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残念美人である貴族令嬢は婚姻を望んでいます  作者: 花朝 はた
第二章 残念美人の女男爵は婚姻を望んでいます
11/45

残念美人は婚約者候補の一人と会う

書いた話を見直しながら投稿しています。色々と手直ししたいんですが、毎日投稿しようと思うと、時間が足りません。時には丸ごと書き直したりしています。だから時間が足りなくなります。まったく。

リーディエを気に入るのでしょうか、お見合い相手は。


少々話的に長くなりすぎていると思いまして、最初に登校しましたその5を編集して2つに分けます。婿候補の方との会話シーンを長めにしました。次のその6も最初のその5の内容と変わりませんが、表現などを変えてあります。申し訳ないのですが、最新情報から来てお読みいただいている方にはこのその5からお読みください。混乱させてしまいまして申し訳ありません。

 皆様、ごきげんよう。

 私、リーディエ・シュブルトヴァー男爵です。

 染料の工房を作ろうと思って予定地で交渉して戻ってきたら、なぜかちょっと見目の良い男性が居ました。そのままなし崩しにお見合いをしています。大伯父様が早急すぎて、ちょっとついて行けない感じです。これは大伯父様の切実な事情によります。実のところ、私は大伯父様の懸念については楽観していますが、大伯父様は深刻にとらえている様子です。ですがねえ、私は残念美人ですよ。大伯父様にもそう言っているのですが、なかなかわかってもらえていないようです・・・。


 男爵領は冬です。ベェハル国は北に位置する国なので、冬の訪れは早く、長く続きます。そう言っても私の出身国のプシダル国カシュパーレク伯爵領も、このベェハル国シュブルト男爵のお隣ですので、冬は同じ早くて長く続くのです。この季節の辛さは身をもって知っております。

 北から身を切るほど冷たい風が吹くようになると、なぜか夕方の時間が急に無くなるような気がします。ついさっきまで陽が差していたのに、次の瞬間には物が良く見えなくて、空を見ると星が輝き始めていて、ああ、夜になるんだとなぜかちょっと裏切られたような気になったりします。


 かくいう私も今、裏切られたような気がしています。大伯父様には、先日ですが人と会って欲しいと確かに言われました。しかし私は会う前に、先だって会う日時などの予定を言ってもらえるのだとばかり思っていました。今回は大伯父様には何もお話しいただいては居りませんでした。それも私が遠出をしているときに尋ねてくるとか、ちょっと私の意思をないがしろにしては居りませんでしょうか。普通に大伯父様を訪ねてきたご友人の方だと思い、新人ではありますが男爵家当主として挨拶だけでもと思っておりましたが、婿候補の方とお見合いのセッティングだったとは。こんな形ではちょっと心に余裕はありませんので、印象自体、あまりよくはありませんよね、婿候補の方の見目はよくても、ね?


 「どうぞお座りください」

 応接室の椅子に座るときに腰につけていた剣を、剣帯ごと外し、椅子の背に掛けると軽く礼をして椅子に座ります。レオポルト・ストルナド様は私が座るまで、そのまま立って私が剣を椅子の背に掛けるまで興味深そうに動作を見守っておられましたが、座ると軽く会釈をして座られます。

 壁際に居たはずの侍女は滑るように動いて、私の傍らまで移動して右側に立った彼女は、私にお茶を淹れて左前に置き、壁側に戻りました。そのまま壁際に音もなく移動すると、そこで微動だにすることなく立っています。この男爵家の侍女の方々は男爵家に長く務めた侍女達なのですが、私の特性を掴んで私の普段の動作に支障が出ないよう、配慮してくれて茶器や食器の位置取りを工夫してくれています。


 大伯父様は息を一つ吐いて、腰を下ろしました。どうも私が屋敷を離れているときに婿候補がやってきたことで、私が怒りで会わないと言い出すのが怖かったらしく、気が気ではなかったようです。いくら私が怒ってもお客様に対してそんな無作法なことはしません、大伯父様は男爵家当主である私が礼儀知らずだと言わせたいのでしょうかね。そんなことを考えているなら、大伯父様は相当失礼で、私を見くびっていますよ。


 「リ、リーディエ・・・、すまなかった。ちょっと積もる話もあってな、わしの我儘で都合をお聞きしたところ、快く承諾していただけてすぐに来てくれたのだよ。そ、それに、ちょっと心配事もあってな、相談できたらと、な・・・」

 大伯父様のなにか焦ったような表情に、私は悟りました。つまり、このお隣の領地の次男坊が私が居ないときに来たのは、私が王家の夜会で株を上げて婚約を申し込まれるのではないかと、大伯父様が気をまわし過ぎて、婿取りを本格化させた賜物ということなのでしょう。私が他の貴族から婚約を申し込まれれば、場合によってはその方と婚姻して最悪男爵家が無くなってしまうかもしれません。そうなれば、大伯父様はまた新しくシュブルト男爵家を継げる方を探さなければなりません。夜会前に私が婿を取るか、婚約をすれば男爵家はこのまま存続できるでしょう。


