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先生の秘密と不思議な砂時計  作者: 佐藤先生
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4 先生の存在




 裏社会で資金を持っている人物が犯人である可能性は高い。


というのが昨日、オーナーとの話の中で見えた手がかりだった。


可能性が高いというだけで、確定ではない。


可能性の話だ。関係あるのかもしれないし、ないかもしれない。


 今日はずっと、その昨日の手がかりから様々な可能性を考えていた。


 もし、裏社会で資金を持っている人物が犯人だとしよう。


そうした場合、その人物は『時を越える砂時計』を大金を使ってまで欲しいと考えていたわけだ。


過去に戻りたいと思っている人物。


しかし、過去に戻りたい人間なんてたくさんいる。


みんなが過去に何か未練を抱えて生きている。


そういうものだ。


 だから、その線で考えるのは難しく思えた。


 あとは、雇われたスリがいるのなら、その人物を探そうと考えた。


しかし、裏社会のスリを探せる手立ては思いつきそうになかった。


もっと『時を越える砂時計』の情報が必要だと思った。



 そんなことを考えていると1日はあっという間に過ぎていった。


帰りのホームルームも終わり、生徒は部活に向かうものや、帰宅するもので、教室は一気に生徒がいなくなっていった。


そこで寂しそうな顔をする一川に目が止まった。


 僕はゆっくり、一川の前まで行って、こう言った。


「砂時計は必ず見つけるから。待ってて」


下を向いていた、一川はゆっくり顔を上げた。


目が合うと、何か心に刺さるものがある。


「どうやってですか。戻ってくるわけないですよ」


「先生が今、一生懸命探してる」


僕はしっかり一川を見て続けた。


「いいか、先生というのは、生徒が困ってたら助けてやらなきゃいけないんだ。


これから先、お前たちが1人で自分の力で生きていけるように先生が精一杯寄り添って手伝ってあげる。


まだ子供だから、俺たち先生が守って成長させて、よりよく生きてもらう。


それが先生の役割なんだよ。


だから絶対見つけるよ」


一川はふーっと息を吐いた。


そして間があった。


「先生に何ができるんですか」


小さく呟きながら、一川は教室を出ていった。




 『先生に何ができるか』か。


1人残された教室で考えていた。


探偵をしているなんて言えないし、言ったところでどうでもいい情報に思えた。


見つけるか、見つけないかが大事なのだ。



 教卓に座りながら、僕は生徒たちに何ができるのか考えた。


学級日誌を見ると生徒が楽しそうに過ごしている部分がよく見える。


眠かったやお腹すいたなど、自分も高校時代にそんなことを書いたことを思い出したりした。




 青春を作ってあげるのも、先生の役割だよな。と思った。





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