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湧き出した魔境 11

 ギルドから瘴気泉発見の報酬を確約する証書を受け取ってからはギルドがオーク討伐の準備を終わらせるのを待ちつつ獣人の里周辺で魔物を狩る事にした。

 具体的には昼間は里周辺で魔物の密度が高い場所を重点的に回って魔物狩りをして夜になったら里で休む。

 これを3日ほど繰り返しその間に里の獣人達に魔法薬の材料になる薬草を集めて貰う。

 その薬草を持ってダレンの街に転移で戻りアルバン魔法薬店に卸して換金する。

 その金で里の必需品を購入してついでに狩りで手に入れた魔物の素材を換金し買った物を里に届ける。

 俺達への報酬は里で借りている家を使わなくなるまでタダで使い続けていい事にしてもらって、ギルドの討伐準備が終わるのを待つ事にした。

 

 2回目の薬草の卸が終わった所でさすがに気になってギルドの準備状況を調べて欲しいとジャンナさんに頼むと、必需品の購入が終わった所で自身とクージンさん経由で調べた情報を教えてくれた。

 まずはダレンの街にいる討伐者の糾合は粗方終わっているそうだが、監視しているオークの群れに対して明らかに頭数が足りないらしい。

 それで周辺のギルドに応援を要請しているそうだが東側はコリレスの状況がまだ酷いらしく応援は出せないと返事が返って来たそうだ。

 ゼス教団へはミスリルゴーレムの事があったせいで応援要請していないらしい。

 一方西側は最近ミラルテ近郊で発見された迷宮、恐らく俺が見付けたやつを調査する為集められた討伐者やシェイド辺境伯の私軍が応援に来てくれるらしくこれを待ってオーク討伐に乗り出すという話になっているそうだ。

 西側からの応援は既に出発しているそうで1週間以内にはダレンに着いて、討伐部隊の編成が済み次第ダレンの街を出発するとクージンさんは見ているそうでジャンナさんも同感だと教えてくれた。


 もうすぐ事態が動きそうだがそれまでは待つ事にして獣人の里に向かい前と同じように狩りをこなし薬草を預かってダレンの街に戻り薬草の代金で買い付けをしてまた獣人の里に向かった所で異変に遭遇した。

 獣人の里が近くなり索敵を任せていたファナがそれを最初に気付いた。

「セイジ、何か変、里のすぐ近くに魔物の大きな群れがある。」

 ファナにそう言われて切っていた魔眼を慌てて起動して里周辺を確認してみると、50近くのオークの群れがもうすぐ里の外壁に取りつこうとしていた。

 里の獣人達はきちんと気づいていて守りを固めて矢を放っているがオークに対して木の塀が貧弱に見えてしまう。

 加勢しないと不味いかもしれない。

「すぐに助けに行かないと危ないかもしれない。手を貸してくれる?」

「加勢するのに異論はないけど、里に合流するのは辞めておこう。俺達が中に入ろうとして門を開いて貰うとそこを狙われるかもしれない。だから戦闘開始に間に合わないかもしれないけど魔物の群れの後ろに出てそこから奇襲を仕掛けよう。里との挟撃でそのまま殲滅するか、一当てして退却して里から魔物の群れを引きはがすかは状況を確認して決めよう。いいね、ファナ。」

「分かった、従う。」

「よし、なら早速移動しよう。ファナ先導をしてくれ、ティアもよろしく頼む。」

「お任せください、セイジ様」

 ファナも頷き返してくれそのまま歩き始めるので背中を追って移動を再開した。

 速足で進むファナの背について歩きながら転ばぬように魔眼で里の様子を確認すると、獣人達は頑張って応戦しているようだが、あちこち木の塀が凹まされ怪我人が出ている割にオークが減っているようには見えなかった。

