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残念美人である貴族令嬢は婚姻を望んでいます  作者: 花朝 はた
第三章 残念美人は幸せな婚姻をする
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残念美人は婚約者と協議する

申し訳ありません。遅くなりましたが、リーディエの婚約を決める回です。ですが、どうしてか、なんだかへんてこな回になりました・・・。

 皆さま、ごきげんよう。

 私はリーディエ・シュブルトヴァー男爵です。


 今は王都ブラホスラフにあるシュブルト領タウンハウスの応接室に座って居ります。

 目の前には私が婚約者になっていただこうと考えているラドヴァン・ベチュヴァーシュ様が座っておられます。

 先程贈り物である薔薇の花束と、ブーゲンビリアの花を自ら手渡されました。私の顔は引きつってはいなかったでしょうか?引きつっていなければ良いのですが。

 ちなみに、こういう時には、私の隣には仏頂面の大伯父様がいるはずなのですが、私が起き上がった頃から、もう王都には留まりたくないと言い出しておられましたので、おりません。今はイルジーを使いシュブルト領に帰る準備をされております。


 『・・・リーディエ、お前はもうこのシュブルト領の主だ。お前の側にわしのような老いぼれが居ては、わしのためにと恩情をかけ、行く道を間違えるやもしれん。わしはもはや居ない者として何事もお前の考えのまま、シュブルトを導いて行ってくれ』


 そう言った大伯父様ですが、なぜか相当疲れたような表情をしています。実のところ、前にも同じようなことを言い出しておられたのですが、そう言いながらも、これまでは私と一緒に居て、行動を共にしておられました。それがもう楽になりたいと言い出しているのです。


 まあ確かに私が大伯父様の義理の子となり、家督を譲られて領主となったことを内外に交付しましたし、さらには正式に国王の前でお披露目も行っております。

 実のところ、私の主導で特産物の開発を行い、それが国内に流通し始め、売れ行きも案外好調となったため、ベェハル国の中では有数の領地として知られてきたところです。それにこのことは秘密なのですが、私が領内から集めた情報から、シュブルト領を代表するような、さらなる特産品の目星もつけました。あと、弱いところがあるとすれば、国外の知名度でしょうか。

 ただし、我が領は当たり前ですが、軍事での強さでは有名です。私は軍事面ではなく産業面を重視しているため、軍事面以外の知名度を上げたい私としては、更なる特産品を国外へ輸出してシュブルトの名を上げようと考えております。

 そうなると現在のように大伯父様が意思決定に係っているままでは、時間がかかると言うことも事実なのです。大伯父様もその点を認識しておられるため、御自分はシュブルト領に戻ると同時に引退をしたいとのお考えなのだと私は思っております。

 ・・・それが私が熱を出して寝込んでいるときに、秘密裏にどこか北の貴族の家から来た使いと会っていたとしてもですが・・・。


 あ、長々とズレたお話をしてしまいました。

 目下の私の懸念は、今、この目の前のラドヴァン・ベチュヴァーシュ様をどうしましょうかということでした。


 現在のところの私の行動規範は、人については我がシュブルト領の利益に貢献してもらえる方でしょうか、という点です。

 その点では、公爵家の嫡子なのですから、婚姻という申し入れは侯爵家だけではなく、わがシュブルト家にとっても貢献するはずなのです。

 まあ、そうですね、シュブルトの利益とならないのなら、私と婚姻したとしてもシュブルト領には足を入れないようにさせていただきましょう。そして私も、自分から望んでベチュヴァーシュ公爵領には足を踏み入れるつもりはありません。


 「・・・何を考えておられますか?シュブルトヴァー男爵」


 私が何も言わないので、明らかにいぶかしむようにして尋ねて来られます。


 「・・・」


 「・・・私に見とれてるわけではなさそうですね。先ほどから私を見てはおられるようですが」


 ラドヴァン・ベチュヴァーシュ様の戯れの言葉に、私は肩を竦めて見せます。


 「・・・ラドヴァン・ベチュヴァーシュ様がなぜ、シュブルト家のタウンハウスに来たかですね」


 「ふふふ・・・」


 私が無表情でそう答えましても、ラドヴァン様はニヤニヤしているのです。底の浅い悪党が誘拐がうまく行きそうで喜んでいるとしか見えないのですが・・・。


 「ラドヴァン・ベチュヴァーシュ様。そのお顔ですが、誘拐が成功しそうな悪党がにやにやしてるだけに見えます。もう少しそのお顔を引き締めていただけませんか。そのような表情ですと、なかなかの目麗しいお顔がみっともないものに見えてしまいます」


