復讐、1
復讐の時が来た。
俺の身体は今にも爆発しそうなくらい滾ってる。
今回は人を殺すんだ、だから確実に殺せるように俺の選んだルガーP08を持って行く。
ナイフも持って行く。
俺の水筒の中にはお茶と一緒に小さなビンに入れられた青酸カリが入っている。
財布の中には毒針、筆箱の中には某軍事国家のペン型銃と芯の形をした弾丸。
完璧だ。
しかしこれが仇になりかけた。
盤上亜里沙は校門前で生徒会副会長と生徒会書記の3人で持ち物検査をしていた。
盤上「不要物がないかチェックします。カバンの中がしっかり見えるようにチャックを開けてください。」
生徒「ちぇっ運悪いな。」
俺からすれば悪いなんてものじゃない。
いや、これは盤上が俺から凶器を剥がすために取った行動だ。
昨晩の会話で俺が復讐を企てていることがバレたんだ。
でも逆に考えろ、ここで不要物が見当たらない場合、盤上の警戒心はただの空振りに終わることになる。
俺はカバンを開けて副会長にカバンの中身を見せた。
副会長「こ、これは!!」
盤上「なに?何かあったの??」
盤上は俺のカバンから10が見つかったと思い込んでこちらに来た。
副会長「これは、まさか…」
副会長がカバンから出したのは銃、それも真っ黒でテカテカで文句なしの金属製。
盤上「まさかこれ、実銃じゃない!?」
盤上は声を張り上げるが恐怖心はない、むしろ”勝った”と言わんばかりの顔で俺を見下げている。
しかし俺も馬鹿じゃない。
「高校生が実銃なんて持ってるはずがないだろ?ちぇっ、運がないぜ。」
盤上は俺の余裕に気がついたのか銃のマガジンを慣れたような操作で抜く。
盤上「こ、これは!?」
「本物じゃないだろ?」
盤上が本物だと思って警戒していたのはただのエアガン、とある有名エアガンメーカーが製品化したリアルグレードエアガンM1911だ。
「没収かよ、つくづく運がねえ。」
俺は勝ち誇った顔で盤上を睨む。
盤上「これが実銃でもエアガンでも不要物は不要物です。放課後、生徒会室まで来てください。」
これで全ての事柄がうまく進んだ。
ついでに銃は別のところに隠している。
分解してスライドは筆箱の中、フレームはバンドで胴体に縛り付けてある。
マガジンは弾丸と一緒に靴に入れ込んである。
かといってこの銃は簡単に分解したりできる銃じゃない、少し時間をかけて組み立てなきゃいけない。
しかし放課後までには間に合う、放課後が楽しみだ。
生徒会室…
盤上「やつが凶器を所持していると思ったけど、まさかなにも持っていないなんて。私の思い違いかしら。」
???「ボスが間違えるはずがありません。」
盤上「…あと1時間で今日最後の授業が終わるわ、奴は不要物の件で生徒会室に来る。その時はあなたたち3人で相手をするのよ?」
???「わかってます、俺たちをなめないでくださいよ!!」
教室
「先生、腹が痛くなってきたからトイレに行って来る。」
先生「そうか、よし行ってこい。」
ガラガラっ
「さて、計画開始だ。フハハッ」
不敵な笑みが浮かぶ。
俺はルガーを学ランの内ポケットに入れて生徒会室前に来た。
「ふぅ〜、意外と人を殺す前はドキドキするものなんだな。」
俺は呟いてから生徒会室のドアを開けた。
「不要物を取りに来た。はやくよこせよ。」
盤上「この時間は授業中よ?」
「知るかよ、はやく返せよ。さまねえと…殺すぞ?」
俺はそう言って銃を構えた。
盤上「やはり、隠し持っていたのね。」
「なぜカバン以外も見なかったのかな、全く、詰めが甘いな会長さんも。」
そう言った瞬間、後ろから気配を感じて勢いよく振り向くとそこには高校一の暴力番長がいた。
番長「悪いな、会長さんに雇われたんだ。お前をここで殺す。」
「なにを言っているデカブツ、邪魔をするなら死ぬのは貴様だ。」
番長「そんなおもちゃでなにができ…」
ズドンッ!!
番長「な…なにぃ!!」
「頭の悪いデブを雇ったんだな会長。」
盤上「……」
「この前まで落ちこぼれだった人間がこうも簡単に人を殺せるとは思ってもいなかったろ?」
会長さんは焦っているように見える。
「さあてあんたのことだ、何人か残ってるんだろ?銃持った人間に1対1でどうにかなると思わない方がいい。」
生徒会室は会長が盤上亜里沙に決まってから防音仕様になっている。それがかえって会長の首を絞めているんだ。
「さあて、俺の銃をやっと本命に使えるぜ。」