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死者に愛を込めて、2

キャラクター紹介


畝傍鷹志、成り行きで殺し屋になることを選んだ高校生。復讐を遂げてからサイコパスのようになるが人間らしさが戻ってくる。


東城綾乃、國虎の屋敷で生かされていた。TAKASHIの襲撃により崩壊した國虎邸から脱出し鷹志に助けられた。


TAKASHI、ナム帰りの元傭兵で銃撃戦、肉弾戦などすべての分野で最強と名高い。殺し屋として日本で活躍している。


枝吉唐ノ助、TAKASHIを裏切った過去を持つ元傭兵。今は特殊部隊の司令官として日本で活動している。


伊勢日向、人質を取られて鷹志と戦わされていた剣術士。その太刀筋は弾丸を切り裂く。しかし剣術が示現流に近いため弱点もまた多い。


ライジェフ、ロシアンマフィアグロズニィの大幹部。元ソ連軍で指揮能力が高い。階級は少佐だったようで部下からは『ライジェフ少佐』などと呼ばれている。


ソブロフ、ライジェフの部下で信頼されている。暴走しがちなライジェフたちを抑制する唯一の存在。いまいち陰が薄い。


レイア、主者の殺し屋でそこそこ美人。派手な洋服の中には携帯用武器を大量に隠してある。調香術も得意で鷹志を苦しめた。

鷹志「グハッ!!」


ガシャーン!!


もはや週末賑やかなはずのファミレスにはその2人しかいなかった。


1人は派手な洋服に身を包んだ不思議な女性。

1人は制服に身を包んで流血している高校生。


2人は殺し屋、それも最強と呼ばれる殺し屋である。


レイア「あらあら、さっきまでの威勢はどちらへ?」


鷹志「まだあるよ!!」


ズドンズドン!!!


弾丸はまたレイアの脇腹の横を通っていく。


鷹志「ちぃっ…(何故だ、何故当たらない。)」


弾丸が当たらないことに鷹志は困惑していた。













ファミレスのちかくの通り〜


TAKASHIはなんとなく通りを散歩していた。

TAKASHIのように殺しだけで生計を立てている人間からすれば仕事のない日は退屈の極みだ。


仕事のない日は普段こうして適当に散歩に出かけるのだが限って問題ごとは起こらない。


しかしこの日だけは違った。


車道からクラクションが聞こえた。


TAKASHI「うるさいな、ん?」


クラクションを鳴らしていたのは白いバンだった。しかしそのバンの後ろにはさらにバンが5台ほど並んでいた。


TAKASHI「ヤクザか?いや、ヤクザにしては何か違うな。」


最後尾のバンの屋根には何かが付いているのだが布で覆われている。


バンの車列はそのままとある方向に消えていった。

そのバンが向かった方向とはすなわちファミレスのある方向だったのだ。









ファミレス〜


鷹志「はぁ、はぁ、中々くたばらねえな。」


レイア「あら、それはこっちが言うべきことでなくて?」


鷹志「知るかよ!!」


もはや弾丸は効かない。

だからといって止まって考えるわけにもいかない。

鷹志には攻撃を続けるしか手段がなかった。


鷹志「…(止まれば打つ手がないのがバレる、なんとしても動かなければ。)」


鷹志は肉弾戦でレイアに打撃を喰らわせようとしたが素早い動きでこれまた避けられる。

ナイフを使おうと何をしても避けられる。


鷹志「くそっ、参ったな。」


その時、鷹志の目にエアコンが入った。

なんの変哲も無いただのエアコン。

しかしそれは追い込まれている理由なのだと鷹志は悟った。


鷹志「そうか!調香術か!!」


レイアは調香術によって鷹志の遠近感を麻痺させていたのだ。


鷹志「なるほどな、これは流石に殺し屋専門の殺し屋と呼ばれるわけだ。」


謎は解けたが残念ながら打つ手がない。


ここからまた同じことを繰り返すと思っていた鷹志だったが思わぬところで奴らが来た。



???「ファミレス内の犯行者、直ちに床に伏せなさい。」


警察のようだった。

鷹志は堪忍して床に銃を置いてゆっくりと伏せた。


鷹志「ちっ、運がない。」


しかしレイアは違った。

レイアは鷹志が伏せた瞬間、ナイフで鷹志の首を狙った。


鷹志「しまっ…」


ドガガガがガガガガガガガガ!!


