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国内ヤクザ紛争、依頼

キャラクター紹介


鷹志 成り行きで殺し屋となった高校生、復讐を終えてからは目的がなかったが綾乃のおかげでそれを見出す。


綾乃 とある大富豪の家で奴隷のように生活していたがTAKASHIによる富豪暗殺により脱出した。


TAKASHI 元傭兵の殺し屋、見た目は老けているがその技術は今世紀最強と言っても過言じゃない。


ライジェフ 元ソ連軍のマフィア、ライジェフたちが本気で部隊を動かせばモスクワがひっくり返るほどの火力を持つ。


ソブロフ ライジェフの側近的存在、常にライジェフの横で通信を受け取ったりしているが前線に出てもかなり強い。


ニコライ ウビーイツァ小隊の隊長、顔はまだ出てきていないがこれからのストーリーでキーマンとなる。


深雪 徳谷組組長の徳谷甲三の一人娘、鷹志との出会いで強い意志を見せる。ヤクザの娘として日々邁進する。




日向「そんなことがあったのか。」


綾乃「それで今日は鷹志は学校に来ていないの。」


日向と綾乃は昨日あったことを学校で話していた。

月曜日、普通の学生なら学校に行っているが鷹志は違った。


先日のファミレスで発見された意識不明の女子高生の素性を探るためにライジェフと行動を共にしていた。


ライジェフ「学校はいいのかい?」


鷹志「大丈夫さ、それよりも葉巻やめてくれよ臭い。」


ライジェフ「おっと、すまなかった。」


火を消すライジェフ、その背の高いロシア人の男の横で小さくなったように歩く鷹志。

普通の人から見たら異様だった。


突然ライジェフの携帯が鳴った。



ライジェフ「定時連絡だ、私だ。」


ソブロフ「少佐、ソブロフです、例の人物が搬送された病院がわかりました。すでに意識は回復しているようで面会も可能とのことです。」


ライジェフ「よくやった、すぐに向かいたい。」


ソブロフ「そちらの携帯に病院への道と病院の住所を送ります。」


ライジェフ「わかった、すぐに頼む。」


ソブロフ「ヤー」










1時間後〜


JK「…」


女子高生は病院のベッドで静かに昨日あったことを思い出していた。


JK「駄目、もう思い出したくない。」


コンコンッ


突然扉がノックされた。


JK「誰?」


看護婦「ご面会なされたいという方がいらっしゃってます。」


JK「わかりました。」


ガチャッ


扉が開いた。

扉から姿を現したのは鷹志だった。


JK「どなた?」


鷹志「昨日、レストランのトイレであなたを見つけたものです。」


硬かった女子高生の表情は少し緩んだ。


JK「あなただったのですか、この度は助けていただきありがとうございました。」


鷹志「礼には及びません、えーっと…」


JK「深雪と言います、徳谷深雪。」


鷹志「ああ、そうでしたか、で深雪さん、話の本題に入りたいのですがよろしいですか?」


深雪「はい、いいですが。」


鷹志「今回来たのは他でもない、昨日のことです、あなたの腹部からの出血、あれは私の目から見れば『弾痕』に見えたのですが。」


深雪の表情がまた変わった。

まるで危機を感じ取ったかのようだ。


鷹志「ごく普通に生活していればあのような傷はできません。どのようにしてあのような傷ができたのか教えていただきたいのですが。」


深雪は一瞬溜めてから話し出した。


深雪「よく分かりましたね、あの傷は確かに銃で撃たれた跡です。」


下を向いていきなりブルブルと震え出した。

深雪の顔にはさっきまでの表情はなかった。


鷹志「ヤクザに襲われたのですか?」


深雪「ヤクザ、マフィア、いいえ違いますあれは『軍隊』です。」


鷹志には理解できなかった。