 焦れるような気持ちを押さえて歩き続けると、ファナが上手く先導してくれたようで背中をこちらに向けたオークの群れが見えてくる。

 大半のオークは里に攻めかかっているが少し距離を置いた後方に2匹のオークを従えて身の丈を上回るハルバートを持ち鎧で身を固め、時折吼え声をあげる別格のオークがいた。

 以前見た事があるが確認の為鑑定してみる。


オークカーズナイト Lv24

筋力 144

体力 132

知性 48

精神 72

敏捷 48

感性 72

アビリティ

堅体

呪いの衣

スキル

5個


 思った通りオークカーズナイトで左右の取り巻きはオークナイトだった。

 恐らくこいつがこの群れのボスだろうから仕留めれば状況をかなり好転させられるだろう。

 オークの群れに近づくにつれ歩く速度を落とすファナにならって気づかれないように近づいて行き、ティアの弓の射程に捉えた所で二人に小声で話掛けた。

「二人とも聞いてくれ、後方で待機してるあの3匹がこの群れのリーダー格のようだから、まずあれを片付けよう。まず俺はここから突撃しながら右のオークに魔術を撃ち込んで真ん中のオークに接近戦を仕掛けるから、ティアは左の奴を狙ってくれ。左の奴を仕留めた後は俺が右の奴を仕留めそこなっていたら止めを差して援護射撃をしてくれ。ファナはティアの護衛と退路の確保をしてくれ。あの3匹を片付けたら撤退するか戦闘を続けるか指示するから従ってくれ。二人ともよろしく頼む。」

 頷いてくれる二人に頷き返し剣と盾を構えて気鎧と魔装衣を重ね掛けし飛び出した。


 走りながら魔術アーツウォータージャベリンを練り最大まで溜めて撃ち込むと左をティアが放った水の精霊武技が通過して行った。

 ウォータージャベリンと水の精霊武技は吸い込まれるように2匹のオークナイトの頭部を捉えそのまま倒せたが、さすがにオークカーズナイトには気付かれたようで奴の視線が俺を捉えた。

 それでも構わず一気距離を詰めて水刃一閃を撃ち込もうとするが瘴気を纏ったハルバートでの突きを合わされて止められてしまい、ハルバートを回して剣を巻き取ろうとしてきたので慌てて剣を弾いて間合いを開けた。

 バックステップもして少し距離が開いたので配下のオークを呼び寄せるかと思ったが、オークカーズナイトはそのまま俺にハルバートを突きこんでくる。

 配下のオークを呼ばれるよりは断然有り難いので、俺も前に出て武技アーツ防御膜を発動させた左手の盾で瘴気を纏ったハルバートの突きを受け流し、さらに踏み込んで首を狙い水刃瞬突を放つがオークカーズナイトに体を逸らされ鎖骨付近の鎧の表面に傷をつけただけで終わる。

 それでももう一歩踏み込んで今度は腹に鎧装拳を打ち込もうとするが、ハルバートから離した左手を間に差しこまれてしまう。

 鎧越しに腕を砕いた感触が伝わってくるが動きが止まってしまい、右腕一本だが強引にハルバート引き戻して振り回すオークカーズナイトに間合いの外まで追い出されてしまう。

 また間合いが空くとオークカーズナイトは怒りの籠る大きな吼え声をあげそれに反応して5匹程のオークがこちらを向いて走りだし、自分は右手一本でハルバートを担ぐように構え瘴気を集中していく。

 囲まれるのを嫌って俺が飛び込んで行く瞬間にハルバートを合わせて撃ち込もうとするオークカーズナイトの狙いは見え見えだが、オークに囲まれるよりは確かにましなので全力で答えてやろう。


「限界突破」


 さらに身体強化法術を加えてティアの援護射撃がこっちに向かうオークに打ち込まれる中、オークカーズナイトに向かって全力で飛び出す。

 上がった瞬発力のおかげでオークカーズナイトの不意を付けたようで少しタイミングが遅れて振り下ろされてくるハルバートに盾の武技アーツ盾強打を振り上げるように打ち合わせた。

 ハルバートと盾は一瞬拮抗するが押し切れ高々と打ち上げることが出来、隙だらけになったオークカーズナイトに両手持ちの逆水平で水刃一閃を放った。

 鎧を断つ確かな手応えがし剣をそのまま振り抜くとオークカーズナイトはその場に崩れ落ちた。

 生死の確認は後にしてバックステップでその場から離れ周囲を確認してみると、ティアの援護射撃のおかげだろう3匹のオークがばらばらに突っ込んでくる。

 アビリティ限界突破を発動している所為かオークの動きがゆっくりに見えどう動くかも簡単に予想できたのですれ違いざまに1撃で三匹とも仕留めた。

 オークカーズナイトの死亡を確認してレベルが上がる時に感じる力が漲る感覚の中アビリティを切った。


 だいぶ消耗したがまだ戦えそうなので里の方に視線を移すと丁度木の塀が押し倒されオーク達が里に雪崩れ込もうとしていた。

 ティアとファナに追撃する事を伝え里に雪崩れ込んで行くオークに後ろから襲いかかる。

 里の獣人達と協力しオークソルジャーやオークウィザードを含んでいた残りの群れを殲滅出来たのは里のかなりの被害が出た後だった。


お読み頂き有難う御座います。

読みにくいという感想が多かったので

寄せられたご意見を参考に少し改稿しました。

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