突然の銃声。

さっきまでナイフで首を狙っていたレイアはファミレスの机を何重かにして弾丸をしのいでいる。


しかし警察はこんな簡単に銃を撃たない。

そもそもサイレンが聞こえなかった時点で警察じゃなかったのか。


銃声がやんでゆっくり立ち上がるとそこにはライジェフたちがいた。


ライジェフ「やあ、元気だったかい?」


鷹志「これで元気に見えるか?まあいい助かった。」


ライジェフ「例には及ばん。それよりも奴はまだ生きてるんだろう?とどめを刺しちまいな。」


鷹志はライジェフの言葉通りにレイアに近づいた。

しかしさっきまでいたところにレイアの姿はなかった。


鷹志「逃げられた…」


突然目の前にナイフが現れた。

すぐさまそれをさばいて次の攻撃に備える。


鷹志「何処だ、何処にいる。」


ドゴォ!!


突然足元の机が弾けたと思ったらレイアが出てきた。

こうなることを読んでいたのだ。


鷹志は反撃のために踏ん張るが力が入らずそのまま倒れた。


鷹志「ヤベェ」


レイアはハイヒールのかかとのところが刃物になっている特別靴でかかと落としを決めに来た。


ガン!!


かかと落としは空振り、床に靴が刺さっている。


鷹志「距離を詰めるならこれしかない!!」


鷹志はマチェットを取り出してレイアに斬りかか…らなかった。


鷹志はレイアの足を踏んだまま自分の足もろともマチェットで串刺しにした。


鷹志「ぐっ…」


レイア「あなた、正気なの?」


レイアは苦痛に顔を歪めながらも鷹志に問い詰める。


鷹志「その調子じゃポーカーフェイスは終わりみたいだな。」


レイア「私は正気か聞いているの!!」


鷹志「まあ正気と言うよりは必死だな、誰も自分の足を貫こうなんて考え付かないだろ?」


レイア「ふざけないで!!」


もう片方の足でレイアは鷹志の脇腹を蹴った。

鷹志は吐血し弱っている。


レイア「私はあなたを殺して逃げることも可能なのよ。」


鷹志「それは…どうかな!!」


脇腹にはいった足を鷹志は掴んでニコリと笑った。


レイア「それで勝ったつもり?」


鷹志「いいやまだだ!!」


そう言うと鷹志は床に転がっていたレイアのナイフを拾い上げてまた不敵な笑みを浮かべた。


鷹志「生きることを哀願するのは手前だ!!」


グサッ!!


レイア「ぐぁぁぁ!!」


レイアの足首には深々とナイフが突き刺さっている。

レイアは両足を封じられたのだ。


鷹志「たとえ調香術で感覚を殺そうともこの距離ならはずさねぇ、さてと、両足を封じればいくら速くても逃げきれんだろう。」


レイア「それはどうかしらね。」


鷹志「仮にこれからお前が俺を殺しても外にはグロズニィのメンバーがわんさかいるんだ。」


レイア「たかがマフィアに何ができるの?」


鷹志「連中を舐めちゃいけないな。奴らは筋金入りの軍人だぜ?」


レイア「そう、よかったわね。あなたを殺してここから逃げるわ!!」


拳を振り上げるレイア、それとともに机の上に置いていた灰皿を手に取る鷹志。


レイアが鷹志を殴った瞬間、レイアの拳はバキバキになっていた。


鷹志「この店の灰皿は残念ながら金属製なんだ。本気で殴ろうものなら灰皿が凹むか指が死ぬかどちらかだ。」


レイア「ぐぐっ…」


鷹志「慣れない格闘戦はするなってことだ。とは言ってもこの教訓は使えねえな。今日ここで死ぬからだ。」


鷹志はさらに灰皿でレイアの頭を思いっきりどついた。


ガツン!!


1発では飽き足らず何度も何度も殴り回していた。

ついに意識がなくなり力が抜けていく。


鷹志「全く、手間かけやがって。ライジェフ!!こいつをどうにかしてくれ。」


ライジェフ「わかってるよ。A、B隊は店内に突入!!C隊はソブロフ中心に警察を食い止めろ。」


グロズニィのメンバーがマチェットを抜いた。


そのまま鷹志はバンに乗せられた。

レイアは別の番に乗せられているようだ。


ライジェフ「総員撤退!!」


グロズニィのメンバーは慣れた動きで続々とバンに乗り込んでその場を去った。


ライジェフ「大丈夫か?」


鷹志「少しカッコつけすぎたよ。」


ライジェフ「応急処置くらいはしてやる。」


鷹志「ああ、助かるよ。」


なんとなく会話している2人だったが鷹志は気づいていた。



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