なぜなら日本に軍隊と一般人に呼ばれるのは『自衛隊』あるいは『警察対テロ特選軍』、『SAWT』くらいしかないからだ。


しかし昨日その全てが出撃した形跡はなかった。


昨日あったのはヤクザ同士の殺し合いだけ。


ヤクザ同士の殺し合い


ヤクザ


ヤクザ=マフィア、ギャング


ロシアンマフィア


ロシアンマフィア『グロズニィ』


グロズニィ=元ソ連軍


鷹志「そういうことか。」


鷹志の中で全てが繋がった。


鷹志「ヤクザ同士の抗争に巻き込まれたのですね?」


すでに深雪の精神は崩壊寸前だった。

友達のことなのかずっと「みんなごめんね」などと言っている。


鷹志「大丈夫ですか?」


深雪「…みんな、みんなごめんね…私が…みんなを…お父さんも殺されちゃった…これじゃあ…続けられないよね…『東尋派徳谷組』。」


鷹志「!?」


深雪の口から放たれた言葉『東尋派徳谷組』、昨日の抗争で壊滅寸前まで追いやられた東尋会の派閥に属する全国ナンバー2のヤクザだった。


鷹志「あなたのお父さんの名前は?」


深雪「と、徳谷甲三」


間違いなかった。

昨日の襲撃で甚大な被害を負った東尋会事務所。


その事務所が記者陣の都合によって徳谷組と呼称せず東尋会の一つとして数えられていたとすると、昨日の被害は鷹志の家の近くにある徳谷組の本部の被害だけで死亡者45名、負傷者21名、行方不明者『1名』。


記事では組長の一人娘と書かれていた。

間違いなくこの深雪はヤクザのむすめだ。


鷹志「今日は失礼しました。」


鷹志は挨拶だけ済ませて病室を出た。


病室の外にはライジェフがいた。

ライジェフは葉巻を吸いたいのか病室の近くで葉巻を片手に喫煙所を探していた。


ライジェフ「お?鷹志、どうだった?」


鷹志に気が付いたライジェフは鷹志に聞く。


鷹志「お前、徳谷組って知ってるよな?」


ライジェフ「徳谷組?確か特選小隊の『ウビーイツァ』の管轄だったはずだが?」


ライジェフには本当に心当たりがないらしい。


ライジェフ「ウビーイツァは隠密に作戦を実行する。目撃者はいないはずだが?」


プルルルッ


ライジェフの携帯がまたなり始めた。


ライジェフ「私だ。」


???「ウビーイツァ小隊長のニコライ大尉です。部下の証言より徳谷甲三の娘を取り逃がしたことが判明しました。」


ライジェフ「なんだと!?」


ニコライ「失態でした、まさか脱出用の通路を地下に作っているとは、昨夜まで追撃を行なっておりましたが徳谷深雪だけを取り逃がしてしまいました。」


ライジェフ「気にするな、ミスなど誰にでもある。」


ニコライ「申し訳ございません。」


ライジェフ「徳谷深雪のことは任せてくれ、俺がなんとかする。」


ニコライ「ヤー」


ライジェフは電話を切ってから着ていたコートの内ポケットに手を入れた。


鷹志「何をする気だ。」


ライジェフ「決まっているだろう、徳谷深雪を殺す。」


鷹志は驚愕した。


鷹志「なぜだ、もう決まったじゃないか、彼女は地獄を見たんだ!これ以上の抗争をなぜする必要がある!」


ライジェフ「ボスはそれを望んでいる。」


鷹志「お前たちはビジネスマンだろ!?自分たちは殺し屋じゃないって言ったのは貴様らだろ!!」


ライジェフ「情でも湧いたのか?」


鷹志「答えろ!!」


ライジェフ「我々グロズニィがビジネスマンならボスは社長だ!!社長の命令は絶対なんだ!!」


鷹志「地獄を見て弱っている高校生を殺すのか!?」


ライジェフ「地獄なら我々もとうの昔に見ている!アフガンで目の前で拷問されて死んでいく仲間や補給が届かずに仲間の死体に喰らいつく友軍!!さらには欲が満たされずに民間人の死体に腰を振る異常性癖者、そんな生地獄と比べればかわいいものだ!」


