない感じだ。

「じゃあ、マイは実際は幾つなの?」

「さあ?」

 その問いに、アイは答えられない。

「二十三歳の頃の記憶なんて、よく覚えてない。それくらいの年齢なんじゃないの?」

「ふざけないでよ!」

 アイの答えに、マインは怒鳴る。

「おい、マイが起きちまうだろ。」

 ミサがそう注意し、マイの方を見る。

 マイは相変わらず、向こうをむいて寝ている。

「なんでそんなマイを召喚したのよ?今まで九人も召喚したんでしょ?ならいい加減諦めなさいよ。」

「それは、」

 マインの涙ながらの訴え。それに対する答えを、アイは持ちあわせていない。

「マイン、言い過ぎだ。シリウスアルファーワンのパイロットは、絶対召喚しなければならないんだ。」

 アイの代わりに、ミサが答える。

「おかしいよ、そんなの。マイ、絶対死んじゃうじゃん。ちゃんと二十三歳で召喚してよ。

 昨日話してて、マイは最近の事何も覚えてなかった。召喚された前日、何をしてたのか。何を食べたのか。誰と何を語ったのか。

 私は覚えてるよ。でもマイは違った。何も覚えてない。

 ねえこれ、何が違うの?今までの九人と、何が違うの?

 ちゃんと二十三歳で召喚してよ。

 かわいそうだよ、マイが。かわいそうだよ、アイが。」

 マインのその言葉に、アイも涙があふれる。

「ありがとう、マイン。マイは絶対死なせない。私が絶対死なせないわ。」

 アイはそう礼を言うが、マインは信じない。

「嘘よ。絶対死んじゃうわ。」

「マイン、もうよせ。」

 食い下がるマインを、ミサがたしなめる。

「これは、アイとマイの問題だ。私達が口出す問題じゃない。」

「うん、分かったよ。アイ、絶対マイを死なせないでね。」

「はい、死なせません。私も、もう二度とあんな思いはしたくない。」

 マインの言葉に、アイの涙が止まらない。

「マイ、あなたも絶対死んじゃダメだからね。」

 寝ているマイにも、声をかける。

「うん、僕は絶対死なないから。」

 マイは寝ながら、背を向けたまま答える。

 驚く一同。

「え?マイ起きてたの?」

 アイはマイの額に鉢巻を巻こうとするが、マイは拒否する。

「ごめん、今はつけたくない。」

 これでアイは悟る。こいつ、最初から起きてたな。

「いつから起きてたのよ。」

 マインは当然そう尋ねる。

「言いたくない。」

 これがマイの答え。

「言いたくないって、まさか、男だったら殺すって頃には起きてたの?」

 マイは背を向けたままうなずく。

「そ、それは言葉のアヤってヤツ?忘れて、ね?」

「マインがそう言うなら、忘れるよ。」

 マインが納得するならと、マイはそう答える。


「マイが起きたところでなんだが、問題発生だ。」

 マイの狸寝入りに困惑する中、マインの記憶を探っていたミサが告げる。

「禁則事項に触れてやがったぞ、こいつら。」

「禁則事項って、なにしでかしたのですか?」

 ミサの言葉に、アイが問う。

「ボディクリーナーを使いやがった。」

 ボディクリーナー。この言葉にマインの目が輝く。

「アイ、ボディクリーナーよ。マイも気に入ってたから、今度の報酬でマイにあげなさいよ。」

「マイン、それが禁則事項なんだよ。」

 マインの提言を、ミサがたしなめる。

「なんでボディクリーナーが禁則事項なのよ?生活必需品でしょ?

 これ禁止されたら、お前の時代の服が無いから裸でいろって言ってるようなもんでしょ。」

 マインはそう反論する。

「マイの時代には無い技術だから、問題なんだよ。」

 ミサもそう付け加える。

「じゃあ、マイはシャワーなんかで身体洗えっての?あんなの動物園でしか見た事ないんだけど。

 マイの時代は、動物以下って事なの?酷くない?」

 マインは、あくまで反論する。ボディクリーナーは最低限の生活必需品だからだ。

「マイン、もういいから。」

 マイは起き上がって、そうマインをとめる。

「もういいって何よ。こいつらマイの事バカにしてるのよ。動物以下って。」

 バカにしてるのはマインだろと誰もが思ったが、口にはしなかった。

「僕の時代にあった技術なら、問題ないだろ?」

「ええ、そうなのですが。」

「お前の時代にない技術だから、問題なんだろ。」

 マイの発言に、アイとミサがそれぞれ反論する。

「確かこれ、大阪万博にあった気がするよ。」

「本当ですか、マイ!」

 マイの発言に、アイが迫る。

「早く鉢巻しめて下さい!」

「普通に検索すれば出てくるでしょ?」

「そんな超古代の些細な出来事なんて、残ってる訳ないでしょ!」

 マイは渋々鉢巻を巻く。

 アイがマイの記憶を探る。そして見つける。

「ぷ、全然違うじゃん。」

 アイは思わずふきだす。

「じゃあ、まずいぞ。ふたりとも罰を受けるぞ。」

 ミサは心配するのだが、

「いえ、これで押し通りましょう。これも確かにボディクリーナーだわ。」

 アイは、強引に押し通す事にした。

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