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湧き出した魔境 2

 ティアに起こされて生活魔術で身を清め身だしなみを整えてアルバンさん達と朝食をとる。

 今日は魔境の様子を確認するつもりなので離れで装備を身に着け街の外に向かった。

 門の近くまで来ると外に向かう討伐者達が増え、門を出ると思い思いの方向に散って行く。


 折角魔境に入るのだから瘴気泉を見付けて追加の報酬を狙いたいが、どちらに行けばいいか全く見当が付かないので昨日魔境はもっと南から始まっていたと聞いた事を参考に取り敢えず南に向かう事にした。

 ダレンの街から少し離れると魔物の群れを探知したり襲われたりするようになり大半はゴブリンやオークなどの既知の魔物の群れだったが、資料で知ってはいても未見だった魔物もいた。


 その内の一種類広葉樹に擬態する樹木型の魔物ウォークウッドには自身の瘴気まで隠す高い擬態能力によって不意打ちされてしまう。

 普通の木だと思ってそれほど注意せず横を通ったら根が足に絡み付いて来て枝が上半身を拘束しようとする。

 とっさに剣を抜いて根と枝を切り飛ばし距離を取ると今度は枝をしならせ自身の葉を手裏剣のように飛ばしてきた。

 盾も構え剣と共に直撃しそうな葉を弾くと金属質な手応えが返ってきたので直撃は不味そうだ。

 2〜3度葉を弾くと根を鞭のように打ち込んでくる攻撃も加えだし、呼応するように周囲で擬態していた2体のウォークウッドが動き出すが、ティアが火の精霊を使った弓の精霊武技で俺に攻撃している一体を一撃で仕留めてくれる。

 俺も負けじとファイアージャベリンで一体仕留め最後の一体を火の精霊武技で仕留めようとするティアを止めて武器での接近戦を試してみる事にした。

 ウォークウッドの間合いの外から十分加速して突っ込み、根や枝に葉を弾きながら剣の間合いに飛び込んで武技アーツ一閃を幹に放つと問題なく切断できウォークウッドを仕留めた。

 ウォークウッドの死体が消えると魔核石の他に火で倒した者は木炭を剣で倒した者は丸太を残したので倒し方で落とす素材が変わる魔物のようだ。


 ウォークウッド他にも未見の魔物に遭遇した。

 スペルディアという体高1m半位の立派な角を持つ鹿の魔物で三匹の群れを瘴気探知で気配を捉えた次の瞬間此方を瘴気の矢で攻撃してきた。

 咄嗟に構えを取りティアのカバーに入って一撃目を防御すると角から瘴気の矢を生み出し次々と曲射で打ち込んでくる。

 弓の射線は通っておらずスペルディアは魔法に耐性があると資料に書いてあったので魔法武技に近い特性を持つ精霊召喚で攻撃するようティアに指示し俺は土の精霊をティアは水の精霊を召喚する。

 召喚した精霊達に攻撃を命令するとふわっと浮き上がり土の槍と水の槍をそれぞれ別のスペルディアに打ち込んで仕留めてくれた。

 続けてティアが精霊に攻撃を命じそうになったので止めて接近戦を試すことを告げる。

 スペルディアに向かって飛び出すと俺に向かって瘴気の矢を打ってくるがティアが全て弓で撃ち落としてくれ、ある程度近づくと角を俺に向けてスペルディアが瘴気の矢を打ちながら突っ込んでくるので、

 矢を弾きながら盾を前に出して激突し少し押し込まれたが動きを止め首を落とした。

 スペルディアの死体が消えると魔核石の他に一組の角と肉の塊を二つ落としたのでそれらを回収してその場を離れた。

 

 他にも未見ではないがキラーアントやハウンドドッグの群れを倒しながら南に進んで行き丁度昼ごろになったので転移法術で一旦街に戻って昼食にして昼からは別の方向に進むか、この場で簡単に食事を済ませ夕方まで南に進んで魔境の様子を確認して転移法術で街に帰るか考えていると、瘴気探知スキルと気配探知スキルで妙な物を捉えた。

 

 魔物の気配と少し弱いが人の気配が一緒に移動しているようだった。

 奇妙に思い魔眼で様子を確認すると10匹程のオークが気絶している犬系統の耳に尻尾の生えた女性や子供を担いで移動している所だった。

 あの人たちはこのまま連れていかれれば犯されて新たなオークの苗床にされるか食い殺される事になるだろう。

 見過ごせないのでティアに何かおかしな気配がするのでなるべく音を立てず気配を殺して付いてくるよう指示してオーク達の元に向かう。

 慎重に移動しオーク達が目視出来る所まで来ると表情がさらに引き締まるティアに此処に留まって合図に合わせての一斉射撃とその後の援護射撃を頼んでさらに近づいて行く。

 なるべく風下側から近づいて行きオーク達との間にあった最後の木陰からティアに合図を送りオークの頭数の分のウィンドアローを打ち出すと木陰から飛び出した。

 走りながら剣と盾を構えオークの頭を狙ってウィンドアローを微調整するとティアが放った精霊術や召喚した精霊の攻撃にプラーナを帯びた矢がタイミングを合わせてオーク達の頭部に殺到する。

 獣人達を担いでいたオーク達を仕留めることが出来たが、先頭にいて獣人を担いでいなかった2匹のオークは腕を1本犠牲にして俺とティアの攻撃を受け切った。

 オーク達は怒りの咆哮を上げ獣人たちに襲いかかろうとするが何とか割って入ることが出来、オーク達の斧と剣での攻撃を受け止めた。

 斧を盾で剣と剣で鍔迫り合いをしていると依然ミラルテ近郊の魔境で戦ったオークより力が強いように感じられ鑑定してみると


オークソルジャー Lv18

筋力 72

体力 54

知性 18

精神 36

敏捷 36

感性 36

アビリティ

なし

スキル

1個


 ただのオークより上位個体のようで隣の奴もオークソルジャーだった。

 納得がいき仕切り直すためオーク達を押し返そうとしたらティアからの援護射撃が来てオーク達の方から距離を取った。

 

 二匹同時に相手にするとまた同じような展開になりかねないので牽制の為、斧を持つ方にファイアーボールを放つとそれを隙と感じたようで剣を持つ方が突っ込んでくる。

 丁度良いので剣の方から各個撃破する為迎え撃とうとするとティアも分かってくれたようで斧の方に精霊術で牽制を続けてくれる。

 瘴気を纏った剣が振り下ろされてくるが武技アーツ一閃で受け止め押し込んでゼロ距離での鍔迫り合いに持ち込み、引き込むようにして脇腹に左手で鎧装拳を打ち込んだ。

 剣を弾きバックステップで距離を取ると剣のオークソルジャーはそのまま倒れ伏して動かなくなり、ティアの精霊術で足止めされていた斧のオークソルジャーはそれを見ると躊躇なく背中を見せて逃げ出した。

 逃がす訳にはいかないので錬鎧装弾投槍をその背中に目掛けて放つとティアも追撃を放ってくれたようで水の精霊武技が殆ど同時にオークソルジャーの背中に命中し倒れ伏したそいつは動かなくなった。


お読み頂き有難う御座います。

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