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湧き出した魔境 13

 アルバン魔法薬店の裏庭に転移出現すると店の裏口近くにジャンナさんがキャミーちゃんとアゼル君を連れて立っていて、転移が完了するとこちらに歩いて来た。

「やっぱりセイジ達だったね。里の方で何かあったのかい?」

「ええ、オークの群れの襲撃を受けたんです。」

「その話詳しく聞かせておくれ。」

 ジャンナさんに頷いて、里の近くでオークの群れに気付いた所から群れに奇襲をかけすぐにリーダー格を片付ける事が出来たが里に大きな被害が出た事、オークの群れを片付けた後怪我人を治療し素材の回収をしていたら援軍に来ていたギルドの討伐者に遠征への参加を要請され戻ってきた事まで話した。

 そこまで聞くとジャンナさんは深刻な顔をして店の中に戻っていった。

 夕方までまだ時間があったのでギルドに行こうと思うが参加手続きだけなら俺だけで十分済むと思うので二人に声を掛けた。

「ティア、ファナ、俺がギルドに行って討伐参加の手続きをしてくる。二人は自由にしていてくれ。」

「ではキャミーさんのお手伝いをしています。セイジ様。」

「私もそうする。セイジ、気を付けて。」

 二人に頷き返しギルドに向かってアルバン魔法薬店を出た。


 ギルドに着いて中に入ると酒場まで緊張感に包まれていて独特の雰囲気の中受付嬢に声を掛けた。

 俺のパーティの討伐参加手続きを頼むと受付嬢は手早く済ませてくれ瘴気泉周辺の魔物掃討が役割となるゴッチさんが指揮する部隊に配属になると教えてくれた。

 ついでに討伐への出発日時ももう決まっているか受付嬢に尋ねると、まだだが前日の昼までにはギルドに告知が張り出されるのでこまめにギルドへ顔を出して確認して欲しいと言われた。

 最後に里で倒したオーク達の素材を魔核石を残して換金し受付嬢に礼を言ってギルドを出た。


 アルバン魔法薬店まで帰って来るとそのまま離れに入り装備を脱ぐ。

 身軽になってから店の方に顔を出すとティアとファナはキャミーちゃんと夕食の準備をしているようで、アルバンさんとジャンナさんが食堂に揃って座っていた。

「帰って来たね、セイジ、討伐参加の手続きは済んだんだね?」

「はい、瘴気泉周辺の魔物掃討が役回りになりそうです。」

「そうかい、なら討伐隊の出発日時も決まっていたかい?」

「いえ、ギルドで聞いてみましたけどまだ決定してないそうです。あと里に援軍として来ていたギルドの人の話では、4〜5日後位じゃないかとは言ってましたけど。」

「なるほど、じゃあ頼めそうだね。セイジ、明日あたしを獣人の里まで護衛してくれないかい?」

「護衛をするのは構いませんけど、物資の輸送なら俺達が行くだけで済むんじゃないですか?」

「単純な物資輸送とは少し事情が違うのさ。ティアやファナに里の被害状況を聞いた感じだと復旧にはかなりの物資が必要になるね。でも里の懐具合はかなり厳しい筈さ。だからウチから借金をして復旧用の物資を賄ってみないか話に行きたいんだよ。危ないときは持ちつ持たれつだからね。ただ大きな額の話になるだろうからあたしかアルバンのどちらかが直接出向かなきゃいけないんだよ。」

