TAKASHIのメッセージ
TAKASHIの考察より〜
『1人の少年に殺しの技能を伝授した、その少年は鷹志といい俺の呼ばれ名と重なる。
鷹志には両親の復讐という殺意に満ちた目標があったが冷静だった。
彼には体操選手のような柔軟性、ダンサーのような身体能力、レスラーのような体幹、学者のような頭脳が備わっているわけではない。
しかし彼には才能がある、殺しの才能が…
彼は銃を握って三週間ほどで恐ろしいほど上達した。
銃だけではなく俺のワイヤートラップや体術、毒薬なども心得ている。
彼にはさらに殺しの才能だけでなく学習能力もある。
これはこれまでその才能を使わずに落ちぶれた人生を歩んでいたが今回の一件でその能力を開花させるきっかけになったことだろう。
そして彼はおそらく復讐を完遂した。
彼が殺しを成功させたということは初めて人を殺すときに生じる「アレ」を克服したのだろう。
アレとはすなわち「罪悪感」だ。
人は人を殺す際に少なからず罪悪感を感じる。
そして殺す側の人は殺される側の人の命乞いなどを聞くことによって罪悪感が増大し、吐き気や頭痛、最悪嘔吐をおこす。
殺す際に罪悪感を感じない人も中に入るがそいつらは怒りや激情に駆られたものかサイコパスくらいである。
おそらく彼には自己暗示をかけるだけの集中力がある。
その集中力をさらに磨けば万に通じる最強の殺し屋になれるはずだ。
そうなればTAKASHIを引き継いでもらおうと思う。
俺がこう書くのは俺が死ぬ可能性があるからだ。
俺にはマウントジャンゴの元メンバーだという過去がある。
SAWTの重役に置かれている枝吉刀ノ助はかつてのメンバーであり、マウントジャンゴが撤退した原因だ。
俺はベトナムの悪魔なんて呼ばれていたが枝吉は「ジャングルモンキー」と呼ばれていた。
ジャングルを猿のように飛び回り、愛銃のSAAで確実にベトコンを射殺していく姿と日本人をかけられた皮肉なものだった。
枝吉は俺に次ぐマウントジャンゴのエースだった。
しかし枝吉は米軍に勝ち目がないのを悟ったのか突然寝返ったのだ。
それによりマウントジャンゴの兵士の士気が下がり極秘にすすめられていた「ベトナムコンバットオールアウト計画」が中止され、アメリカ軍の事実上の敗北が決まった。
事実、枝吉の亡命後から他に脱走する兵士が後をたたなかった。
いくら最強と言われても所詮は傭兵、統率が取れていなかったのだ。
その点は傭兵である限り仕方がない。
しかし、2人目のエースだった枝吉が脱走したのが気にくわない。
俺はその信念を絶やさずにこれまで殺し屋として銃を捨てずに生きてきた。
奴らSAWTの無線を聞いて枝吉が俺との一騎打ちを望んでいることを知った。
これはチャンスだ。
あいつも俺をよくは思ってないらしい。
それは俺も同じだ、枝吉は死ぬべき人間だ。
せめて俺の弾丸で息の根を止めて冥土に送り込んでやる。
もしも俺が死ぬようなことになれば二代目は鷹志だ。
俺はとどめを刺してくる。』




