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死者に愛を込めて、1

キャラクター紹介です。


畝傍鷹志、成り行きで殺し屋となることを選んだ高校生。サイコパスみたいになっていたが最近戻ってきた。


東城綾乃、國虎に監禁に近い状況で育てられていた。心に深い傷を持っていたと思われるが案外普通だった。


TAKASHI、ベトナム帰りのベテランで傭兵時代の技術を活かして殺し屋をしている。鷹志の両親を間接的に殺したことに罪悪感を少なからず持っている。


枝吉唐ノ助、彼もベトナム戦争を生き抜いた歴戦の古強者。TAKASHIを裏切った過去を持つが今は対テロ部隊の司令官をしている。


伊勢日向、主者に人質を取られて鷹志と死闘を繰り広げたイケメン天才剣術士。その太刀筋は弾丸も切り裂くほど。


ライジェフ・ガルベスカ、ロシアンマフィアのグロズニィの大幹部。かつてソ連軍では名の知れた軍人だったがソ連崩壊とともにグロズニィに入った。


ソブロフ、軍人時代からのライジェフの相棒。暴走しがちなライジェフたちの唯一の抑制役といっても過言ではない。かなり慎重にことを進める。


レイア、主者から送られてきた対殺し屋専門の殺し屋。見た目は綺麗な女性だがポーカーフェイスで戦い方も機動力を駆使する。


???「彼らが裏切るとはな。」


???「まあ想定内といえば想定内だよ、この程度の損失なら取り戻せる。」


???「それにしてもタカシは若干トラブルに巻き込まれすぎじゃないのか?やつ自身は何もしていないのに我らとは別に奴の命を狙うものまで出て来たのだぞ?」


???「ああ、あの女や兄弟の殺し屋か、まぁそれほどあいつにはこっちの世界を変えるほどの影響力があるってことだよ。」


???「確かに奴がこちらに来てからあまりなかった殺し屋同士の戦いが増えて来たように思えるな。」


???「だからいったんだ、始末しろってね。」










学校〜


「鷹志〜、その傷どうしたんだよぉ〜。」


鷹志「別段大したことねえから1人にさせてくれよ。」


土日のうちに何があったのか聞こうと群がる鷹志の同級生、それを冗談抜きで鬱陶しく思う鷹志。


日向「やめてやれよ、鷹志も傷が癒えてないんだからさ。」


「しゃーねぇな。」


みんなは日向の声を聞いて鷹志の元を離れた。


鷹志「ふぅ、厄介ごとにまた巻き込まれた。」


日向「また主者か?」


鷹志「今回はロシアンマフィアだ。」


日向「ロシアンマフィア!?日本に来てるのか?」


鷹志「来てるどころか近くに事務所を作るそうだ、まったく。」


日向は昨日廃工場で起きたことを知らない。


昼休み、鷹志と日向が弁当を食べていると綾乃もやって来た。


綾乃「ごはんたべましょ。」


日向「怪我は大丈夫なのかい?」


綾乃「怪我はしてないから大丈夫だよ、それよりも昨日の鷹志かっこよかったのよ。影からいきなり出て来て助けに来てくれて…モゴモゴ」


鷹志は綾乃の口を押さえて言った。


鷹志「やめろ、恥ずかしい。」


日向「へぇ、ヒーローは遅れてくるものだよね。」


鷹志「ヒーローになるくらいだったら悪の組織の大幹部の方がかっこいいだろ。」


しばらく3人は談笑していたが突然鷹志のカバンの中から音が聞こえた。

鷹志がカバンから取り出したのは無線機だった。


綾乃「ちょっと、学校は携帯禁止でしょ!!」


鷹志「携帯じゃありませ〜ん、携帯式無線機で〜す。」


ベチン!!


