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第13話 星間レース開催

 これは西暦9980年のはるか未来のお話。

 この時代に召喚されたマイとユアは、宇宙戦闘機での模擬戦を終えた。

 負けてしまったユアは、先輩としての威厳を保つため、今度はソウルブレイドでの戦いを提言するのであった。



「さあ、勝負よ、マイ!」

 ソウルブレイドの剣を構え、マイをみすえるユア。

 マイもソウルブレイドの刀を左腰の辺りに左手で持ち、右手を柄にそえる。

 で、これから勝負って時に、マイの頭に疑問が浮かぶ。

「これって、やられても平気なの?」

「大丈夫、斬られた瞬間に、脱出用ポッドのシステムが作動するから。」

 ユアはそう言いながら、ジリジリ間合いをつめる。

「なら、問題ないな。」

 マイも、膝を落として右手で刀の柄を握る。


「ちょっと待て!」

 ここでメカニックマンのジョーが止めに入る。

「確かマイの脱出システムは、まだソウルブレイド戦には対応してなかっただろ。」

「うーん、、」

 ジョーの言葉に、マイのサポートAIのアイは考えこむ。

 チーン。答えが出た。

「まだですね。ソウルブレイド自体、教えてませんでしたから。」

「え?そうなの?」

 その答えに、ユアの戦う気が失せていく。

「じゃあ、戦えないじゃん。」

 ユアのソウルブレイドの剣が消え、普通のクダに戻る。

 マイも、ソウルブレイドの刀と鞘を、普通のクダに戻す。

 張りつめてた空気も、元に戻る。

「そうよね、戦ったら死んじゃうもんね。」

 青髪のショートカットの召喚者が、安堵してそう言った。

「殺し合うって発想が、物騒なのよ。」

 金髪のツインテールの召喚者はつぶやく。

「やってもよかったと思うけどな。」

 誰にも聞こえないような小声で、銀髪のロングヘアの召喚者はつぶやいた。


「さて、マイの歓迎会?も済んだ事だし、次の任務について、説明するぞ。」

 唐突にジョーがきりだした。

「ちょっと、あんな勝負で、私は認めてないんだけど。」

 金髪のツインテールの召喚者がそう口をはさむ。

「今度、居酒屋予約しといてやるから、今は我慢してくれ。」

「ほんと?」

 ジョーの提案に、金髪の召喚者は目を輝かせる。

 これでやっと、ジョーは次の任務について、話す事が出来る。

 話しもやっと進められる。


 次の任務は、星間レース。

 新たに発見された恒星系の開発権を賭けた、三国によるレースである。

 三国とは、この時代の三つの陣営である。

 ブルレア連邦

 グリムア共和国

 レドリア合衆国

 この三つで、広大な宇宙を分割統治していた。

 何かにつけて、星間戦争を繰り広げていた。

 今もこの瞬間、複数の場所で争いが起きている。

 ちなみにマイのいる陣営は、ブルレア連邦である。

 それぞれの陣営から、三名でひとチームの代表者を出す。

 レースは恒星系の外周部からスタートし、五つの惑星の北極点に設置したゲートをくぐり、その恒星系の中心の太陽の北極点のゴールにたどり着く。

 レースではあるが、交戦も許されている。

 代表者三名のうち、ひとりでもゴールにたどり着けばいい。

 誰かがゴールしたら、レース終了。

 他の陣営ふたつの代表者を全滅させても、ゴールにたどり着かなければ、勝利は認められない。

 三つの陣営が全滅すれば、無効試合になる。


 ラウンジの円形のテーブルの上に、この恒星系の天球儀がフォログラフとして浮かぶ。

 スタート地点は、恒星系の外周部を等間隔に三等分した三つの地点。

 その三つの地点から、三つの陣営の代表者がスタートする。

 つまり、一番外側の惑星の近くからスタートした陣営が、有利と言える。

 このスタート地点は、この恒星系に対しての発見や調査といった、いわば貢献度みたいなもので決められた。

 マイのブルレア連邦は、一番不利な位置からのスタートだった。

 そして、代表者三名は、誰なのか。


「まずひとり目は、マイに行ってもらう。」

 ジョーはマイの名をあげた。

 なぜ僕が?と疑問に思うマイ。それを察したジョーが続ける。

「今回は、負けが決まったレースだ。だから、マイに経験積んでもらうのに、ちょうどいい。

 マイ、思いっきりやってこい!」

「はい!」

 そういう事ならと、マイは元気よく返事をした。

「あとのふたりなんだが、」

「はい、はい、はーい、私やりたいです!」

 ジョーが言い終わる前に、青髪のショートカットの召喚者が手を上げる。

「ケイか。まあ、誰でもいい事だし、ふたり目はケイで決まりだな。」

「えー、誰でもいいって、その言い方は酷いよ。事実だけど。」

 こうしてふたり目は、青髪のショートカットの召喚者、ケイに決まる。

 ケイはマイの近くに駆け寄り、マイの両手をガッチリと握る。

