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炎の溜り 1

 隣で寝ていたティアに起こして貰い、身だしなみを整え装備を身につけ、結界を解除して部屋を出た。

 食堂で朝食を済ませた後、宿の女将を捕まえて1週間宿泊の延長を申し込むと、快諾してくれたので前金で宿代を払ってギルドへ向かった。


 ギルドにつくと受付嬢に声を掛け、指名依頼で物資と人員の輸送を引き受けたと話すと、物資の集積場に案内すると言って先導してくれた。

 ギルドの敷地内にある倉庫へと案内され、ここにある物資をポーチに入るだけ入れて持って行って欲しいと指示される。

 荷物の収納作業を始める前に護衛をする人の事を訪ねると、もうすぐここに来るので出発の準備を急いでほしいと急かされてしまった。

 護衛対象を待たせるのは確かに不味いので、ファナにも手伝って貰い、俺とティアのポーチに物資を仕舞っていく。

 レンガや木材などの建築資材や、小麦や干し肉などの食料を、次々ポーチに仕舞っていると倉庫の外で人の気配が増えた。

 ポーチにはまだ物資が入るが余り人を待たせる訳にはいかないので、馬車3台分位の物資を俺とティアのポーチに仕舞った所で切り上げる事にした。

 詰め込む物資をカウントしてくれていた受付嬢の顔が何故か少し引きつっているが、今回はここまでだと告げると詰めた物資の明細を作ってくれ、それを受け取って倉庫の外に出ると4人の男性がいた。

 一人はギルドの、後の3人は大工の交代要員だと自己紹介してくれ、俺達も名乗って早速迷宮へ向かう事になった。

 ただ歩いて迷宮へ向かうのは時間の無駄のように感じ、7人位の人数で歩いて半日ほどの距離なら転移で飛べるかと試してみると、上手くいきそうなので声を掛けてそのまま全員を連れて転移した。


 少しだけ再建された砦の門付近に転移すると、門を警備していた騎士達が身元を問いただして来るがギルドの人が対応してくれ、すんなりと砦の中に入ることが出来た。

 砦の中に入った所で大工の人達とは別れ、ギルドの人に案内されて倉庫として使っているというかなりの大部屋に通された。

 部屋の中には僅かだが建築資材と食料が分けて置いてあり、持ってきた物資も同じように分けて置けばいいのだろうが、一応持ってきた物はここに全部出すのか聞いてみる。

 よろしく頼むとギルドの人が答えを返してくれたので、物資の明細を渡しファナにも手伝って貰って俺とティアのポーチから物資を取り出していく。

 建築資材と食料をそれぞれの場所へ分けて取り出していき、全ての物資を取り出し終えてギルドの人による数の確認と検品の終了を待っていると、突然倉庫の扉が開いた。

「物資が搬入されたと聞いた。どれほどの量が持ち込まれたのか確認したい。」

 扉が開くと同時に聞こえてきたその声の方を見ると、以前ここに巣食っていた盗賊団の討伐時に指揮下に入ったロンソンさんがいた。

 他にもロンソンさんの後ろには討伐隊を指揮していたアトミランさんと、二人の騎士装備をした人がおり、俺に気付いたロンソンさんが先に声を掛けて来てくれた。

「おお、セイジではないか、息災にしていたか?」

「はい、ロンソン様もお元気そうで何よりです。」

 会話をしながら倉庫に入ってきたロンソンさんが、手を差し出してくれたので握手を交わす。

 少しの間だがここに出入りする事になる以上、今のロンソンさんの立場を確認しておいた方が良いだろう。

 握手をしていた手を離すとこちらから切り出した。

「ここにいらっしゃるという事は、ロンソン様はここの警備を担当しているのですか?」

「ああ、一応だがここの砦主を任せて貰っている。迷宮発見という手柄のお蔭でな。そう言うセイジこそここにいるという事は、物資を輸送してきたのはお前達なんだな?」

「はい。亜空間ポーチを持っているという事で、物資輸送と人員護衛の指名依頼をギルドから受けました。暫くこの砦に出入りする事になると思うのでよろしくお願いします。」

「やはりそうか、今この砦は物資や人手が不足していてな、これからもよろしく頼む。」

 頷き返すとロンソンさんは次に持ってきた物資を確認していたギルドの人に話かけ、今回持ってきた物資の大まかな種類と数量を確認すると、連れて来た人達と共に倉庫を出ていった。


 今のやり取りで少し遅れた数の確認と検品をギルドの人が終わらせると、今回の分の物資と人員輸送の完了証をくれた。

 これで今日は終わりにして宿へ引き上げてもいいだろうが、まだ昼前だしプラーナとマナは十分ある上ギルドの倉庫に物資が残っていたので、もう一回転移で物資輸送をしてみてもいいと思う。

 完了証をくれたギルドの人にそう伝えると、ミラルテへ帰す者達を集めて来るので砦の前で待っていて欲しいと言い残し、倉庫に鍵をかけて俺達と別れた。

 案内させて経路を逆に辿り砦を出て待っていると、さっきの人が2人の男性を連れて砦を出て来た。

 ミラルテへ帰す大工の人達だと紹介され、ギルドの人に許可を取ってミラルテのギルドの訓練場へ全員で転移する。

 転移が無事終了すると少し早いが昼食の為、連れて帰って来た人達とはその場で別れた。


ギルドの酒場で昼食を取った後は、朝方と同じように砦へ物資を運んでまたミラルテのギルドに帰ってくる。

 午前と午後の分の完了証を換金し、累積の物資輸送量をギルドと確認して宿へ引き上げた。

 宿で夕食を取り部屋に戻ってからは、昨日と同じようにミルネ教会のアーツブックを確認し、ティアとファナに溺れて眠った。


 次の日、午前の物資と人員の輸送を前日と同じようにこなして転移でギルドに戻り、昼食を取って倉庫へ出向くと、午前中運んだ量の半分にも届かない物資しか倉庫の中には無かった。

 俺達が朝持って行った量まで物資が集まるには午後一杯かかると、倉庫を管理していた人が声を掛けてくれたので、午後はミルネ教会でアーツブックを読む事にした。

 続く2日も物資の集まりは同じペースだったので、午前中は転移で砦へ人員と物資を輸送し、午後はミルネ教会で過ごした。

 この3日で俺は武器や防具にプラーナを纏わせ攻撃力や防御力に耐久力を強化出来る気纏と言うスキルと、効果は同じでマナを纏わせる魔纏と言うスキルを身につけた。

 他にも以前覚えようと考えた魔物を寄せ付けない効果のある法術アーツ祓魔結界や、色々と役に立つと思う法術アーツ遮音結界を身につけ、後は王都へ向かう街道の詳細を調べてみた。

 ティアとファナにもアーツブックを読んで貰い、気鎧と魔装衣にプラーナ操作とマナ操作や気纏と魔纏のラーニングアーツを覚えて貰った。

 勿論3人で魔境へ入って、魔物相手にラーニングアーツを使いスキルへ上書きする事も忘れず行った。


気纏スキルを取得した

魔纏スキルを取得した

気纏スキルは気鎧術スキルに格納されます

魔纏スキルは魔装術スキルに格納されます

法術アーツ祓魔結界を取得した

法術アーツ遮音結界を取得した

法術アーツ祓魔結界、法術アーツ遮音結界は結界法術スキルに格納されます


 迷宮傍の砦へ物資と人員の輸送を始めて5日目、午前の輸送を終え、完了証を受け取って倉庫を出ると、聞き耳スキルが非常事態を告げる声を拾った。


お読み頂き有難う御座います。

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