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復讐、最後

「そ、そそそ、そ、そんな馬鹿な!!」


俺の必殺の弾丸は盤上亜里沙のスレスレを通っていた。


盤上「…どうしたの?私を殺さないの?」


「どうなってるんだ、糞!糞!!そんな馬鹿なことがあるはずねえ!!」


俺は弾丸が当てれなかったことに動揺を隠せない。

「ゲホッゲホッ!!」


突然気分が悪くなってきた。


「こんなことが…この俺が、気分が悪いだと!?あり得ない!」


俺は地べたに突っ伏してゲロを吐きそうになっている。


「糞!あの糞女に、盤上に弾丸をぶち込んで殺さなきゃ。」


俺は使命感のようなものに駆られて盤上を探した。

しかし盤上は見渡す限りでは見当たらない。


「糞、逃げられたか…まあいい、そのうちに殺し…」


ベキ!!


突然後ろから衝撃がはしった。

倒れる寸前に振り向くと目の前には盤上が立っていた。


「ちぇっ、奇襲か。」


盤上「私が逃げるとでも思ったの?畝傍鷹志。」


「次の機会を狙ってくると思ったんだがな。」


盤上「次?次はないのよ?ここで終わらせるからね。」


こいつの挑発口調には腹がたつ。


「どうした、俺は弱ってるんだぞ?かかってこいよ。」


盤上「それじゃ、遠慮なく。」


盤上は女とは思えない力で俺に突っかかってきた。


しかし技のキレはあの兄弟となんら変わらない。


「この程度か?盤上家の令嬢の力は。」


盤上「私の真の本領はここからよ。」


盤上は突然、掌底打ちを食らわせようとしてきた。


「その程度なら…」


突然俺の生体反応が危険を告げた。

とっさに俺はその掌底打ちを避けて銃で反撃した。


ズドンッ!!


「そういうことか…」


盤上「大正解、これを避けたのはあなたが初めてよ?」


俺の放った弾丸は盤上の制服の袖を千切っていた。

そのちぎれた袖に隠れていたのは小型のナイフだった。


「掌底打ちと見せかけてナイフでの刺殺か…考えたな悪知恵女め。でもこれでお前の腹は読めた。」


盤上「これで私の秘密を破ったつもり?馬鹿じゃない?」


「ここまでわかれば秘密も糞も…何だ!!」


突然指先が痺れてきた。

それもかなり進行が早い。


「おい、これって…」


盤上「気がつかなかったのね、私が常にエアコンの風上にいたことに。」


「毒か…」


盤上「そこまでけったいなものじゃないわ。ただの調香料、あなたの感覚を麻痺させるわ。とはいえ、銃が使えないんじゃあなたの負けは確定ね。」


盤上は俺を完全に負けたものと思って見ている。

俺にも近距離戦はできるっつーの。


「俺もそれなりのことは出来る。」


盤上「ヘェ〜、何が出来るの?」


「例えば、こう!!」


俺はペン型銃を盤上に向けて発砲した。

しかし弾道が安定しにくいペン型銃の弾丸は盤上の横をすり抜けていく。


それとともに盤上は俺に近距離で挑んでくる。


「かかったな糞女!!」


俺はポケットからナイフを取り出して刺そうとした。

しかし盤上は突っ込んでこない。


盤上を見ると俺から少し距離を取っていた。

手にはリボルバータイプの銃を握っている。


盤上「調香料が効いてるのにそこまで動けるとは思っていなかったわ。ここはプロとして確実に命を絶たなきゃね。」


「そうか、殺れよ。俺を殺れ。」


盤上は勝利を確信してニヤリとした。

調香術にかかった人間が調香術を用いた人間に近距離で勝てる確率は0パーセント…


しかしこれはあくまで近距離の話だ。


盤上「さようなら。」


「ああ、さようなら。」


俺はそういうとナイフを制服の袖にしまった。


盤上は何の躊躇もなく俺を殺そうと引き金を引こうとした。

それと同時に俺は袖にしまったナイフの柄を力一杯殴った。


その瞬間、ナイフの刀身が盤上に向けて飛んでいった。


盤上「!!」


ナイフは盤上の右手の甲に突き刺さった。


盤上「きゃぁぁぁぁ!!」


盤上はあまりの激痛に銃に落とした。

俺はその銃を拾い上げシリンダーから弾丸を抜き取った。


盤上「き、きさまぁ!!」


「小細工が卑怯とでも言いたいのか?」


盤上「殺す、殺してやる!!」


「おお、いきがいいな。これならつじつま合わせに丁度いい。」


盤上「何を言っている!」


「殺し屋はアリバイを作らないといけないんだよ。さあて、解体の時間だ。」


盤上「ま、待って!協力しましょう!!そうだ、例のブツをあなたに預けるわ!そうすればあなたは組織を握れるわ!」


『例のブツ』っていうのは俺の両親が殺される原因になったものだ。

しかし俺もその『例のブツ』が何を指す単語なのかはわからない。


「例のブツってなんだ。」


盤上「AT250っていう麻薬よ!!」


(麻薬?麻薬だと?)


「ふざけるなよアバズレが!!そんなヤクのために俺の両親が勘違い喰らって死んだってか!?冗談じゃない!!」


盤上「待って!そのことは私も…」


「もうやってられねえ!手前の声なんざ聞きたくねえ!!」


俺は生徒会室にあった校旗を大きめに千切った。

もちろん指紋は残さないようにした。


千切った校旗は盤上の口の中に押し込み、その上からガムテープで口を閉じた。


盤上「ーー!!」


「お前にはがっかりだよ。」


俺は銃を構えるが腕がプルプル震える。

嫌に悪いことをしている感じに襲われた。


(俺は悪くない、悪いのはこいつだ。)


しかし引き金を引けない。


さっきは突発的に引き金を引けたが時間が経つにつれて指に力が入らなくなってくる。


「こんな奴に…」


盤上「フゴー!!」


俺はこいつがしたことを思い出した。


俺を命令で監禁して、両親を殺害し、あまつさえ昨日は親を殺したことを嬉しそうに俺に語りかけてきた。


そう思うと俺は冷静になった。


「殺すのを躊躇したが今度はしない。アデュー」


盤上「ーー!!!」


俺はナイフを拾い上げた。











その日の夜のニュースは楽しかった。


ニュース「今日、〇〇工業高校で殺人事件が発生しました。被害者は4名、内2名は〇〇工業高校の生徒で警察が駆けつけた頃にはすでに死亡していました。

被害者の盤上亜里沙さんは四肢を引き裂かれていたとのことです。

なお盤上亜里沙さん除く3名の死亡推定時刻は3〜4時、盤上亜里沙さんの死亡推定時刻は4〜5時と若干ズレがあることから犯人が何かを意味している可能性があるとみて防犯カメラのチェックなど捜査を行なっています。」



これで屑は死んだ。

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