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残念美人である貴族令嬢は婚姻を望んでいます  作者: 花朝 はた
第二章 残念美人の女男爵は婚姻を望んでいます
21/45

残念美人は国王に求婚される

ついにリーディエが国王から求婚されます・・・。ですがリーディエの頭の中には妃になると言う選択肢はないようです・・・。

 皆様、ごきげんよう。

 私はリーディエ・シュブルトヴァー男爵です。


 「・・・今日はご苦労だったな」

 「・・・いえ、私のために会を開いてくださいまして、感謝いたします」

 「・・・」

 「・・・」

 話す言葉を持たない私を、国王は何を考えているかわからないその瞳でちらりと見た後、顔を正面に戻して口を開きます。

 「そなたに提案がある」

 提案?何か良くない事でも言ってくる?

 国王は私のそんな思いを無視するように言葉をつづけました。

 「そなたの爵位を上げようと思う。男爵領は新規の事業をしていると聞く。そなたが商談に赴いた商人が魅力的な商品を持ち込んできたと言った。男爵と取引をすると申し出ていてな、それだけでもそなたの爵位を上げる理由になるはずだ」

 陞爵か・・・。うーん、いいことではないけど、悪いことではない気がする・・・。どうしようかな・・・。そう考えて気がそがれていた私が気付いていなかった間にも国王は話を続けようとしていたようです。虚ろに音楽に合わせて踊る人々を見つめていた国王が、言い難そうに口を開きました。

 「あともう一つ提案があるのだが」

 もう一つ提案?先ほどは大したことなかったけど、今度は何か嫌な予感がする。国王の言葉にちょっとだけ警戒します。

 「・・・まだほかにもあるのですか?提案が多いのですね」

 「実はな、そなたの事が相当気に入ったのでな、そなたを私の妃にしたいのだが、承諾してくれ」

 「!」

 驚きで足がもつれてよろけましたが、何も言わなかった私を誰か褒めてくださいませんか・・・。


 夜が相当更け、私の踊った相手が両手の指では足りなくなるころ、ようやく国王が疲れ果てた私を玉座に呼び寄せました。楽団が奏でる音楽を背に踊っている貴族の姿を見ていた国王は、疲れた私が礼をすると、先程のようなことを言い出したのです。

 今日は何か婚約と婚姻の申し込みが多いのですが、何かそういう日なのでしょうかね?

 そんなことはないはずだと言われるのですか?うーん、そうでしょうね、そんな日があるなどは聞いたことはないですしね。ええ、まあ、現実逃避したかっただけなんですよ・・・。


 国王は私の様子を横目で見ていました。

 「そなたが受け入れてくれれば有難い」

 「爵位については男爵より上の爵位の方が事業のための資金を借りられるようになるため有難いとは思いますが、妃については領地に居られなくなると思いますので、今ここではっきりお断りさせていただきます」

 私はそう言いながら視線を国王に向けずに大広間で踊る人々を身体の向きを変えて眺めました。

 「つれないな、そなたは。だが、妃になっても領地で暮らす方法はあるぞ」

 「?」

 「領地持ちのまま、妃になればよい」

 「・・・そんなことできますか?」

 「できる、出来るから言っておるのだ。ただし、一年の三分の一が領地に居られる限度だが」

 それじゃあ、無理だわ。国王の妃など無理だ。

 「三分の一しか領地に居られないのなら、今すぐここでお断りを申し上げます。私を愚弄するおつもりですか?三分の一しか領地に居られないものが当主の領地など、すぐに領民の心が離れてしまいます。私は領民のためにこれから事業を行うつもりですので、いくら国王でも今の申し出については許せる話ではありません」

 「・・・そうか。これもダメか・・・」

 ちらりと横目で国王を見ます。エヴェリーナおばあ様の事があるから、私に執着しているのよねえ?

 「領地持ちの貴族に求婚などするのは、国王としてどうなのですか?」

 「喜ぶと思ったが?」

 あ、あほだ、こいつ。王家に家を吸収するつもりだと、こいつははっきりと言いやがったよ!そっちがそのつもりなら、我が家はこれからもこの国王の血を支持しないように言い伝えよう。

 「・・・喜べませんが?それより、迷惑この上ありません、それも非常に、です」

 「・・・なぜだ?」

 「ご存知の通り、領地を持つ貴族は領民のために仕事をしております。仮に国王の妃が領主となったとして、当主のその妃に領地から遠く離れた王都から指図をされたら、領民は自分たちと一緒に苦労するつもりがないと思うことでしょうね。私はそう領民に思われたくはありません。ですから迷惑この上ないと言ったのです」

 「・・・領民など、そなたが言って聞かせればよいのではないか?」

 ああ、こいつを国王と呼びたく無くなったぞ、どいつだ、これに民への尊敬と思いやりを教えなかった阿呆は!

