出会い 9
「セイジさん、起きてください。」
扉を叩く音とキャミーちゃんの声に目を覚ますと俺の左腕を枕に寝ていたティアも目を覚ましたようだ。
「有難う、キャミーちゃん。」
「朝食の準備がもうすぐ終わりますからお店の方まで出て来て下さい。」
キャミーちゃんの足音が遠ざかるとティアはベッドから降りて土下座した。
「申し訳ありません。セイジ様。先に起きておかなければ、いけなかったのにお詫びの仕様もありません。」
ティアはそう言うが昨日は隷属制約で避妊を設定し風呂場で1回楽しませて貰った後、風呂から上がっても猛りが収まらずベッドで2回も楽しませて貰った。
相手をして貰った後、床で眠ろうとしたティアを抱き枕にして眠り、ティアは初めてのようだったから無理をさせたはずでその所為で起きられなかったのだろうから俺の方が謝らなければいけない位だろう。
「気にしなくていい。それよりアルバンさん達を待たせる訳にはいかないからさっさと身だしなみを整えよう。」
ティアの手を引いて立ち上がらせ俺達と部屋を生活魔術で綺麗にして部屋を出た。
身だしなみを整えて店の方に向かい全員で食事を取った後ジャンナさんに尋ねた。
「ジャンナさん、ティアの使う武器と防具に発動体を揃えたいので店を紹介して貰えますか?」
「なんだい、その子は身の回りの世話の為に貰ったんじゃないのかい?」
「俺の見立て通りならすぐに戦力になってくれると思います。」
「そうかい、それでも大事にしてやるんだよ。セイジは買い物が済んだら迷宮かい?」
「今度から迷宮にはティアと潜りたいんで、いつ装備が揃うか分からない以上まだ何とも言えませんね。」
「時間が空くようだったら魔法薬造りを手伝っておくれ、じゃ店の位置を教えようかね」
発動体は武器屋に売っているそうで武器屋と防具屋の場所を教えてもらい離れに戻る。
ティアの装備を相談する為一階の食堂で向かい合って座った。
「ティアは装備で何か希望がある?」
「セイジ様のお考えに従いますが。」
「武器の方は得意だったり使ってみたい物を、防具の方は上手く使えたり苦手な素材があったりを言って欲しいんだ。思考に合わない物や苦手な物を無理に使っても適正があるなら別だけど上達しない上に迷宮内での精神的疲労も格段に増える。早く疲労すれば迷宮で活動できる時間も短くなって収入の減少につながる。だからティアの正確な希望が知りたいんだよ。」
「御心を正確に理解できず申し訳ありません。奴隷になる前、里で弓を使っていました。才能があるとも言われました。防具の方は弓を使うのに邪魔にならなければ特にこだわりはありません。」
「偏見かもしれないけどエルフは金属を嫌っているって思ってたんだけど。」
「確かに森で狩りをする時は金属製の物は使いません。森の野生動物は金属の匂いに敏感ですから、でも魔物との戦いでは金属製の武器を使っていました。ですから金属に忌避感はありません。」
「ならティアの装備は弓と弓を使うのに邪魔にならない鎧だね。後は近接された時に備えて短剣位を持って貰おうか。」
「短剣を持たせて頂けるならお預けしている荷物の中にある私の短剣を待たせて貰えませんか?」
「構わないよ。」
ポーチに仕舞っていたティアの荷物を出して探し出した短剣を渡すとティアは大事そうに胸に抱えた。
「有難う御座います。」
「次は発動体の事だね。これも思い込みかもしれないけどエルフは精霊を操れるって思ってるんだけど、精霊を扱うのに発動体はいる?」
「確かに多くのエルフは精霊術を行使できますが扱うのではなく友としています。精霊術は精霊との契約によって発動できるようになるので発動体は要りませんが私は風と水の精霊術の他に治癒法術も扱えるので法術用の発動体を頂けますか?」
これまでの受け答えからティアは誠実そうだしいずれやらなければ事なので、必要のある秘密は明かしてティアに俺のアビリティの効果が及んでいるか確認しよう。
「じゃあ買う物に発動体を追加しよう、ついでに確認するけどティアは覚醒石にはもう触った?」
「はい、触っています。」
「じゃあ、解放されたクラスと今設定しているクラスを教えて。」
「精霊戦士、精霊術師、法術師、狩人の四つで今は法術師を設定しています。」
「法術師の事は知ってるけど、後の三つについては分からないから知っていたら教えてくれるか?」
「はい、精霊戦士と精霊術師はエルフ族にだけ稀に発現するクラスで精霊戦士は精霊術と武技の併用や精霊による武装化に長けます。精霊術師は精霊術の強化と精霊を実体化して直接支援して貰う事に長けます。狩人は遠距離武器と罠の扱いに長けるクラスだと教えて貰いました。」
「なるほど、ティアには弓と精霊術を中心にしてほしいから一番目のクラス設定は精霊戦士が良いけど、ティア、二番目のクラス設定に精霊術師が設定できるか試してみて。」
「二番目ですか?」
「そう、騙されたと思って試してみて。」
不思議そうな顔をしてティアは胸の前で手を組んで2〜3秒動きを止めた後、驚きの表情をして目を開けた。
「で、出来ました。二番目に精霊術師を設定する事が。」
「なら、次は一番目に精霊戦士、三番目に法術師、四番目に狩人を設定してみてくれ。」
ティアは頷いてもう一度胸の前で手を組んで試してくれた。
「上手く行きました。如何いう事か聞いてもいいでしょうか?」
「これから話すことは秘密にして欲しいんだけど、どうやら俺には自身の成長を加速させる何かのアビリティがあるようでね、それが装備している武器や防具にも影響してると気付いたんだ。それで俺の所有物になったティアにも影響しているか試してみたんだ。ティアのその様子なら俺の所有になる前は出来なかったみたいだから俺からの影響は確定だな。念を押すようだけれどくれぐれも秘密にしてくれ。」
「はい、お約束します。」
「取り敢えず今確認したい事はこれ位だから、教えて貰った武器屋と防具屋を回って実際に使う物を選ぼう。」
「はい、お供します。」
俺は鎧を付けず剣帯に剣だけ佩び、ティアには返した短剣を持たせて離れを出た。
まず訪れた武器屋で初心者が使う物より1ランク上の弓と矢を30本に矢筒と短剣を佩びておける腰帯に法術の発動体を買った。
次に行った防具屋で鉄製の脛当てと手首までの手甲に胸当てを買ったが胸当てのサイズの調整に一日かかると言われ明日朝一で取りに来る約束をして店を出た。
合わせて金貨4枚程の買い物をして今日は魔法薬造りの手伝いをする事にした。
アルバン魔法薬店で昼食をみんなで取った後ティアには好きにしていいと告げたがキャミーちゃんについてこの家での下働きの流儀を教えて貰うと張り切っていたので好きにさせる事にした。
夕食までに200本のライフポーションを造りみんなで夕食を食べて離れに戻る。
ティアと一緒に風呂に入りベッドに移動してから抱いて眠った。
お読み頂き有難う御座います。