「私はケイ。よろしくね、マイちゃん。」

「マイちゃんって、マイでいいよ。」

 中身おっさんだし。と続けようかと思ったけど、やめておいた。

「分かったよ、マイちゃん。で、こっちが私のパートナー、ミイよ。」

 ケイは、自分の後ろに立つサポートAIを紹介する。

 外見は、マイのサポートAIのアイと同じく、グラマラスな外見。

 そして同じ顔。唯一違うのは、髪の色が青髪である事。長さは同じロングヘアだが。

 ちなみにアイの髪は、黒髪である。

「よろしく。」

 そう言ってミイは頭を少し傾ける。

「よ、よろしく。」

 マイもまねするように、頭を少し傾ける。


「さて、あとひとりだが、」

 そう言ってジョーは、残りの三人に目を向ける。

「私、パス。」

 ジョーと目があった金髪のツインテールの召喚者が、拒否の意思を示す。そして、マイを指さして言う。

「私、あいつの事、認めてないから。あいつと一緒なんてごめんだわ。」

「私もパスだな。」

 銀髪のロングヘアの召喚者も、拒否の意思を示す。

「仲間のひとりでも認めていない者とは、私は組めないからな。」

「じゃあ、残るは私だけじゃん。」

 そう、残ったのはユアだけだった。

「消去法で私、ってのは気にくわないけど、今度こそ、マイをぎゃふんって言わせてやるわ。」

 同じチームなのに、どうやるの、それ?とマイは思った。

「あ、私、あんたの事も、認めてないからね?」

 金髪の召喚者はユアに言いかける。

「なに?」

 ユアは金髪の召喚者をにらむ。

「あんなヤツに負けるんですもの、認められるわけないじゃん。」

「じゃあ、あんたを倒せばいいんだな?」

 ユアの眼光の鋭さが増す。

「勝負してあげるわ、あんたの好きなソウルブレイドでね!」

 そう叫ぶと、金髪の召喚者は両手にソウルブレイドを展開。


 1メートル程の剣に、その左右に30センチほどの剣。

 三叉のその剣は、「サイ」と言う武器に似ていた。

 サイは三本の棒の様な武器だが、金髪の召喚者のそれは、三叉の剣だった。

 それを左右の手に一本ずつ。

「あんた、私に勝った事、あったっけ?」

 ユアもソウルブレイドの剣を展開した。


 ユアの展開するソウルブレイドの剣。

 それは、マイと対戦しようとした時より、少し大きかった。

 そしてもう一本、短い剣も展開させた。

 つまり二本。

 マイの時とは違い、今度のユアは本気だ。


「ちょっと待て、お前たち!」

 盛り上がるふたりを、メカニックマンのジョーが止める。

「今はレースの説明中だ。勝負するなら、後にしろ!

 言っておくが、おまえらのために整備なんかしないからな。

 ケンカするんなら、おまえらで勝手にしろ。」

「ふん!」

 金髪のツインテールの召喚者は、ソウルブレイドの剣を収める。

 そして部屋を出ていった。

「私には、関係ないミッションみたいだからね。ここでおいとまするわ。」

 そう言って金髪の召喚者と、彼女のサポートAIは部屋をあとにした。

 もうひとり、このレースに参加しない銀髪のロングヘアの召喚者は、部屋に残った。


 ジョーは、星間レースの説明を続ける。

 このレースの開始は、太陽を中心にグランドクロスを描く時に開始となる。

 それは、あと155時間後だった。つまりあと六日と半日。

 いつつの惑星の配置は、次の通り。

 太陽を中心として

 零時方向に、第一、第三惑星。

 三時方向に、第二惑星。

 六時方向に、第五惑星。

 九時方向に、第四惑星。


 マイ達ブルレア連邦は、一番不利な位置からスタート。つまり一番外周の第五惑星から遠い場所、零時方向からのスタート。

 貢献度が高く、一番有利とされるグリムア共和国は、第四惑星とも近い、八時方向からのスタート。

 残るレドリア合衆国は、四時方向からのスタートだった。


 コースどりとして、

 グリムア共和国は、第四、第五、第二、第三、第一惑星の順に廻る事になるだろう。

 レドリア合衆国は、第五、第四、第三、第二、第一惑星と、数字順に廻る事が出来る。

 ブルレア連邦は、どう廻るべきだろうか?

 第三、第四、第五、第二、第一の順になるのだろうか?

 それとも、第三と第四との間に、第一をはさむべきか?


 どのみち注目点は、第五、第四惑星の間で、グリムアとレドリアが鉢合わせになる事だ。

 ここで共倒れにでもなってくれたら、マイ達のブルレア連邦にも勝機がある。

 それぞれの代表者が交戦的か、純粋にレースをするタイプか。

 それが公表されるのは開始の72時間前、つまり開始の三日前で、今から三日と半日後である。


 それまでの時間、訓練にあけくれるか、三人でじっくり作戦を練るか。好きに過ごせって事で、解散となった。

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