 私が眉を寄せてラドヴァン・ベチュヴァーシュ様を見ながらたしなめたところ、一瞬ラドヴァン・ベチュヴァーシュ様は目を見張りましたが、なぜかひどく気落ちした表情になって一度肩を落としました。


 「・・・あなたは私が笑ったところを見て、それを腹黒いとかニヤニヤしているとか言うのはなぜですか。これでも私はあなたに求婚しているのですよ。その私が、求婚した相手に会えることが嬉しく思うとか、あなたはそう考えたりはしないのですか?」


 「私に会えてうれしい・・・ですか?そのようなことを考えたこともなかったですね。というか、私に会えてうれしかったのですか。あなたはそのような考えだったというのですね。初耳ですね・・・。これは少し考えなくてはなりませんね・・・」


 最後のところは呟いたつもりでしたが、この王都ブラホスラフのシュブルト家のタウンハウスの応接室は広くなく、私の隣に立つ執事のロマンはさすがに動くことはありませんでしたが、後ろに控える護衛のガリナ・チェルヴェニャーコヴァーが堪え切れなかったのでしょう、体を動かします。

 私の言葉にガリナは呆れたのかもしれません、ため息を漏らしています。


 「・・・御屋形様、僭越ながらよろしいでしょうか?」


 私の隣に立つ執事であるロマンが声をかけてきます。


 「・・・ロマン・・・。何かしら?」


 座ったままで私がロマンを見上げます。


 「・・・ラドヴァン・ベチュヴァーシュ様は、御屋形様とは違い考え方が普通のお方だと思われます。ですから、求婚相手に会いたいと思われるし、目の前に求婚相手がいれば緊張するでしょう。笑うこともあると思います。

 ラドヴァン・ベチュヴァーシュ様は求婚者を前にして嬉しい気持ちになられたのだと推測致します。ですからにこやかになること自体、問題ないことだと思うのですが」


 「・・・嬉しいから笑うと言うことですか。決して腹黒いわけではないというのですか。ですがロマン、・・・ラドヴァン・ベチュヴァーシュ様の笑顔はなんだかにやにやしているように見えるのですよ。決して私に会えてうれしいとかの表情ではないように思うのですが」


 「・・・どうしてそうなるんだ・・・」


 呟く声が聞こえましたよ。もう少し小声で言ってもらえないでしょうかね。


 「まあ、どのみち私からラドヴァン・ベチュヴァーシュ様に手紙を」


 「ラドヴァン」


 「・・・はあ?」


 言葉を遮るようにラドヴァン・ベチュヴァーシュ様が短く口を開きます。


 「私の名は、ラドヴァンだから、あなたもラドヴァンと呼んでもらえませんか。言いにくいでしょう?ラドヴァン・ベチュヴァーシュと続けると」


 「・・・そうでもないのですが、まあ、そう呼べと言われるのでしたらラドヴァン様とお呼びしましょう」


 「そうして貰えると有り難いですね」


 ため息をつく私です。


 「はあ、・・・面倒なものですね。婚姻をするということは」


 なぜか、ラドヴァン様からジトリとした目で見られます。


 「・・・あなたは何のために、王都に来たのですか、シュブルト男爵?」


 「・・・それを言われますと、私も少し反省いたしますわ、ラドヴァン様。

 確かに当初の目的は、私のシュブルト男爵の襲名披露の夜会に参加することでした。まだ理由があるとすれば、私は継いだシュブルト領を次代にさらに引き継ぐための、私のお相手を探しに王都に来たという側面もありましたかと」