 「・・・頭ごなしの命令など緊急時以外に出せません。今回は領民に対して利点がない命令ですし」

 「・・・そうか・・・、残念だが今回は諦めるしかないか・・・」

 「・・・陞爵も私を妃と考えたときに付け足しでお考えになったことだと思いますので、ご遠慮致します」

 その言葉にまたもや国王が横目で私を見ます。でも私も国王を横目で見ているので、横目同士で見合っているという構図になりますね。ちょっと傍から見ると意地悪を言い合う貴族のスカした腹の探り合いのようになっていて、吹き出しそうですね。笑っちゃいけませんか?いけないですよねえ、思いっきり笑いたい気分ですよ。どうして国王にこんなに言い寄られなければならないのでしょうかねえ。

 「・・・いや、元々先代の男爵であるミロスラフ・シュブルトを子爵にする予定だった事は知っているであろう?あの広大な領地を持つシュブルト家の格式が男爵では、他国から見たこの国の基準がおかしいと言われてしまう。私に言わせれば、本当は子爵でもあの領地の広大さから言えば格式が足りないとは思っている。ただ気に食わないと言うだけで格式を無視するような無能で間抜けがこれからもこの国でのさばるようなら、プシダル国に所属しようとか考えたりしないとも限らん。さらに言えばクバーセクに隷属するとか言い出されたらそれこそ最悪だ。実際のところ、そなたは別にこの国にシュブルト領を所属させ続けたいわけではあるまい?」

 「つまり、陞爵でベェハル国にこのままシュブルト家をつなぎ留めたいと?」

 「・・・その通りだ。これでも申し訳ないと思っていることもあるのだよ。

 近年のクバーセクからの侵攻のほとんどはシュブルト領だった。その侵攻をシュブルト家はことごとく跳ね返した。クバーセクはシュブルト家を恐れている。そなたの前の当主、そなたの領の言い方で言えば御屋形様だったかな、」

 「当主を御屋形様と呼ぶようですね、シュブルト領では。私は女男爵と呼んでもらいたいと言いましたが、即却下されました」

 「・・・まあ、伝統だから御屋形様と呼びたいだろうな。女男爵とは呼ぶのは容認できんだろう。ふふっ」

 笑うな。笑うんじゃない。

 「・・・すまない、つい可笑しくてな、笑ってしまった、許せ・・・。それで話を元に戻すと、クバーセクは条約を締結した今になっても何度も侵攻を撥ね退け、手痛い敗戦と言う汚名を着せ続けたシュブルト家の力を恐れている。そのような武のシュブルト家の扱いがさすがにひどいのではないかと、諸侯からも上申があがってきている。クバーセクに対する抑止力の一つになるはずのシュブルト家が、王城のおバカな廷臣のせいでベェハル国から離脱してしまったら、王城の廷臣を全員殺して責任を取らせると言い出す諸侯も出るぐらいだったしな。そのような経緯もあり、夜会の後速やかに子爵に陞爵させるつもりだった。

 まあ、そなたが夜会に出たくはないように見えたため、陞爵は見送ると言って、国王に得点を稼ぐ手っ取り早い方法の夜会に、出てもらえるように取引の材料として使わさせてもらったが、まんまと嵌まると心地良いものだな」

 国王、案外政治できるみたいね。薄々感じていたけれど、取引として陞爵を使ったってことね。夜会への出席自体は、別に拒んでもその場の実害はないけど、あとからなんやかんやで無理をって来られると判断したのは間違いではなかったと思うけどね。本心からシュブルト家を繋ぎ留めたいと考えている。繋ぎ留めるために陞爵をいい、ついでに求婚をしてもし了承してくれたらめっけものと考えていたのではないかと思います。


 私と国王が小声で話している間は挨拶をしに来る貴族がちらほらいたのですが、話も終わったころには踊っている貴族もほぼ居なくなっています。

 「・・・シュテファン王、そろそろお開きにした方がよいのではありませんか?」

 「・・・ああ、そのようだ・・・」

 国王は私の言葉に夢から覚めるかのように目を瞬かせました。

 「いつかそなたを妃に出来たらと思う」

 「・・・そのいつかは永久に来ないです・・・」

 私の聞こえないようにつぶやいた声は聞き取られなかったと思います。国王が前に進み出て夜会の閉会を宣言しました。そのまま、私を手招きします。


 私を隣に立たせて再度私を紹介する言葉を口にしたあとに、夜会に出た貴族の労をねぎらいました。

 そのあと、私は国王に先導されるように手を引かれて、大広間を後にしました。そのまま手を放した国王は後ろを名残惜しそうに一度だけ私に振り返った後、王城の国王の居住区に今度は振り返ることもなく歩き去り、案内をするために侍従が先に立ちました。

 侍従に案内されて馬車溜まりのシュブルト男爵家の馬車と、プシダル国の友人たちの馬車へ導かれて馬車に乗り込んだ私達は王都のシュブルト男爵家のタウンハウスに戻りました。



夜会がお開きになりますが、国王は実のところリーディエを諦めたわけではないんですよ。もしこのまま婚約をしなければ、また国王はリーディエに迫ってくるでしょう。国王は拗らせくんですし。「と言うか、国王、あんた、色々美女より取り見取りだろう!なんで私にばかり構うんだ!」以上リーディエの心の叫びでした。

最近仕事が遅くまでになることが多く、執筆時間がなかなか取れなくて、投稿も遅れがちで申し訳ありません。ですが、今回はちょっと長く書きまして、その長い話を分割してお届けします。3日間続けて投稿する予定です。よろしくお願いします。

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