迷宮の底 3
ギルドに入ると酒臭さは大分収まっていたがまだ弛緩した雰囲気が漂っていた。
そんな雰囲気のギルドの中を突っ切って迷宮に向かい、迷宮に入ると螺旋階段を下り10層を目指した。
10層に到着し螺旋階段付近から魔眼でメタルベアーを探してみる。
以前のようにメタルベアーは一体ずつで徘徊しているが迷宮を閉鎖していた影響だろうか、密度が格段に上がっていた。
異常事態なのかもしれないが狩りに来た俺からしてみれば、遭遇しやすいのはかえって有り難いので早速近くの魔物へと向かった。
10体ほどのメタルベアーを以前より楽に倒し、カードで時間を確認してみると夕方まではまだまだ時間がある。
このままメタルベアー狩りを続けようかとも思ったが、以前のミスリルゴーレム狩りの時見つけたが保留にしていた事があったのを思い出した。
丁度時間もあるし確認を済ませてしまう事にして、10層の迷路を地図と魔眼を頼りに以前アイアンゴーレムを倒した部屋を目指して歩いてく。
最短距離を進んで行き何度もメタルベアーと遭遇するが魔術で先制してそのまま仕留め魔核石と毛皮を回収し移動を再開する。
目的の部屋に着き中に入るとこの前と同じようにアイアンゴーレムが出現した。
近づいてくるアイアンゴーレムの核を魔眼で探し出し、ファイアージャベリンを撃ち込んで魔核石と帰還結晶に鉄塊の小山へと変えた。
一応魔核石と帰還結晶をポーチに仕舞い鉄塊はそのままにして魔眼で部屋の壁を調べ行くと、以前と同じ場所にそれを見付ける。
そこには壁を隔てて地下へ続く階段があった。
階段への通路が隠された壁に近づいて壁の中を透視眼で調べてみる。
動いた壁が収まるだろう空間を階段へ続く通路の上側に見つけたが肝心の壁を動かす仕掛けが見当たらなかった。
幾ら壁の中を透視眼で探しても仕掛けを見つけられないので、無理やり持ち手をつけるか壁に傷でもつけて持ち手にした方が良いのかもしれない。
そう考え材質的に加工できるか壁を鑑定眼で調べてみると、見える情報の中に壁の開け方も含まれていてがっくりきた。
ため息を一つ吐いて見えた情報通りに死蔵していたプラーナとマナを満タンに充填した帰還結晶をポーチから取り出すと、音を立てて壁が動き出し下層への階段に続く通路が現れた。
鑑定眼で見た通り満充填した帰還結晶がカギになって壁が開くで間違いなさそうだ。
気合を入れ直して通路に入り、歩きながら帰還結晶をポーチに仕舞うと壁が元の位置に戻って出口が塞がれてしまう。
立ち止まり確認の為ポーチから帰還結晶を出すと再度壁が動いてくれたので、また帰還結晶をポーチに仕舞い振り返らずに階段を下りた。
階段を下りきると周囲には10層と同じような迷路が広がっていた。なのでここは11層という事になるのだろう。
地図が無いので魔眼で周囲をざっと確認してみると、幾つもの魔物の群れを確認する事が出来た。
大雑把な確認が出来たので一つ一つの魔物の群れを鑑定眼も使って詳細に調べて行く。
すると殆どが前衛と後衛のバランスの取れた上の層より1ランク上位の種で構成されていた。
ゴブリンの群れは、ソルジャーとレンジャーにウィザードで構成されていて、キラーアントの群れも一回り大型のソルジャーアントに酸を吐き出すアシッドアントで群れを作っている。
他の魔物の種類の群れも同じような構成をしていて、問題なく勝てるだろうけど一人だとダメージを受ける機会が出てきそうなのでこの層はティアとファナを連れて探索をした方が良さそうだ。
そう決めた以上ここに居ても仕方ないので今降りてきた階段を上へあがり10層に戻った。
帰還結晶で壁を開き勿体ないので放置していた鉄塊をポーチに仕舞いながらついでに空の帰還結晶にプラーナとマナを充填していく。
鉄塊を仕舞い終わり結晶への充填も済んでカードを確認すると、夕方になっていたので迷宮での狩りを切り上げる事にした。
最後にどれ位の距離から帰還結晶に壁が反応するか調べてみると、部屋を出た時点で壁が閉まったのでもしもの時偶然を装えそうな事にホッとして帰還結晶をポーチに仕舞いこの場を離れた。
螺旋階段への道は最短ルートを選び遭遇するメタルベアーを片付けながら進んで行き、螺旋階段に着くと一気に1層まで上がり迷宮を出た。
迷宮を出た所で注文を出した防具屋に魔眼を向けると、まだ防具の修理をしていたのでメタルベアーの素材を届けるのは後回しにさせて貰う事にした。
ギルドに入り受付嬢にアイアンゴーレムから手に入れた鉄塊の換金を頼んで試しに10層から下の階層の事を訪ねてみた。
すると11層への下り方を知っていた人が誰にもそれを伝える事無く亡くなってしまい、もし11層への下り方を見つけたら報酬を出すので教えてほしと逆に頼まれてしまった。
その頼みにあいまいな返事を返してお金を受け取り受付嬢に礼を言ってギルドを出た。
ギルドを出た後は真っ直ぐ防具屋に向かい、店内で作業していた店主に声を掛ける。
メタルベアーの毛皮を集めて来た事を告げるとかなり驚かれてしまった。
実際にポーチから約束の枚数のメタルベアーの毛皮を取り出して見せると、今手元にある二組を1日で調整するので明後日取りに来てくれ言うので了承した。
ついでに余剰で手に入れたメタルベアーの毛皮がいるか尋ねてみると、ギルドの買取価格に少し色を付けてあるだけ買い取ってくれるというので全て売り払って防具屋を後にした。
アルバン魔法薬店の裏庭まで戻って来ると店の方からファナが顔を出してもう夕食の準備が終わると教えてくれる。
ファナに礼を言って離れに戻り装備を脱いで店に顔を出すとすぐに夕食になった。
全員で夕食を取った後ティアとファナを連れて離れに戻り、昼頼んだ事はどうだったか二人に聞いてみた。
「ティア、ファナの大陸共通語はどうだった?」
「そうですね、アーツブックを読むには十分だと思います。」
「そっか、なら新しい防具は明後日になるって言われたけど、明日からは三人で迷宮に入ろうか。」
「はい、セイジ様。」
「分かった、主様。」
そういえばファナの待遇をきちんと伝えていなかったここで伝えておこう。
「あと、ファナの待遇は、ティアと同じで俺のパーティーメンバー兼愛人として扱うから。なるべく平等に扱うから不満があったらいってくれ、いいな。」
俺の言葉に二人は一緒に頷いてくれる。
今日の用はこれで済んだのでもう休む事にした。
ティアとファナに声を掛け二人の背中に手を回し三人で風呂場に向かう。
風呂から上がると一つの寝室にベッドを二つ並べて二人を一緒に楽しませて貰う事にした。
最初ファナに相手をして貰うと初めてのようだったのでファナは今夜ここまでにしようかとも思ったが、扱いに差をつけないと言ったばかりなので最後まで相手をして貰う事にした。
ティアとファナ交互に相手をして貰い、空になるまで楽しませて貰って二人を左右に抱き寄せて眠った。
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