2 先生の秘密
僕は都会地区と臨海地区の間にある、アパートで一人暮らしをしている。
課外学習という、いつもと違う授業をしたため、疲れて帰ってきた。
しかし、家では大事な仕事が残っていた。
『不思議な砂時計』について調べなければならない。
おそらくネットではフェイクなど、誤った情報しか載っていない。
だから、他の方法で探さなければならない。
僕は、生徒に秘密にしていることがあった。
生徒だけでなく、学校で知っている人もほとんどいないだろう。
学校では、昼間先生をしているが、今回の様に事件があれば、帰った後に調査することもある。
僕は部屋の壁にある暗証番号装置に、"3690"と打ち込み"enter"をを押した。
すると、本棚が電動で動き出し、扉が開いた。
一応、隠し扉のつもりで作ったのだ。
この隠し扉の向こうには書斎があり、調査に使った資料や調査したことについてのファイルなどがある。
『探偵』と町の人たちは僕のことを言っている。
僕はそんなカッコつけたつもりではなかった。
困っている人を見ると助けずにはいられなかった。
猫探しや電球交換、悩み相談や恋人の喧嘩仲裁など、僕的には"何でも屋さん"のような感じだなと思っている。
このようなことをしていることを、学校では校長くらいしか知らないと思う。
初めはユウカの無くした貝殻を探すことから始まった。
ユウカにも、母との形見があった。
小さい時に母と一緒に見つけた貝殻だった。
ユウカは僕に無くした貝殻を探してほしいと頼んでくれた。
だから、僕は必死に探した。
生徒が頼ってくれているのだから僕も答えてあげたかった。
町中を探し回りました。
訳を話すと、手伝ってくれる町の人もいました。
しかし、見つけることはできなかった。
とても悔しかった。
生徒は頼ってくれたのに、僕は何も返すことができなかったことに。
それから、探すのを手伝ってくれた人たちに恩返ししようと、困っていると助けるようになりました。
それから町の人たちは、困ったことがあれば、なんでも僕にお願いするようになり、僕もそれに答えてきました。
こうして、町の"何でも屋"として先生の仕事の他に隠しながらやってきたところだった。
特に生徒に隠しているわけではないが、言ってしまうと、面白がって何でも依頼してきそうで言いたいとは思わなかった。
本当に困っている人のために僕は動きたかった。
僕は本棚にある本を1冊取り出した。
クオーターシティの言い伝えが書いてある本だ。
昔からこの町は不思議なことが多く起こる町なのだ。
本は4章に分かれており、1章は自然現象に関する不思議なこと。
2章は動物に関すること。
3章は夜になると起こる不思議なこと。
4章はその他となっている。
『時を越える砂時計』は4章に書いてあった。
『時を越える砂時計』について書いてあるのは、自分の行きたい時間を強く思い浮かべながら、砂時計をひっくり返すと砂時計の砂が落ちるまで、その思い浮かべた時間に行けるということだった。
砂時計の時間は人の感覚によって違うとも書いてあった。
驚いたのは、所有者は代々"一川家"が受け継いでいると書いてあった。
"一川"という苗字はそうそうあるものではない。
本当に一川が言う通り、一川の持っていた砂時計は『時を越える砂時計』で間違いなさそうだ。
しかし、この本を読んで、一川家が『時を越える砂時計』を持っていると知っている人もいるかもしれない。
それで、一川に目をつけて盗んだ可能性も結構高いと思われた。
本だけで、手がかりを見つけるのは限界がある。
僕は本を閉じて、書斎を出て外に出る準備をした。