鷹志「うんたらけてるびぃーねヴィクトーリヤ!!」


またわけのわからない奇声が飛び出した。


鷹志「TAKASHIさんですか?」


TAKASHI「正解、聞いたぞ、昨日ロシアンマフィアに襲われたんだってな。」


無線してきたのはTAKASHIだった。

すでにロシアンマフィアのことを知っているようだ。


鷹志「襲われたと言っても損害はありません。むしろ俺たちに協力的とも思えました。」


TAKASHI「奴らと例の組織の関係は?」


鷹志「俺を殺すために雇われたようですが奴らが主者を裏切りました。」


TAKASHI「ま、そうなるとは思ったがね。」


鷹志「?」


TAKASHIはまるでライジェフがどのような人物なのかを知っているようだった。


鷹志「TAKASHIさんはライジェフ・ガルベスカを知っているんですか?」


TAKASHI「傭兵を辞めた頃に噂で聞いたよ、ソ連崩壊後もライジェフっていうソ連少佐が独断でロシアを再びソ連にしようとしたそうだ。」


ライジェフは元軍人、それとともに元クーデターだったようだ。


TAKASHI「ソ連崩壊後もソ連軍を名乗り続け、ロシアの国会議事堂に重武装で侵入、中にいた多数の警備員をその場で射殺して国会議事堂を乗っとったんだ。」


鷹志「で、ライジェフたちはどうなったんです。」


TAKASHI「部下が次々に狙撃兵からの攻撃を受けて残り200人を切ったときにライジェフが自らの身を犠牲にして部下を逃したんだ。」


鷹志「それならライジェフは死んでるはずじゃ。」


TAKASHI「裁判にかけられたがもちろん極刑、でも奴は部下の手助けもあり脱獄した。そして200人近くの部下とともにグロズニィに入ったってわけさ。」


鷹志「つまりライジェフは世界のお尋ね者ってことですか?」


TAKASHI「ああ、捕まえたら3代後まで遊んで暮らせるくらいの懸賞金がかけられてるって話さ。」


この無線を聞いていた綾乃がこっそりとその場を離れようとするが鷹志はそれに気づいて綾乃を捕まえた。


綾乃「捕まえに行きましょ!!豪遊しても使い切れないほどのお金もらえるんでしょ!!」


初めて会った時はあんなに静かそうだったキャラが今では崩壊してしまっている。

いつの間にか天然が目覚めた綾乃を捕まえて鷹志はため息をついた。


鷹志「豪遊しても使い切れないほどの金は必要ないだろ。そんなもん持ってたらかえって空き巣に狙われる。そんな爆弾を抱えて盗難に怯えるなんてごめんだね。」


日向「盗難がどうとかは関係ないけど今はそんな大金を掴むものじゃない。」


鷹志と日向は乗り気じゃなかった。

敵対しないものにちょっかいをかけるとそのツケは後々大きなものになると知っていたからだ。


TAKASHI「それより聞いてくれ。」


無線の向こうからTAKASHIは言った。


TAKASHI「昨日成田空港に着陸した国際便の旅客機の乗客の1人に対殺し屋の殺し屋が乗り込んでたらしい。」


鷹志「それがどうかしたんですか?」


TAKASHI「奴が日本に来ることなんてなかった。おそらくお前の命を狙っているだろう。お前がこっちの道に来てからはやけに殺し屋同士の殺し合いが増えた。それを主者が懸念したに違いない。」