鷹志「死にたいのか?」


ライジェフ「死にたかったが誇り高き赤軍として死ななかった。」


2人の間にはしばらくの間沈黙しかなかった。


鷹志「裏の人間にも落とし前の付け所があるよなぁ?」


ライジェフ「そうだな、決着をつけよう。」


そう言うと2人は病院の屋上に上がった。

屋上のドアには鍵がかかっていたが壊して屋上に上がった。


2人は互いに銃を取り出した。


鷹志はルガーP08。

ライジェフはトカレフTT 33。


2人の髪の毛は風でなびいている。

鷹志の癖毛は固くなびき、ライジェフのサラサラの金髪は流れるようになびく。


ライジェフ「鷹志、君も我々と同じで死地を見てきたと思っていたが案外青いな。」


鷹志「貴様こそ、ここが合法的に人を殺していい土地だなんて幼稚な考えをしてるように見えるぜ。」


ライジェフ「勝負は1発だ、薬室の1発だけで勝負を決めてやる。」


鷹志「いいぜ?かかって来いや。」


再び沈黙が訪れる。

お互いに一瞬でも違う方向に警戒が向くのを待っていた。


しかし2人の集中はとぎれない。


すると突然風に乗って紙が飛んできた。

それはなんの変哲も無いスーパーの特売のチラシ、しかしそれが鷹志とライジェフの間には一瞬間、チラシには2つの弾丸の跡が残っていた。


ズドォォン!!


響いた銃声はまるで1発だったが確実に2発の弾丸が飛び交っていた。


ライジェフの弾丸は鷹志のもみあげをかすめ、鷹志の弾丸はライジェフのトカレフのスライドを破損させていた。


ライジェフ「ちっ、これでは残党を狩ることはできん。今日のところは帰らせてもらう。」


ライジェフは携帯で誰かと連絡を取りながらおりていく。

鷹志はその背中を黙って見ていた。


鷹志はその後病院の休憩所で1人夕日を眺めながら病院のコンビニで買ってきたケーキを食べていた。

考え事が止まらない。

はたして鷹志は深雪のことを守るべきか、それともライジェフの行動を見逃すべきか。

それがどうしても決まらなかった。


鷹志「不用意に他人のことに首を突っ込まないのはわかってる、でも…」


???「あなたは…」


休憩所の入り口の方から声がした。

振り向くとそこには徳谷深雪がいた。


鷹志「もうよろしいのですか?」


深雪「ええ、なにやら怒鳴り声が聞こえたもので、心配になったんです。」


深雪はあの討論を聞いていたのだ。


鷹志「お恥ずかしい限りです、そんな大したことのないことだったのですがね。」


深雪「私を殺すんですか…」


鷹志「!?」


深雪「私の立ち位置は既に心得ています、組長の一人娘で既にものの判断が可能となった私は彼らからすれば危険なのでしょう。」


何もかもが見通されているように感じていた。

恐ろしく早い状況分析、判断、まるでふつうの高校生とは思えなかった。


深雪「それが運命なら受け止めます、しかし無抵抗のまま殺されるのは嫌なんです!」


鷹志「私に守ってほしいとおっしゃるのですか?」


深雪「奴らからそんなことが可能なのですか?」


鷹志「そういえばまだ名を名乗っていませんでしたね。」


深雪はキョトンとしている。

どうやら鷹志が何者かわかっていないのだ。


鷹志「鷹を志すと書いて鷹志、要人護衛から暗殺まで全てをこなす仕事人と思ってください。」


深雪「殺し屋だったのですか!?でも、なんで私なんかを…」


鷹志「類は友を呼ぶってことでしょう、どうします?助けが必要ですか?」


深雪「…」


深雪は考え込んでいた

はたして無関係のしかも命の恩人をこのような自分勝手なことに巻き込んでいいのか。


鷹志「今ならあなたの気持ちが少しわかります。」


深雪「え、」


鷹志「俺も両親を殺されてこの世界に自ら足を踏み入れました。銃を握った瞬間、復讐の精神の裏に本当に無関係な人間をこれから殺すのかという不安もありました。」


深雪は心の奥に抑え込んでいたことを当てられてしばし焦っている。


鷹志「一度助けた命だ、この際最後まで救いきるのが俺の仁義です。」


深雪「……わかりました、そこまでの覚悟を持ってくださっているのなら私も割り切ります、私の護衛、よろしくお願いします。」


この時、ライジェフと鷹志の戦争の幕が切って落とされた。

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