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使いと精霊 7

 ティアに起こして貰いテントを出ると傍にある幾つかのテントから煙が上がったり朝食の匂いがしてくる。

 ティアも朝食の準備を終わらせていてくれたようで一緒に朝食を取った。

 生活魔術で身を清め野営の道具を片付けていると2〜3人の従者が辺りにいる討伐者全員に聞こえるよう指揮をする騎士の元に出頭するよう告げて回った。

 

 野営道具を全てポーチに仕舞いロンソンさんを探しに行こうとすると向こうも俺達を探してくれていたようですぐに合流出来今日の任務の説明が始まった。

「まず決定事項を伝える。討伐隊は二分割される事に決まった。1隊はアトミラン殿がそのまま指揮を執りこの砦と迷宮の警備に当たられる。もう1隊は私が指揮を執る事になって奪われていた商隊の荷と捕縛した盗賊をミラルテの街に移送する事になった。次にセイジ達に与える任務は基本的に私の護衛だが、先にやって欲しい事がある。確かセイジ達は奴隷化の法術が使える筈だな、まだ奴隷化の済んでいない盗賊がいるらしいので移送をスムーズに進める為出発までに終わらせて欲しい。」

「法術を使うのは問題ありません。盗賊達は今何処にいますか?」

「砦の一室に押し込めているが案内をつける余裕がないので場所を教える。迷ったら近くの者に聞いてくれ。」

「分かりました。さっさと済ませてきます。」

 ロンソンさんに場所を教えてもらうが魔眼で部屋の位置を確認してもいたので迷う事無く盗賊を押し込めている部屋に着いた。


 部屋の警備をしていた従士に来た目的を告げ今の状況を聞いてみるとまだ10人近く奴隷化が済んでいないのに担当法術師のプラーナとマナが枯渇寸前だと説明してくれた。

 ティアを部屋の外に残し俺だけ中に入って見張りをしていた人に奴隷化がまだの盗賊が誰か聞く。

 鑑定をして犯罪歴を確認し隷属制約を掛けていきすぐに終わらせて仕舞うと担当法術師の顔が引きつっていた。

 気まずい雰囲気になりそうだったのでさっさと部屋を辞してティアを連れてロンソンさんの元に戻る。

 それから出発までは色々と指示を出すロンソンさんの後を付いて回るだけだった。


 準備が整い出発の為集合が掛かると人が集まってくるが騎士や従者の姿は少なく、移送部隊は討伐者を中心に編成されたようだ。

 集合が済み隊列を組み終わるとロンソンさんの号令で砦から出発する。

 盗賊の奴隷化が完了していたので荷運びや監視の負担が軽減され、おかげで移動がスムーズにいき、盗賊の残党や魔物の襲撃などの問題も起きずに森を抜け街道を進む事が出来昼前にミラルテの街に着く事が出来た。

 待ち時間なく門を潜れて全員が街に入ると隊の解散と強制呼集の終了と告げられた。


 ギルドの職員だろう人が強制呼集の完了証を配り始めたので俺達も受け取りに行こうとするとロンソンさんに話掛けられた。

「セイジの完了証はこれだ。基本の報酬に加えて盗賊を引き渡してくれた分の報酬を上乗せしてある。受け取ってくれ。」

「確かに、有難う御座います。」

「ではついでに私からの報酬を手配しようと思うので一緒ミルネ教会に行こう。」

 受け取った完了証を貴重品袋に仕舞いロンソンさんと三人でミルネ教会を目指す。

 ロンソンさんを先頭にミルネ教会に入るとすぐに修道女の一人が対応してくれて応接室のような場所に通される。

 その部屋で暫く待っていると中年の男性が入ってきた。

「お待たせして申し訳ありません。ロンソン殿。」

「こちらこそ急な訪問に対応して頂き有難う御座います。デルス司祭」

 二人はがっちり握手を交わした後ソファーに向き合って座りデルス司祭から切り出した。

「それで今日はどのような御用件で当教会にお越しになられたのですか?」

「用件の前にこの二人を紹介させてください。男の方はセイジ、討伐者をしておりエルフの方は彼の奴隷です。セイジ、こちらはデルス司祭このミルネ教会の責任者だ。」

 俺とティアは深々と頭を下げデルスさんも頷いてくれた。

「デルス司祭、何故この二人を紹介したかというと今回此方を訪れた用件がこの二人についてお願いがあったからです。司祭もご存じだと思いますが私は盗賊討伐の任務に就きつい先程完遂しこの街に戻ってきました。この二人はその討伐において私の指揮下で目覚ましい手柄を立ててくれたのです。私も個人で報酬を出そうと思い希望を聞くとこちらの教会のアーツブックを読めるようにして欲しいという願いだったので此方を尋ねました。この二人が全てのアーツブックを読めるよう許可と手配をお願いできませんか?」

「盗賊の討伐で手柄を上げ、ロンソン殿が推薦されるというなら問題ありません。」

 デルス司祭が部屋の外に声を掛けるとアリア嬢が中に入ってくる。

「アリア、資料閲覧の特別許可証をそこの彼に発行してくれ。セイジ君といったね。その子について行って手続きを済ませてくれればアーツブックを読めるようになる。」

 アリア嬢がドアを開けたのでティアと共に頭を下げた部屋を出ようとするとロンソンさんが立ち上がり此方を向く。

「セイジ、私はあの砦に在った物とあの砦への補給部隊についてデルス司祭と話がしたいので此処でお別れだ。今回の事本当に感謝している。」

「こちらこそ希望通りの報酬を御用意頂き有難う御座います。これからも御武運を。」

「そちらもな」

 ロンソンさんからの握手に応じて部屋を辞した。


 部屋を出た後アリア嬢について行くと図書館のような場所の隅にあるカウンターがある一角に連れて行かれる。

 カードのようなプレートとナイフを渡されプレートに血を付けるように言われたので従い求めに応じてナイフを返した。

「これで登録が済んだのでその特別許可証はセイジさんの物です。」

「これでどんなことが出来るか聞いていいですか?」

「いいですよ。それをミルネ教会に提示すればその教会が保有している極秘分類以外すべての資料とアーツブックが閲覧できます。」

「重ねて聞きます。その言い方だとここの教会以外でも使えると思っていいですか?」

「はい、西と東の区別なくヴァルノム大陸にある全てのミルネ教会で有効です。」

「それはすごい。最後にもう一つ教えて下さい。俺が今後新たに奴隷を手に入れたらこの許可証でアーツブックを読ませてやることが出来ますか?」

「問題ありません。その許可証はセイジさん本人と所有している奴隷全員にセイジさんがお亡くなりになられるまで効力がありますから覚えておいて下さい。」

「教えてくれて有難う御座います。済ませなきゃいけない用事があるから今日はもう帰ります。用事を終わらせて時間が出来たらまた来るのでその時もいろいろ教えて下さい。」

「はい、いつでもお越しください。知識を守り広める事がミルネ様の教えのひとつですから。」

 もう一度アリア嬢にお礼を言って図書館を出て、アリア嬢に見送られながらミルネ教会を後にした。


お読み頂き有難う御座います。

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