成田空港に殺し屋、鷹志は日向に聞いていた主者の回し者だと思った。

それは半分正解で半分は不正解。

飛行機に乗っていたのは回し者とは程遠い『主者』の幹部だった。


鷹志はそれから基本的に銃とナイフを持ち歩くようにしていた。








TAKASHIの無線を聞いてから約三週間、鷹志は高校の友達とファミレスに食事をしに来ていた。

綾乃も一緒にいて友達からは「2人とも付き合ってるんだろ」などと冷やかされていた。


綾乃「ちょっと、冷やかさないでよ。(嬉しい)」


鷹志「やめろよな。(いつTAKASHIさんの言っていたやつに捕まるかわからない。)」


気を緩めまくりの綾乃、気を抜けない鷹志、妙な空気だった。


カランカラーン


店員「いらっしゃいませー。」


鷹志「??」


一瞬身構えた鷹志だったがファミレスに入って来たのは友達に呼ばれていた日向だった。


友達「日向〜、ここだぞ!!」


日向「よぉ、呼んでくれてありがとう。」


日向は部活の帰りなのか日向は剣道の竹刀入れを背負っていた。


鷹志「…(こんなことに気を尖らせてたら過労死しちまう。)」


そんなことを考えていると一瞬、何かを感じた。

言葉では言い表せない不快な感じ。

それは一斉に人々が悲しげな声を上げたかのような変な雰囲気だった。


鷹志「…(何かくる)」


カランカラーン


店員「いらっしゃいませー」


今度ドアから入って来たのは女性だった。

黒くてヒラヒラの多いドレスと見える洋服を着ていた。

足元は見えずらかったがハイヒールを履いていた。


鷹志「日向、トイレ行こうや。」


日向「ああ、いいよ。」


鷹志と日向はトイレに入った。

ファミレスのトイレは少し広く、2人で入っても怪しまれなかった。


鷹志「あいつ。」


日向「間違いない、例の奴だ。」


日向もその雰囲気に気が付いていた。

それもそのはず、人の気配を読む殺し屋は雰囲気を肌で感じ取ることが多い。


鷹志「野郎が来た目的は十中八九俺だ、俺が気を引きつけている間に綾乃たちを連れてここを離れるんだ。おk?」


日向「わかったよ、任せてくれ。」


2人の話がまとまったところで2人はトイレから出た。そして日向はみんなを引き連れてファミレスを出て行った。


会計は全て鷹志だがそれでも知り合いに死者を出すよりマシだった。


鷹志「こい、来いよ、首筋から噴水あげさせてやるよ。」


その言葉を聞いていたかのようにその女性は鷹志の元に来た。


???「あなたが鷹志ですね?私はレイアというものです。」


鷹志「はっ、俺の首を取りに来たってわけか、そんな簡単に俺は…」


突然目の前にナイフが見えた。

サッと首を曲げてナイフを避ける。

鷹志は不意をつかれた感じになった。


バランスを崩す鷹志にまたナイフが刃を向ける。


レイア「あなたを逃すわけにはいかないの。」


投げられたナイフはダーツのように鷹志に向かって飛んでくる。


それも鷹志は避ける。


レイア「あら、なかなか耐えるわね。」


鷹志「そうだろ?俺はこれでも何人かすでに始末してるんだぜ?」


レイア「それは意外、でも安心してください。あなたが生きるのは今日が最後です。」


鷹志「そうかよ!!」


ズドォォン!!


突然の銃声に店内は一瞬だけ静まったが客や店員は全員逃げ惑い始めた。


客「あの人銃持ってる!!」


客「きゃぁぁぁぁ!!」


あたりに逃げるために人が入り乱れる。


レイア「これでは銃を撃てませんね。」


鷹志「なんで死んでないんだ?弾丸を発射された後に避ける人間なんていないはずだ。」


レイア「私を人としてみないでください。」


鷹志「ははっ、たまげたな、まさかこんな奴に会えるとわな!!」


鷹志は流れ弾が他人に当たらないようにレイアに走って接近した。

ナイフを振り上げたレイアの手を掴んで鷹志は腹に銃を当てた。


鷹志「チェックメイト!!」


ズドォォン!!


鷹志「!?」


弾丸はまた当たらなかった。

レイアは銃口が密着した状態から弾丸を避けたのだ。


レイア「なんだやっても当たりませんよ!!」


ナイフが鷹志の右腕に刺さった。

さらに痛みで悶絶する鷹志にかかと落としを浴びせるために足を上げた。

履いていたハイヒールのかかとが外れて尖った突起物が出ていた。


レイア「これで終わりにしましょう。」


足は思いっきり振り下ろされた。


ズドォォン!!


鷹志に穴は空いていなかった。


しかしレイアのかかとの突起物が粉々に割れていた。


レイア「あらまぁ。」


鷹志「死ねぇ!!」


ズドン!!


レイア「またこの手ですか…」


レイアは難なく避けた…つもりだった。

レイアの脇腹にはかすった跡が付いていた。


鷹志「惜しいな。」


レイア「そうですか、ブラインドですか。」


ブラインドとは基本的に死角から攻撃することである。

鷹志は弾丸をほぼ同時に2発撃って1発目の弾丸に2発目の弾丸を隠したのだ。


鷹志「これで死なねえなら…」


ガシャッ


鷹志の上着の下からはマック11というサブマシンガンが出てきた。


鷹志「これでくたばれ!!」


トタタタタタタタタタタッ!!


独特な銃声がでる。

すでに周りの人は避難し終えていた。


心置き無く弾丸を発射できるがレイアには当たらない。

突然レイアは目の前から消えた。


鷹志「ど、どこに…」


ガコン!!


鷹志は宙を舞っていた。

なんとレイアの足払いで回転していたのだ。


鷹志「くそっ!!!!」


鷹志は地面に叩きつけられて流血した。


レイア「この程度では私の相手になりませんわ。」


鷹志は朦朧とする意識を無理やり起こしてレイアに銃を向けた。

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