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知識と向き合う夜

 資料保管室を出て階段を下りると酒場がごった返していた。

 昼時の三倍は混雑している事に少し驚いたが考えてみるとこれは当然だろうと思う。

 迷宮に日帰りで魔物討伐に入った者達が夕方になりギルドに帰ってきて手に入れた物を売り、その金で酒場に食事や飲酒を楽しみに来るという流れなのだろう。

 揉め事に巻き込まれるのは嫌なので人と接触しないよう気を付けてギルドを出た。

 ギルドと迷宮の間の大通りにも飲食の屋台が多く出ていて食欲を刺激するいい匂いが漂っている。

 買い食いしたいという欲求がわいてくるが収入のない今むやみにお金は使えないだろう。

 グっと我慢し詰所まで歩いた。

 

 顔を出した詰所には俺を担当する騎士がちゃんといて、食事に誘われたので一緒に食堂に行った。

 食事を受け取り差し向かいで座るともうすぐ風呂の時間なので早めに食べてしまおうと言われる。

 食事をしながら聞いてみると魔物を倒す時どうしても浴びてしまう瘴気はそのままにしておくと体調不良の原因になるらしい。

 沈着してしまうほど放っていなければ水を浴びる位で洗い流せるようで、討伐者は魔物討伐をすれば最低でも体を拭いて身を清めるそうだ。

 ここでは帰還してくる討伐者の為に夕方ごろ魔道具で沸かした風呂を解放しているようで、案内するから入ろうと言う事だった。

 