 さすがに目を伏せて、ラドヴァン様から表情を隠す私です。


 「・・・そこは重要なことなのではないのですか?」


 ラドヴァン様はため息をつきながら苦笑いのまま、私を見ます。


 「・・・まあ、いいでしょう。あなたのご家族からは、あなたの呼び名を教えていただいております。その名の通り、あなたの今の思考は妙な方向に行っていると思います」


 「・・・」


 誰ですか、私の呼び名を教えたのは。ヴィーテクでしょうか。

 あ、そのようなことより、呼び名って何でしょう?脳足りんでしょうか・・・。


 「ですが、私はあなたの領地を豊かにしようとする態度の前にはそんなことは些細なことだと思っているのです。自分ではない領民を第一に考えることは貴族として好ましいものだと思います。

 私はそんなあなたの領民のためを思っての施策について、出来るだけ側に居て手助けをしたいと思っています」


 「・・・」


 なぜか真面目な表情になっていくラドヴァン様の様子に、私は戸惑っています。これはひょっとして、もう一度でしょうか・・・。


 「リーディエ・シュブルトヴァー男爵」


 ラドヴァン様の呼びかけに私はラドヴァン様を見返します。


 「わたしと結婚してください。一年のうち冬の間だけの夫婦生活となるのもかまわない。シュブルトという名の恩恵が得られるのならば」


 私は、随分真っ正直な告白に、笑みを漏らしてしまいました。


 「・・・幾つかお話しておきたいことがあるのです」


 「なんでしょう?」


 「・・・私は公爵夫人となるわけではありませんが、よろしいですか。もちろん公爵家に入る子を生むつもりですが、優先するのはシュブルトの跡取りです」


 「・・・わかりました・・・」


 「・・・第一子はシュブルトの跡取り、第二子が公爵家の子、第三子以降はシュブルト優先で決めることにしたいと思いますが、それは大丈夫でしょうか?」


 「・・・」


 「・・・認められないのなら、そう仰っていただけますか」


 「・・・いえ、認められないのではありません。ただわが縁者が何というか・・・」


 「・・・認められないとその縁者が言われるのなら、婚姻はなかったことにしましょう」


 「・・・あなたはそれでよいのか?」


 「ええ、構いませんよ。自分で言うのもなんですが、私と婚姻するということはプシダル国の内では軍事に優れた貴族の一家であるカシュパーレク伯爵家とも縁者になるということです。それを厭う家はそうそう居ないと思います。ですから、私と婚姻したがる者は多いでしょう。違いますか?」


 「・・・分かりました。もし、難癖をつける者が居たら、私が説き伏せます」


 私はにっこにこで心持身を乗り出しながら、ラドヴァン様を見据えます。ラドヴァン様が若干体を引き気味なのは何故でしょうか・・・?


 「はい、わかりました。では、改めて私がベチュヴァーシュ公爵家を訪れます。その時に婚約書類を交わしますか?婚約期間が短いほうが良いなら、そちらの思うようにお願いします。

 私としては、婚約の期間は短いほうが良いのですが、少々考えていることもありますので、できれば難癖をつける縁者の方の説得は早めに終わらせていただければと思います。

 あと、ベチュヴァーシュ公爵家の名を使って商人との商談ができないでしょうか?できれば国外に販売をしている商人が良いのですが、いかがでしょう?」


 ロマンとガリナが思わずため息を漏らしています・・・。


リーディエはなんだか、改革と金儲けに邁進しているのでしょうか。究極の目的は跡取りを生むことなんでしょうけど、明後日の方向に行きつつあるような気がします・・・。婚約も費用対効果なんかを狙ってるとしか思えないのですよねえ。

さて、これから婚約者とのデートとかを書きつつ、先代「御屋形様」を暗殺した実行犯、黒幕、そして教唆した者の話を書きたいと思っています。お隣の男爵領に居る元婚約者もどういう扱いにしようかと思います。恋愛色を強めたので、追放がいいところでしょうかね。因みにリーディエが絡んで死亡した人はまだいないはずなんですよね。出来れば、死者は出ないほうがいいなあと思っています。

体調が優れず、投稿が遅くなってしまい申し訳ありません。何とか、リーディエのウェディングドレス姿を見せようとしておりますので、そんな健気な残念美人にがんばれの意味で評価をお願いいたします。

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