 私はしばし考えて、目の前にいるレオポルト・ストルナド様に努めて穏やかに話すことにします。

 「本来なら、シュブルト男爵家の当主である私がお出迎えするべきでしたのに、所用で出かけておりまして、お出迎え出来なくて申し訳ありませんでした」

 「いえ、クリシュトフ・シュブルト様は私の人生の師ともいえるお方です。ご相談事をしたいと言うお話をお伺いしまして、気が急いてしまいとるものもとりあえず馬車を走らせてお尋ねしてしまいました。前触れをしなかったこと、謝罪致します」

 「左様でしたか・・・。それで私の大伯父様とのお話はもうお済になりましたの?」

 「・・・はい、クリシュトフ・シュブルト様の話は済みました」

 「・・・差し支えがなければ、お伺いしてもよろしいでしょうか?」

 ちらっと、レオポルト・ストルナド様の視線が大伯父様に動いた後、大伯父様が微かに頷きました。まあ、たぶん私の婿候補ということよね、この方。だから私を口説こうとかするのでしょうけど。私の興味を引けるような話をしてくれるのでしょうか。紹介時には男爵家の領地について興味があるから、教えて欲しいと言って居ましたよね。まあ、その言葉を聞いただけでも婿入りはどうかはわかりませんが、私と婚約はしてもよいと考えているのでしょうかね。

 「ええ、実はクリシュトフ・シュブルト様は、この国に知り合いの少ないご養女のリーディエ・シュブルトヴァー男爵の友達になって欲しいとのことでした」

 なるほど。物は言いようですね。

 「・・・そうですか。お友達ですか。なかなか悪くはない言い回しですね」

 「リ、リーディエ・・・」

 焦った大伯父様が口を挟もうとしています。

 「大伯父様、私はこのシュブルト男爵家を継いだ者です。そして男爵家に関わる人たちから領地の繁栄と男爵家の子孫を絶やさないと期待されていることは存じております。持って回った言い方は無しでお願いします」

 私は大伯父様に身体を向けて言った後、そのままレオポルト・ストルナド様に身体の向きを戻します。

 「単刀直入にお伺いいたしますね。レオポルト・ストルナド様は、私の夫となっていただく意思はございますか?」


 「・・・そうですね・・・出来れば、とは考えていますが、リーディエ・シュブルトヴァー男爵がお考えになられて出された結論ならそれに従おうと思います。ですが、俗な言い方をすればですが、私は案外お買い得だと思いますよ」

 にこやかな笑みを浮かべながらレオポルト・ストルナド様が答えました。

 「お買い得ですか?どのあたりがですか?」

 私が眉を寄せると、レオポルト・ストルナド様がお茶を一口口に含みました。

 「私は領地で父であるヴァスィル・ストルナド侯爵の補佐役をしておりました。主に農地改革についての担当です」

 そう言ってから、レオポルト・ストルナド様は胸を張ります。

 「休耕地を作る耕法を考案し、収穫量を将来落とさないように手配したのです」

 へえ。農地は毎年作物を植えると、養分を作物が吸い上げてしまうから痩せてくる。痩せれば収穫量が減る。収穫量を減らさないようにするには、と農業をやる人はここで悩む。そこで農地を幾つかに分けて、種を植えて収穫した農地は次の年には休ませる耕法を考えたわけですか。なるほどね。

 「なるほど、そういう工夫をされたわけですか」

 面白いですね。

 ちらと大伯父様を見ると、満足そうに頷いている。

 「・・・わかりました。なかなか好ましいお方だと思います。さらにはあなたの考え方などをもっと知りたいと思っております。ですが、私は領主としての仕事もしております。なかなか時間が取れません。ですから領主の仕事の合間を縫ってあなたのお話をお聞きしたいと思います。レオポルト・ストルナド様、そのような私のお願いをお聞き届けいただけますか?」

 私はこの方の人となりを知りたいと思いました。ですからそう提案をしたのですが、ちょっと我儘でしたでしょうか?許しますかねえ?

 「・・・是非、お願いしたいと思います。もっと私を、リーディエ・シュブルトヴァー男爵に知っていただきたいと思います。よろしくお願いいたします」


少々話的に長くなりすぎていると思いまして、最初に投稿しましたその5を編集して2つに分けます。婿候補の方との会話シーンを長めにしました。次のその6も最初のその5の内容と変わりませんが、表現などを変えてあります。申し訳ないのですが、最新情報から来てお読みいただいている方は、このその5からお読みください。混乱させてしまいまして申し訳ありません。

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