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Sharp  作者: 殺人パンダ
4/4

4話〜日常〜



 温かい水流が頭のてっぺんから床まで体を伝う。シャンプーを出して頭を洗う。独特のスッとする臭いが意識をハッキリさせて行く。

 バルデス大佐が指揮する部隊、『特別戦闘部隊』。通称“特戦”。そこに入ってからかれこれ3日が経った。

 カンナはノズルをひねり、シャワーを止める。腰にタオルを巻くと個室を出る。

 脱衣所に着くと自分の胸辺りまでしか身長の無い少年と出くわす。


「お疲れ様ですカンナさん!」


 少年は元気よく挨拶してくる。

 同じ部隊に所属するアルト・エンパイヤ。若干14才にして特戦に入ったいわゆる“天才”。だが性格はこの3日間――正確に言うと2日とちょっとだが、一緒に過ごした限り、礼儀正しく勤勉でとても真面目な少年だと思う。


「お疲れ」


 素っ気なく返して着替えを始めると、アルトは近くにあった椅子に座る。


「今日も訓練大変でしたね」


「そうだな」


「でもカンナさん凄いですよ! 特別な訓練も受けて無いのに普通について行けてました」


「そりゃどうも」


「年齢だって僕と5つしか違わないのに」


 カンナはカッターシャツのボタンを止めていく。


「シルヴァさんやライカさんとも互角に戦ってる。ホントに凄いですよカンナさんは」


 何故かカンナはアルトにとても好かれているようだ。

 ネクタイは付けずに白のスーツに袖を通す。


「なぁ」


「何ですか?」


「あんまりオレに関わらない方がいい。お前まであの女に邪見される」


 所詮一時だけの仲間だ。親睦を深める必要は無い。


 カンナは自分にいい聞かす。


「あの女って誰の事ですか?」


「二丁拳銃のヤツだ」


「あぁシルヴァさん。大丈夫ですよシルヴァさんはそんなに悪い人じゃ無いです」


 無邪気な笑顔をコチラに向けながらアルトが言う。まだまだガキだとカンナは思いながら脱衣所を出て行く。





 部屋に戻ると扉にロックをかける。電気は点けずにベッドに座る。

 真っ暗な部屋に月の光が差し込む。

 カンナはポケットを探る。そして首からかけられる用にチェーンのついたネームプレートを取り出す。


「…………」


 金属で作られているプレートは所々赤黒く錆びている。チェーンにも同様の錆び。 プレートには『ユウナ・イグナイト』と彫られている。その名前はカンナの脳裏に過去の惨劇を蘇らせる。


『そのネームプレートは生き残った隊員が力を振り絞ってターゲットから取った物よ』


 レイナはそう言っていた。ホントかどうか分からない。でも、もしホントならば――。


「ユウナ……」


 プレートを強く握る。怒りと悲しみが体を駆け巡る。


 ピンポーン。


 不意にインターホンが鳴る。ネームプレートをポケットに直すとドアを開ける。

 目の前に短髪の女が現れる。


「やっほー! カンナくん元気?」


「用件は?」


「もぉ連れないなー!」


 ライカはむくれながら言う。


「大佐が至急第2会議室に集合だって」


「了解」


 カンナがそのまま外に出ようとすると、ライカが不思議そうにコチラを見て来る。


「何?」


「ネクタイしないの?」


「しねぇけど」


「大佐、服装とかうるさいよ?」


「関係ねぇよ。どうせ一時的な補充要員だ。一々服装ぐらいで言ってこねぇだろ」


「ふーん。そっか」


 ライカはそう言うと廊下を歩いて行った。カンナもその後を気だるそうに歩いて行く。





「カンナ、ネクタイ締めてこい」


 何故こうなる。

また機会がありましたらお会いしましょう

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