プロローグ
ベトナム戦争においてアメリカ軍が事実上の敗北を喫したとき、表沙汰にはできなかったがアメリカ軍はその敗北の瞬間まで傭兵隊を雇っていた。
名前は「マウントジャンゴ」と言い、山岳地帯などの木が密集する地域で活躍した部隊だ。
なぜ表沙汰にできなかったかというと、マウントジャンゴのある戦闘員が強すぎたからだ。
その強さは山の中では大隊にも大打撃を与え、木が密集した地域では戦車でも1人で撃破する。
各国首脳はこの人物を自分の軍に入れたい、あるいは暗殺したい、とまで考えていた。
これだけの人物を表沙汰にすれば世界中が彼に飛びつく。
だからアメリカはマウントジャンゴを存在しないものとした。
しかし、アメリカ軍が撤退してから半年後、とある国で大金持ちや黒い噂を持つものが連続して殺害される事件が起きた。
アメリカはこの事件の主犯をベトナム戦争の悪魔という推測を立てて警視庁の捜査に協力、そして警察側はこの犯人をTAKASHIと名付けた。
しかしアメリカが捜査に協力してもう40年近く経った、だが犯人はまだ捕まらず、今も人々はTAKASHIに怯えている。
とある都市の高層ビル〜
「風向き…よし、風圧…よし、湿度62の27度、距離…1562メートル。」
ズドォォン!!
ベキッ!!
「ゲハッ!!」
「きゃぁぁぁぁぁ!!」
「人が殺されたぞ!!警察だ、警察を呼べぇ!!」
とある高層ビルの屋上に人影が一つある。
身長は170センチ前半で体格は痩せ型、こんな時期でもセーターを着ている。
帽子は少し年寄り臭くズボンも中年男性が履いているようなものでオシャレ感はない。
顔を見た限りでは40代〜60代の間と思われる。
そう、彼が、彼こそがTAKASHI、彼こそがマウントジャンゴの最強戦力、彼こそが日本最大の殺し屋。
TAKASHIは手に持っていたスナイパーライフルを分解し、ケースに戻してその場を去って行った。