確認の意味を込めてアルバンさんに視線を向けると頷いてくれる。

「そういう事なら護衛をやらせて貰います。」

「ありがとね、報酬は何が良いかい?」

「離れをただで貸して貰っていますけど?」

「最近は雑用を頼み過ぎたからね。今回は別途に報酬を受け取っておくれ。」

「じゃあ各種の魔法薬をお願い出来ますか?今日手持ちを殆ど使ってしまったんで。」

「任せな、オーク討伐の餞別を兼ねて取って置きを用意するよ、いいね、アルバン?」

「ああ、それで構わない、セイジ、ジャンナをよろしく頼む。」

 アルバンさんに頷くと丁度ティア達が夕食を運んできてくれ皆で食事をした。

 夕食後は離れに戻り残しておいた魔核石で風呂に入りティアを抱いて眠った。


 何時ものようにティアに起こして貰い身だしなみを整えて店の方で皆と朝食を取る。

 離れに戻って装備を身に着けて外に出るとジャンナさんも用意をすませて裏庭に出て来てくれていた。

 全員の準備が終わっているようなので早速獣人の里に向かって出発する。

 ジャンナさんの護衛が主目的なので基本的には魔物の群れを避け、里への獣道に寄って来る群れだけをファナの索敵で事前に察知し俺とティアの遠距離攻撃で仕留めた。

 昼食休憩を挟んで昼過ぎには里に着きそのままテーベイさんの家を訪ねる。

 里とアルバン魔法薬店の話し合いなので俺達は席を外し、ジャンナさんだけがテーベイさんの部屋に入っていった。

 1時間ほど玄関の近くで待っているとジャンナさんが戻って来てダレンの街に戻るよと言われたのでそのままテーベイさんの家を辞した。

 

 里の少し開けた場所に移動し全員を連れてアルバン魔法薬店の裏庭に転移する。

 転移が終了するとジャンナさんはアルバンさんへ報告しに行くそうなのでティアとファナには自由にさせ俺はギルドに足を運んだが、まだ出発日時は張り出されておらず無駄足に終わった。

 ギルドから帰って離れで装備を脱いで店の方に顔を出すとジャンナさんが今日の話し合いの内容を教えてくれる。

 アルバン魔法薬店の名義で物資を集めて里に送り、物資の購入代金は里が魔法薬用の薬草を納めるなどで払っていくと決まったようで討伐への出発までに1回でもいいから物資を運んでくれないかとジャンナさんに頼まれた。

 報酬に追加で魔法薬を貰う事で引き受け後は皆で夕食を食べ離れで風呂に入っていつもように眠った。


 次の日からは朝ジャンナさんと持っていく物資を買ってそのままダレンの街を出て、昼を挟んで半日ほど魔境を移動し獣人の里で物資を降ろして転移でダレンの街に帰って来る。

 街に戻ると移動中仕留めた魔物の素材をギルドで換金し、ついでに討伐への出発日を確認する。

 以上の事を繰り返し3日目の夕方ギルドに明日早朝討伐に出発するという告知を見付けた。

 

 ギルドから帰り告知の事を告げるとジャンナさんの音頭でいつもより豪華な夕食となり、食後約束していた魔法薬を渡してくれた。

 ポーチに魔法薬を仕舞い離れに引き上げてファナから風呂に入って貰い俺もティアと風呂に入った。

 風呂から上がってティアと一緒に寝室に入るが、いつも少し恥ずかしそうにしているティアが風呂に入っている時から明らかに不安げな表情を隠そうともしていないので気になって後ろから抱きしめて声を掛けた。

「どうかした?ティア、何か不安な事があるなら言ってみて」

「・・・セイジ様、私たちはあのオークの群れに勝てるのでしょうか?」

「そうだな、正直に言うと勝敗は分からない。でもここ2〜3日ギルドに顔を出してみて悲壮感が漂ってるなんてことは無かったからギルドは自信があるのかもしれない。けど戦場では何が起きるか分からないからな。それでもティアとファナは何があっても俺が無事ダレンの街に連れ帰るから、約束する。」

「セイジ様、私も全力でお支えします。」

「ありがと、ティア、じゃあ俺も無事に帰ってこれるように先輩の討伐者に教わったジンクスに付き合ってくれる?」

「はい、喜んでお手伝いさせて貰います。」

「先輩に教わったジンクスってさ、大きな仕事の前と後にいい女を抱くってことなんだ。だから今夜は空っぽになるまで付き合ってくれる?」

「あ、あの、私はいい女でしょうか?」

「うん、間違いなく。」

「そう、ですか。ならセイジ様が眠るまでお相手させて頂きます。」

 不安げな表情が消え恥ずかしそうに少し俯くティアを見て体の芯に火が付いてしまい、そのままベッドに連れ込んで空っぽになるまでティアを貪って一緒に眠った。


お読み頂き有難う御座います。

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