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作者: 神名代洸

それはある日の出来事だった。

僕は写真家で町のあちこちをシャッターで記録するのが好きである。もちろん昔ながらのやり方で。

フイルムを写真屋に持っていくのが楽しみの一つでもある。


今日もそんな風にして町のあちこちを写してフイルムをいくつか持って行った。

出来上がりは3、4日かかるようだ。

その間は前に写した写真を整理する。

1枚ずつ写真を見ながらアレヤコレヤとブツブツ言いながら…。


ふと一枚の写真に目が行き、手が止まった。

何気に見て見たが、何かがおかしいと思う。

それがなんなのかはまだわからないのだが…。

よーく見てみる。

その写真は風景を写したもの。

写真の中に季節の花々が写り込んでいるだけだ。ただね、その中の一部がおかしなことになってるんじゃないかって気がついたのは、僕の友人の1人なのだが…。


そこでネガを確認した。

だけどね、わからなかったんだ。

やっぱりカラーじゃないとわかりにくいか?

そこで虫眼鏡を持ってきてそれを使って見て見たよ。

そしたらね、見えた気がしたんだ。


何がって?



目だよ目。


そりゃ信じちゃいなかったさ。

霊とか写真に写るのってカメラのせいかもしれないし…たまたま写り込んだのが上手い事当てはまってそう見えたりなんかするからさ。科学で証明されてるのもあるじゃないか。

だけどね、今回のはちょっと不気味で仕方がない。一つ目だけがたまたま花びらに写り込んでいたからだ。

初めは気づかなかったよ。

でもね、友人の1人が気づいて言ったんだ。




「これ…何?この花おかしいよ。」って。



そりゃ目を疑ったよ。

錯覚でもなんでもない。本物の目だ。

気持ち悪いったらないね。

他の写真もチェックしなおしたが、写っているのはこの一枚のみ。なんでだろうね。

他にも同じ場所を写した写真は何枚もあるのに写っているのはこれ一枚。

昔からのやり方で撮ってたから誰かの目が写り込んだかと疑ったが、そんなに古いカメラではない為まずありえないだろう。そう結論が出た。じゃあこの写真は一体…。


今現像に出しているネガな事が気になったので、出来上がるのを待って友人と一緒に見てみることに…。



しかし、怖いものは写ってはいなかった。

じゃあ何だったんだ?あの写真は…。

僕はうす気味の悪さを感じていた。


友人は気味悪がってもう写真を一緒に撮ろうとは言わなくなっていた。たかが写真一枚に何そんなにビビってるんだか…僕は笑っていた。可笑しいよ。

だけど、その笑いは逆に恐怖への近道となるなんて誰が想像できただろう…。




目が少し大きくなった気がしたのは僕だけか?誰も何も言ってはくれない。

でもね、日に日に大きくなっているようで、花びらに収まりきらなくなって目がキッとこちらを見ている気がする。

そう思うと徐々に怖くなってくる。

頼むから消えてくれと何度願っただろう…。

願いは聞き届けられることはなく、恐怖はさらに加速する。


そしてある日のことだった。

何気にふと写真を見たのだが、あの目は消えていた。どこに消えたかなんてどうでもいい。ただ消えてくれた事が嬉しかった。

だけどね、僕は知らなかったんだ。

その目が僕のすぐ後ろから僕をじっと見ていたなんて。

友人はずっと何も言えずにいた。

けどね、ある時ポロっと漏らしちゃったんだよね。


「君を携帯で撮ったら恐ろしいものが写っていたよ。」て。

そんなこと聞かされたんじゃあ見て見ないことには何ともできそうもない。で、見て見たよ。

そしたら写ってたよ。



あの目が…。



怖かったよ。

正直まじでビビった。

でもどうにかなるものでもないので、意識しないようにしてた。

友人もそう。

僕を撮ることをやめてしまった。

そりゃそうだ。あの大きな目が…体全体に写っているのだからどうしようもない。


写真は撮れなくなり、今ではビデオに写るのも怖くてたまらない。

もしまた写ってしまったら…。

僕はどうなってしまうのだろうか??

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― 新着の感想 ―
[一言] ここは実害も出ていないことだし中2的な格好をして邪気眼発動のポーズを決めて写真を撮って貰おう。きっとCG加工なんて目じゃないくらいのすさまじいパワーを感じれるインパクトのある写真が撮れるよ。…
[一言]  怖い話、というより奇妙な話ですね。実害が出ていないし。  温厚そうな男性が、「どうして写真を撮るのをやめちゃったんですか?」って質問されて少し困った顔で語っているような感じでした。  読ま…
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