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使いと精霊 4

「セイジ様、起きて下さい。ご指示頂いた時間になりました。」

 辺りは段々明るくなり始めていて体を起こすと昨日の夜出しておいた保存食でティアが食事の用意を終わらせていてくれた。

「ありがとう、ティア」

 二人で朝食を食べて野営の片付けを済まし生活魔術で二人の身を清めて今日の行動をティアと確認する。

「昨日の狩りで邪霊の灰を結構集める事が出来たから一旦街に戻ろうと思う。それで昨日は狩りの効率を重視して試さなかった精霊武装や精霊召喚を帰り道でたぶん戦う事になる魔物を相手に試してみようと思ってるんだけど、参考にしたいからティアが使う所を見せてくれないかな。」

「申し訳ありません。セイジ様。私は精霊武装と精霊召喚を使えはしますが実戦で通用するレベルでは無いので参考にはならないと思います。」

「もしかして対応するスキルの取得が出来ていない?」

「はい、自然所得はまだですし、BPはセイジ様の奴隷になる前に精霊術と弓スキルに治癒法術の取得に使いましたが、セイジ様の奴隷になってからはかなりレベルが上がりBPも増えていますがご命令やお許しを頂いていないので使っていません。」

「あ〜、それは俺の落ち度だな、ティアはアーツブックってしてるよね。」

「はい、存じています。」

「なら話が早い。ミラルテの街に戻ってもう一度アリアさんにアーツブックが読めないか聞いてみよう。もしかしたら寄付とか保障金を納めれば読ませてくれるかもしれないし、もしだめだったりアーツブックそのものが無かったらその時はまた考えよう。じゃ精霊武装や精霊召喚の試しは辞めてミラルテに急ぐとしようか。」

「はい、セイジ様。」


 ティアに頷き返しミラルテの街に向かって出発する。

 ティアを背中に引き連れて獣道を進んで行きなるべく魔物の群れを避けて、如何しても避けられない時は消耗を気にせず全力を出し短時間で仕留めて、その御蔭で昼前には魔境を抜けることが出来た。

 普通の森に入ってからはさらにペースを上げることが出来て昼時には後の距離が4分の1程になり、丁度開けた場所に出たのでそこで昼食を取る事にした。


 亜空間ポーチから保存食と調理道具を取り出しティアに手を加えて貰い二人で昼食を取っていると、50mほど離れた3方向から此方に歩調を合わせて近づいてくる気配を感じその気配に危機感知スキルも反応している。

 視界内にある気配に魔眼を向けて調べてみると盗賊のようなので遠慮なく叩き潰してしまおう。

「ティア、そのまま聞いて、気付いてるかもしれないけど気配が三つ近づいてくる。俺達を包囲して姿を隠して近づいてくるんだから間違いなく盗賊だ。だからこちらから先制して仕留めて仕舞おう。」

「分かりました。」

「じゃ段取りを説明する。」

 段取りを説明し終わるとティアは小さく頷き返してくれ、もう少し盗賊達を引き付ける為食事を続けた。

 盗賊達が此方まで30mを切った所で食事を置きティアに合図を送ってこちらから仕掛ける。

 俺は錬気弾でティアには弓でそれぞれ別の盗賊に攻撃を仕掛け、錬気弾を腹に受けた盗賊はその場で悶えるだけになりティアの弓は標的の盗賊に腿を射抜いた。

 ティアが次の矢を番えると同時に俺は三人目の盗賊へ駆け出し、逃げるか迎え撃つか迷った三人目が構えを取った瞬間左に逸れてティアの射線を通した。

 俺の動きに吊られてティアから注意が逸れた三人目はティアの狙撃を足に受けて動きを止め走り込んだ俺に顎を打ち抜かれて気絶した。


 三人目と錬気弾を撃ち込で気絶させた奴の足を掴んで最初にティアが狙撃した奴の所に引きずって行き、背後に弓を構えるティアを従えて足を押さえて痛がる奴の首に剣を突きつけた。

