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迷宮の底 2

 食事の匂いに目を覚ますとティアが保存食で朝食を作ってくれていた。

 毛布から抜け出しティアと朝食を取って借家の中に出していた道具を全てポーチに仕舞い、装備を身につけた。

 テーベイさんとは朝この里を立つと約束したので、門に行けば返事を聞けるだろう。

 そう思い借家を出ると、ファナとテーベイさんの家にいた家人の一人が家の前で待っていた。

「お早う、セイジ」

「お早う、ファナ、もしかしてファナが返事を伝えに来てくれたの?」

「そう、セイジからの話を受ける事にした。すぐに立てるよう準備も済ませてある。」

 そういうファナの姿を確信すると革鎧を身につけ、大剣と荷物を背負っていた。

「家族との別れの挨拶はいいのか?」

「大丈夫、それも昨日の夜済ませた。」

「分かった。なら金は誰に渡せばいい?」

「このうちの家人に渡してほしい。でも街の奴隷商まで行って私が奴隷になった後でいい。」

「いや、俺が奴隷化の法術を使えるからこの場で済ませてしまおう。その方が手間が省けて双方にとって有り難いだろ?」

 少し驚いた表情をしたがファナが頷いてくれたので早速ポーチから聖銀貨を2枚取り出す。

 家人にそれを手渡すと、じっくり確認した後でファナと俺に深々と一礼ずつしてテーベイさんの家の方に去っていった。

 家人の背中が十分離れた所でファナと向き合った。

「それじゃあ、法術をかける。」

 頷くファナに手をかざして制約法術を発動させる。

 法術アーツ隷属制約が問題なくかかり完了するとティアの時と同じようにファナを所有したという感覚が返ってきた。

「上手くいったと思うけど、ファナは何かおかしい所がある?」

「問題ない、主様。」

「ヌシ様?」

「そう、奴隷になったから呼び名を変えた。おかしかった?」

「俺としてはセイジ様くらいでいいんだけどな。」

「主様ではダメ?」

 少し悲しげな表情でファナはそういうのでここは俺の方が折れよう。

「まあ。ファナが主様が良いっていうんならそれでいいよ。」

「ありがとう、主様。」

「じゃあ、ダレンの街に戻ろうか。」

 頷き返してくれる二人を連れて借家の前から少し開けた場所に移動してダレンの街に転移した。


 アルバン魔法薬店の裏庭に転移するとジャンナさんが声を掛けてくる。

 昨日帰らなかった所為で心配をかけたようだ。

 昨日の事をジャンナさんに話すと納得してくれ、改めてファナを歓迎してくれた。

 まだ昼には大分時間があるので迷宮に潜ってみようかと思ったが、ファナの装備が目に付く。

 背負っている大剣に身につけている革鎧もあまりいい物ではなさそうなので変えた方が良さそうだ。

 大剣はオークカーズナイトから手に入れた物を使わせれば良さそうだが、防具はどうしようかと思った時ポーチの中のミスリルベアーの毛皮の事が思い浮かんだ。

 この毛皮で防具を作ればスピ−ドタイプの戦士のファナには丁度良さそうだし、毛皮の大きさを考えるとついでにティアの分も作れると思う。

 いい考えだと思うので、出かけるとジャンナさんに告げ二人を連れてアルバン魔法薬店を出た。


 以前ジャンナさんに教えて貰った防具屋を訪ね、ミスリルベアーの毛皮をポーチから取り出して防具への加工を依頼した。

 難しい表情で毛皮を鑑定した店主から意外な返答がきた。

「悪いがコイツは加工出来ないな。」

「この毛皮、防具に向いてないんですか?」

「いや、防具の素材として特殊だがかなりいい物だ、悔しいが俺が防具に加工出来ないんだよ。」

「そうですか、失礼になるかもしれませんが、近場であなたより腕の良い方を紹介して頂けますか?」

「恐らく近場でコイツを防具に加工出来る奴はいないぞ。信用出来ないかも知れないが俺は近場では1,2を争う腕前だからな。」

「だったら何処に行けば、この毛皮を防具に加工して貰えますかね?」

「そうだな、ドワーフの職人ならいけると思うが、何処にいるかは分からないな。」

 ミスリルベアーの毛皮を防具に加工出来なかったのは残念だが、加工する為の手掛かりを得られただけでも良しとしよう。

 ドワーフの職人の居場所はミルネ教会で聞けば恐らく教えて貰えるだろうから、ファナの防具の更新を済ませてしまおう。

 ミスリルベアーの毛皮をポーチに仕舞って店主に声を掛けた。

「情報提供ありがとうございます。ついでに店の中の防具を見せて貰っていいですか?」

「ああ、好きなだけ見て行ってくれ。」

 店主が許可してくれたので鑑定眼を使いながら防具を見ていく。

 一応俺用の防具を見てみるが今着ている物と基本性能に大差なく、レベルが高い分今の物の方がかなりいいので俺は買い替える必要は無さそうだ。

 次に本題のファナやティアの防具を選んでいくと防御力と軽さの観点からメタルベアーの毛皮製の革鎧に目が留まった。

 これでいいと思うがそういえばダレンの迷宮の10層にメタルベアーが出て来てはずだ。

 メタルベアーを狩って毛皮を持ち込めば割引してくれるかもと店主に話を持ちかけると持ち込む量によっては防具をタダにしてもいいと店主も乗り気で答えてくれる。

 訳を聞いてみると討伐終わりで防具の修理依頼が多く今はお金より素材の方がありがたいからだと教えてくれた。

 メタルベアーの毛皮5枚で同じ素材を使った防具一式をタダで作って貰える事になりティアとファナの分を注文した。

 ティアとファナの採寸をし、素材を納め次第最優先で制作して貰う約束を店主として店を出た。


 防具店を出ると丁度昼時だったのでそのままアルバン魔法薬店に戻る。

 店の方に顔を出すとジャンナさんとキャミーちゃんが昼食の準備をしていたのでティアとファナは準備に加わり俺は待たせて貰う事にした。

 食事の準備が終わり全員で昼食を取った後、迷宮に行く前にファナに確認し忘れていた事を尋ねる事にした。

「そういえば聞くのを忘れてたんだけど、ファナはアーツブックって知ってるか?」

「ううん、知らない。」

「そうか、ならティア、ファナにアーツブックの事を教えて、アーツブックが読める位大陸共通語を理解しているか確認してくれ。もし大陸共通語の理解が不十分だったら教えてやって欲しい。確認して問題なかったらファナと一緒に離れで自由にしていてくれ。俺はこれから迷宮に行ってメタルベアーの毛皮を集めて来るから。」

 俺がそう言うとティアの表情が曇った。

「セイジ様、迷宮に入られるのでしたら私たちが一緒に行った方がいいのではありませんか?」

「心配ないよ。以前一人で問題なくメタルベアーを狩れたから。それに以前より大分腕も上がってるから。」

「そうですか、それでも十分お気お付け下さい。」

「主様、気を付けて。」

 注意を促してくれる二人に頷き返してアルバン魔法薬店を出た。


お読み頂き有難う御座います。

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