次の暗殺者
1944年、世界は第二次世界大戦の最中でありとあらゆる兵器や戦法を生み出した。
その中でもっとも危険視されていたのが『クローン』だった。
クローンの何を恐れるのかと言われたらまずは反逆だろう。
優れた兵士を作るための技術であるがために反逆をおこされたらひとたまりもない。
しかし反逆の恐怖とともにすすめられていたクローン開発計画も日本が降伏したこと、さらには大量虐殺兵器『核』の登場によって必要性がなくなった。
その後世界は核実験を繰り返し行った。
しかしその裏では核実験を利用した『処分』が行われていた。
必要性がなくなったクローンたちは既に実践使用可能レベルにまで成長していたが核兵器が世界を席巻していく中での必要性はゼロだった。
処分に困った各国は核実験を理由に多数の標的を決めた。
それがクローンたちだったのである。
枝吉「しかしそれを実戦に投入したのが我々だ。」
ズドォォン!!!
突如として向かいのビルから銃声が聞こえた。
弾丸は運良くTAKASHIの頬をかすめた。
しかし鋭い狙いがTAKASHIの感を働かせた。
TAKASHI「向かいのビルといえど700ヤード、日本人にしたらいい狙いだ。俺がいえたことじゃないがな。」
枝吉「お前は変わってしまった…これまでのお前ならともに行くことを選んだろうに。」
TAKASHI「かわってしまったのではない、かわったのだ。そしてかわってしまったのはお前たちだ。人を殺せば容易く人は変わってしまう。」
枝吉「俺は変わってなどいない、俺は俺だ、これまでもこれからも何も変わらず変えずに司令官として生き長らえる。」
TAKASHI「生き長らえる?女に惚気たか。」
ズドォォン!!!
TAKASHIが言った途端に向かいのビルのスナイパーが次の弾丸を放った。
今度はTAKASHIの肩に直撃した。
TAKASHIはその場に倒れこむ。
枝吉「俺が配備したクローンスナイパーの装備はM40スナイパーライフルだ。ひとたまりもないだ…」
枝吉が余裕を見せた途端にTAKASHIは立ち上がった。
枝吉(そんな馬鹿な…奴は防弾チョッキを着用していないはずだ。)
枝吉はそんなはずないと思い再び射撃させる。
しかし今度は当たらなかった。
その代わりにTAKASHIの周りにはなんともいえないオーラのようなものがまとわりついていた。
それは素人には認知できないもののようでベテランである枝吉だからこそ感じたものだった。
枝吉「これか、これがTAKASHI生存の秘密…これがTAKASHIが殺してきた人間の怨念。」
TAKASHIはこれまで殺してきた人間の怨念ともTAKASHI自身の殺気とも言えるようなオーラを纏うことができる。
これは普通の軍事訓練では習得できないものと考えられている。
このオーラが放出されたとき、まるで空間がねじれているように見え、TAKASHIに発砲しても弾丸は直撃しない。
それは幻覚に過ぎないが周りの兵士がTAKASHIのオーラに自身の危険を察知することで発動するものだ。
TAKASHIはそれを使ってクローン兵の弾丸を避けた(?)のだ。
TAKASHI「俺の武装と700ヤードのスナイパー。はっきり言って俺が狩られる側か…」
枝吉「そんな、あり得ない…」
今度は枝吉が呟いた。
TAKASHI「何をぶつぶつ言ってやがる。」
枝吉「お前、何しやがった。」
TAKASHI「??」
TAKASHIにはたいした心当たりがなかった。
TAKASHI「俺は何もしてないが?」
枝吉「嘘つくなよ!!スナイパー1との通信が途絶された。」
TAKASHI(スナイパー1?あのビルのスナイパーか?)
TAKASHIはもちろん何もしていない。
ピストルで700ヤードなんて人間じゃない。
これに関してはTAKASHIでも枝吉でもできないことだ。
???「……次は貴方だ。」
ビルの屋上では首を切断されたクローン兵の死体と高校生くらいの人影がたっていた。
「わかりました、すぐに向かいます。」
鷹志は既に殺しの依頼を受けるくらいにまで名声を轟かせていた。
盤上亜里沙は裏社会では有名な人間で、何人も殺そうとして失敗していた。
それを1人の高校生が罠一つ仕掛けずに正面から完全に殺した。
それから鷹志は有名になり今は組織の生き残り狩りを行なっている。
これは一緒に住んでいる綾乃のために金を稼ぐということも込めて行なっていた。
鷹志は今日はサイレンサーが付いたワルサーPPKを持って暗闇の中に消えていった。
???「まずは奴から調べつくしてやるか…」




