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今日から学校と仕事、始まります。①莞

必殺料理人、ミムラちゃん

作者: 孤独

食事。それは生物が持つ行動理念の一つ。

調理。育んだ物を殺し、食するために創造していくこと。

自ら生きるため、他者の何かを奪う。


この世界はそーやって、生きていやがる。

だから、


ジュワーーー


「とりゃーーー!」


盗人を褒めてしまうかもしれないが、大切に物を扱ったり、売ってくれるのなら、食事と同じく正しい事。ある意味、最低限の罪滅ぼし。

しかし、彼女がやっているのは、死体蹴りという容赦ないして、純粋無垢な気持ちでやってのける。極悪非道の、必殺料理人である。本人は下手ぐらいの自覚しかないのが、ヤバイ。



炒飯チャーハンができました!!」

「……………」


可愛いエプロンと三角巾までつけて、調理する姿は若奥様という感じ。食べてもらう人は旦那さんかな?沖ミムラと同い年の広嶋健吾である。

大皿に黒焦げの飯と野菜、肉、卵。後ろから調理姿を見ていた彼は、悲惨な姿にされた炒飯にさらなるトドメを刺す。


「お前、なんか掛けたか?」

「え?」

「醤油とか塩胡椒。それと炒飯の元は、そこにあるわけだが?」

「あーーー!忘れてたーーー!?」


せっかく炒めたのに、ただの黒焦げ飯になってしまう。炒飯にすらさせてくれない、とんでもない必殺料理人。その飯マズ具合と、家事の下手ぶりは本気で共に住もうとする人を殺しにきている。



「お前食えよ!」

「えーっ!?だって、焦げてるし、調味料を入れ忘れちゃったの分かったのにー!?」

「作ったのお前だし、これを俺に食わせる気かよ!?」


しょうがないので残飯行きである。カラスでも食ってくれるだろうか、ゴキブリでも湧くだろうか。

この沖ミムラは、ホントに料理が下手である。


せっかく作った、お米と野菜が可哀想である。

本当にごめんなさいと泣いてみるミムラ。

溜め息交じりで、広嶋は尋ねる。


「カップラーメンくらいはできるよな?フタを開けて、袋の中の調味料入れて、お湯入れるの」

「バ、バカにしないでよ!!ぺヤングソース焼きそばの湯きりまで、できるし!!」

「馬鹿にしてんじゃねぇよ。言われてるんだから、お前は馬鹿なんだよ」


ぐすり、涙が零れると、料理ができない自分を思い知る。でも、今しか言えない事である。


「その、即席ラーメンはできません」


カップラーメンと大差ねぇのが、できないのか。


「まったく」


広嶋は殺されるために来てしまったのかと、溜め息ついて。


「とりあえず、米を砥げ。ご飯にお茶漬けの元があれば、それで今日の飯は満足してやる」

「ホ、ホント!?ごめんね。せっかく、来てくれたのに」



ジャッ



そー言われて、ミムラはお米を1合、お釜に入れ。水の分量を合わせ、炊飯器のスイッチを入れる。

その手際の良さ。というか、なんか忘れてないかと。

もしかすると、


「お前。ミムラ……」

「ん?」

「米、ホントに磨いだか?さっきの炒飯ももしかして。もしかすると」

「え?」





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