「三人を代表してお前に答えさせてやる、どっちか選べ。ここで止めを刺されてその辺に埋められるか、街で奴隷商に売られるか、どっちが良い?」

「お前たちこそ時間を無駄にしていいのかよ、後詰めの奴等が応援を呼びに行ってる筈だ。早く逃げないと囲まれるぞ。忌々しいが特別に見逃してやる。」

「鎌をかけても無駄だ。うちのティアを見て後詰めに回れるような奴がお前たちみたいな盗賊の中にいる訳ないだろう。これが最後だ。止めを刺されたいか、奴隷になるかどっちだ?」

 剣をさらに首へ近づけると、

「分かった、分かったよ。奴隷でいい。なら街まで歩かせたいだろ、さっさと治療しろ。」

「治療はしてやるが、その前に奴隷化を済まさせて貰うぞ。」

 起きている奴から順番に制約法術で奴隷化していくと驚いていた盗賊の表情が忌々しげに歪む。

「なんで討伐者のガキが奴隷化なんて出来るんだよ。」

「逃げ出す当てが外れたか?、怪我を直してやるからサッサと立って待ってろ。」

「糞が!」

 順番に治癒法術で怪我を直してやり、気付けをして立たせて昼食の後片付けが済むまで待たせた。

 

 三人を先に歩かせ俺とティアが後に続いて街に向かいながらいろいろ尋問す る。

 この連中は近くの廃砦を根城にしていた盗賊団の一員だったようで、見回りの途中に何人もの騎士や討伐者を見付けて2日前の夜に街道で商隊を襲い荷を根こそぎにした事で盗賊の掃討作戦が始まったと思いそのまま逃げだしたそうだ。

 魔眼で確認もしていたがやはりこいつ等は三人組で逃げ出す途中で俺とティアを見付け小遣い稼ぎの感覚で俺達を襲おうとしたそうだ。

 街道に近づき魔眼で獣道の先を確認すると街道付近に何人かの騎士や従士がいるようなので説明をし揉め事を避ける為俺が先頭に立ち進んで行くと二人の従士を連れた騎士が此方に向かってくる。

 相手を刺激しないよう立ち止まり向こうが近づいてくるのを待っていると、先頭にいた騎士が此方を見付けた途端、剣と盾を構えて突進してくる。

 走りながら剣を振りかぶり武技の発動体勢に入ったので仕方なくこちらも盾を構え、突進の勢いを上乗せした武技アーツ一閃を盾の武技アーツ防御膜を上乗せした盾で受け止める。

 お互いのプラーナが火花を散らし剣と盾での鍔迫り合いのようになった。

「ちょっと待ってください。」

「今更命乞いか、この盗賊め!」

「確かに真ん中の三人は捉えて奴隷化した盗賊ですが、俺と最後尾のエルフは討伐者です。」

「そんな嘘が通ると思っているのか!今この辺りにいるのは討伐隊の者か盗賊だけだ。集合場所でお前の顔を見ていない以上お前は盗賊だろうが!お前たちも何をぐずぐずしているさっさと討ち取るぞ!」

「ティア、向こうの二人を牽制してくれ。最初は足元への威嚇、それでも近づいてくるなら直接当ていいが、殺しはしないでくれ。」

「お任せください。セイジ様。」

 一歩足を踏み出した従者達の足元にティアの精霊術と弓が刺さり従者達は足を止め、俺は騎士の攻撃を盾だけ捌きながら地面にウィンドボールを打ち込み辺りに爆音を響かせた。

 俺と騎士が打ち合いティアと従士が睨み合う状態が3〜4分続いた所で思惑通りさっきの爆音に引き寄せられて他の騎士達が近づいて来たのでもう一度声を張った。

「もう一度言います。俺とエルフは討伐者です。魔境で魔物狩りをした帰りにこの三人に襲われそうになり返り討ちにして奴隷化し街で売る為に連れてるだけなんです信じてください。」

「まだ言うか、この盗賊め!」

 目の前の騎士が距離を取り全力の攻撃を繰り出そうとした所で

「そこまでだ!」

迫力にある仲裁の声が飛んで来てくれ騎士は動きを止めた。


お読み頂き有難う御座います。

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