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雷神の指輪と炎帝の腕輪
雷帝と呼ばれた青年は、綺麗な指輪をしていた。
それが煌くと電撃が迸り敵軍は一瞬で炭になった
と言われている。
青年が片手を上げると、閃光と共に鋭い稲妻の刃
が軍勢の中を走る。瞬く間にいくつもの首が落ち
て、血しぶきが舞う。
炎帝と呼ばれた少年は、綺麗な腕輪をしていた。
それが揺らめくと炎が溢れだし敵軍は苦しみの中
灰になっていったと言われている。
少年が腕を振り上げると、熱い揺らめきと共に、
灼熱の津波が軍勢をのみ込む。阿鼻叫喚の後に、
黒い影が無数に残された。