夜の再開
TAKASHI「随分と残酷なことをするんだな。」
「殺意のままにしたわけじゃありませんよ、死亡推定時刻をずらすため、それと移動されて俺が犯人であることを報告されないために四肢を引き裂きました。」
TAKASHI(なるほど、殺し屋の基本だが俺はこんなことを鷹志に教えたことはない。どこでこれを知ったんだ。)
ニュース「生徒会室には銃弾の跡が見つかっていることから犯人は銃を所持している可能性があり…」
俺はついにやるべきことをやったんだ。
それにしても少し変だ。
俺が殺したのは3人のはず、なぜ全員死んでるんだ。
「TAKASHIさん、俺は3人しか殺していないのにどうして報道では4人になっているんです?」
TAKASHIはこっちの世界で生きてきた人間だからこういうことにも詳しいのだろう。
TAKASHI「それはな、警察側が犯人を断定するための重要な証人として安全を確保するために隠蔽しているのさ。」
やっぱり詳しい。
しかしそうなると厄介だ。
この国の法律では復讐で人を殺すなど到底認められない。
それに虎之助は生きていて俺の顔をじっくりみた。
俺はたちまち犯人扱いだ。
(どうにかしないとまずいな。)
困っているとTAKASHIが助けてくれた。
TAKASHI「戸籍上、鷹志が死んだことにすればいい。」
それは名案だ。
そうすれば俺が追われることもない。
「TAKASHIさん、やってしまったことは後戻りができない。俺を死んだことにしてください。」
TAKASHI「わかった、今夜の仕事の帰りに市役所に潜り込んで鷹志が死んだことにしてくる。」
「ありがとうございます。」
俺はそうとだけ言っておいた。
それにしても今日のTAKASHIは明らかに変だ。
何か真面目くさいつらだ、何か予期せぬことを暗示しているようだ。
TAKASHI「それじゃあ今日は行ってくるから適当に家に帰りな。」
「わかりました。」
今日は雨が降っている。
夜の雨は殺し屋の視野を極端に下げる。
それでもTAKASHIは死ぬ感じがしない。
しかし今日は何かがおかしい。
とにかく無事を祈るしかない。
TAKASHIはすごい人なんだ。
ニュース「速報です、今日未明、CIAが何年も前から問題になっている指名手配犯TAKASHIについての情報を警視庁に提供するという異例の事態が発生しました。」
アメリカがTAKASHIについて?
それもCIAがなぜTAKASHIの情報を…
ニュース「CIA長官〇〇氏によるとTAKASHIはかつてベトナム戦争で悪魔と呼ばれた傭兵部隊マウントジャンゴの戦闘員で日本出身、つまりTAKASHIは日本人で、姿が捉えられていないのは日本人として我々と同じように生活しているからです。」
なんだと!?
TAKASHIはそんなにすごい人だったのか。
最強の殺し屋ってのは知ってたけどこの情報は初耳がすぎる。
しかしそんな最強人間がなぜ浮かない顔をしていたのか、不思議で仕方ない。
大富豪國虎邸〜
???「今日は最悪だな。」
???「ああ、雨も降ってる。それに今日はあのTAKASHIが攻めてくるそうじゃないか。」
???「ああ、しかし変だな、TAKASHIなんて来ないじゃないか。」
???「そうだな、人影一つ見えやしない。」
TAKASHI「プロが人影を残しちゃ仕事にならんだろう。」
ズドンッズドンッ!!!
???仮設通信本部〜
通信士「第3小隊、連絡途絶!!なお邸内にターゲットの侵入を許した可能性有り!!」
無線「ズッ…ジジ〜…あ、あ、聞こえる?俺の首を狙う隠密特殊部隊SAWTの通信士たち。」
通信士「こ、これは!!TAKASHIです。」
???「俺が話す。」
TAKASHIは國虎という大富豪の豪邸に侵入して護衛特殊部隊隊員の無線を使って敵に会話に試みた。
TAKASHI「よぉ、久しぶりだな、枝吉。」
枝吉「ああ、何年振りかな。お前のような戦闘狂と会話したのは久しぶりだ。」
TAKASHIは会話には成功した。
TAKASHI「俺は今から依頼で國虎を殺害する。お前たちは俺の首を取りに来ないのか?」
枝吉「ああ、これは國虎の護衛ではない。ましてや法で裁けない糞人間を護衛するなど公務員の恥だ、貴様が人を殺すのは勝手だが貴様が人を殺すたびに懸賞金が跳ね上がり隊員の士気も上がる。」
TAKASHI「実にお前らしい、お前はそうやって人を利用して利を得るタイプの賢い人間だ。」
枝吉「よくわかってるじゃないか。さあ、國虎を殺すなら殺しな、俺たちからすれば國虎を殺すのは余興としか思っていない。」