 食事を終えて食堂を出ると鍵を渡され、渡した鍵は君の部屋の物で部屋に戻って装備を脱ぎ着替えを持ってまたここに来てくれと言って担当の騎士は足早に去って行った。

 部屋に戻り装備を脱ぎ朝言われた別の着替えを準備して、部屋に鍵をかけ元の場所に戻ると騎士が待っていてくれた。

 案内され一緒に入った建物はこぢんまりした銭湯のようで、脱衣所で服を脱ぎながらここでの作法を説明される。

 利用者が多いのでまずよく体を洗い、五分くらい湯船に浸かれば次の人に譲らなければいけないらしい。

 そのあと入った風呂は時間が短かったがここに転移してくる前を含めて久しぶりだったのでとても気持ち良かった。

 風呂を出て俺の部屋に向かう途中、事務所の様な所に立ち寄り騎士から蝋燭を一本貰う。

 次からは使い切った後頼めば一日一本までなら支給してくれるそうだ。

 俺の部屋の前まで来て火を何処で貰えばいいか騎士に尋ねると、部屋の中の物入れに在った道具で実際火を点けて見せてくれた。

 その道具は念じるだけで火種を起こせるライターの様な物で、俺が使える事を確認すると騎士は部屋を出て行った。


 教団からは何もないようなので、予定通り寝るまで借りてきた本を読んでこの世界についての知識を仕入れよう。

 ベッドに座り足元に在る袋からまず神話についての本を取り出した。

 集中して読み始めて直ぐ


速読スキルを取得した


取得したスキルも有効に使って読み進めた。

 神話の詳しい話は覚えておかなくてもいいだろうが、どのような神が居ると信じられているかは覚えておこう。

 この世界には六柱の善神と一柱の邪神が居るそうだ。

 先ず光の父神ゼスと命の母神クノアの二柱の夫婦神

 次にこの夫婦神の子供達とされる戦と政治の神アラス、創作の神ウルトス、商いの神ヘルクス、知識と魔法の女神ミルネの四柱の兄弟神

 最後に名前は出てこないが他の六柱の神に敵対する瘴気や魔物を生み出す邪神

以上がこの世界の七柱の神々だと書かれている。

 他に役に立ちそうな情報は暦についての記述が在り、閏日が無い以外は地球の物と同じで一週間をこちらでは六柱の神を冠する日と休息日で構成していると分かった。


 神話についての本を読み終わり袋に戻して次の本に手を掛けた時、明りが消えた。

 読書に集中するあまり最初に貰った蝋燭が無くなるのに気付かなかったようだ。

窓からの僅かな月明かりを頼りに替えの蝋燭と点火の魔道具を探すと、


暗視スキルを取得した


取得したスキルの御蔭で暗いままでも問題なく見えるようになったが目が悪くなりそうだったので替えの蝋燭に火を点けた。

 速読スキルを頼りに蝋燭の火が在る内に読み終えよう。


 次に迷宮についての本を手に取って読み始める。

 迷宮の始まりは過去この大陸全土を支配していた魔法帝国時代に遡る

 その時代に存在した今では魔王とも呼ばれる超級の魔物を封印する儀式魔法(膨大な手順を要する魔術と法術の合成術)の副産物として生み出された。

 封印の儀式魔法の内容は当初、大地の巨大な力の流れ、地脈の力を借りて対象を特殊な結晶に閉じ込め瘴気を吸い出し弱体化させ討伐するという物だったが、初めて封印の儀式魔法を発動したとき瘴気を吸い出すという術式部分が暴走し、魔物を封印した結晶を最奥に迷路状の階層が複数連なり魔物が発生する地下構造物、迷宮が発生してしまう。

 帝国の術師たちはこの事態に困惑したが、調べて行く内に迷宮が封印した魔物から瘴気を吸い出し内部に魔物を発生させている事が分かり、発生する魔物を倒し続ければ始めの方法より早く封印した魔物を弱体化出来る事まで分かると積極的にこの現象を取り入れ封印の儀式魔法を運用するようになった。

 迷宮のさらなる機能が分かったのは内部に封印した魔物を倒した後だった。

 封印した魔物を倒し処分が検討されていた迷宮で地脈から瘴気を吸い出し迷宮内に魔物を発生させることが分かったのだ。

 この事により大地の浄化にも迷宮が活用できることが分かり、多くの迷宮が作られていったが魔法帝国の崩壊時に封印の儀式魔法は失伝したようだ。

 

 以上の事が要約で迷宮の分類も記されていた。

 封印した魔物がまだ健在の物が封印迷宮

 地脈から瘴気を吸い上げる段階の物が浄化迷宮

 浄化迷宮の最下層に魔法帝国の遺産が隠されている物もあるようだが他の物と違って侵入者撃退用の設備も付けられているそうだ。

 読み終え迷宮の本を閉じると蝋燭がだいぶ減ってきていた。

 

 迷宮についての本を仕舞い地理の本を取り出すが、もう一冊分読む時間は無いだろうから地理の本は概要とこの辺りの事に絞って読もう。

 今いるこの大陸の名はヴァルノム。

 中央部分に大陸を西と東に分ける中央山脈が走っている。

 東側は地球の人類によく似た普人族が人口の殆どを占め他の種族は所々に固まって暮らしていて、普人族の国が幾つも存在し鎬を削りあっているそうだ。

 西側は様相がだいぶ違い普人族も多いがファンタジーでも定番の様々な姿の獣人、エルフ、ドワーフ、龍人族、などなど様々な種族も数多く暮らしていて普人族を中心に緩い纏まりで一つの国を作っているらしい。

 東側は光の父神ゼスの信仰が最も強く、西側は命の母神クノアの信仰が最も強い。

 概要はこれ位にしてギルドの支部名からこの町の名はコリレスだろうと当りをつけて探してみる。

 中央山脈の南と北の二ヵ所に東西を結ぶ地峡帯が在り、南側の地峡帯その東側の出口付近にコリレスという名前を見つけた。


 ここまで読んで蝋燭が燃え尽きまた部屋が暗くなってしまう。

 暗視スキルの御蔭でまだ本を読むことも出来るが無理をする必要も無いだろう。

 地理の本を袋に仕舞いベッドに横たわると直ぐ眠りに就けた。


お読み頂き有難う御座います。

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