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出会い 7

 聞き耳スキルが拾った怒声の方に魔眼を向けて調べてみるとギルドで見かけたゼス教団の騎士達が揉めているようだった。

 何故揉めているのか分からないが係わって得する事は無いだろうから避ける為階段を上がるスピードを上げようとした時揉めている連中に何かが飛ぶように突っ込んできた。

 突っ込んできたのは揉めていた連中の同僚のようでもろともになぎ倒されてしまう。

 吹き飛ばされてきた方に視線を向けると明らかにアイアンゴーレムより格上のゴーレムが拳を振り切っていた。

 辺りに倒れた騎士が何人もいるのでこいつがミスリルゴーレムで、挑んできたゼス教団の騎士達を返り討ちにしたんだろう。

 

 なぎ倒された騎士達が慌てて立ち上がり螺旋階段の方に走って来るので、俺も慌てて十層の方に駆け下り逃げてくる騎士達の死角になる位置に逃げ込んだ。

 逃げてくる騎士達は倒れた仲間を気にする様子もなく螺旋階段に辿り着くと脇目も振らず上へと駆け上がって行った。

 ミスリルゴーレムはそんな奴らを追いかけて来ていたが螺旋階段がある広間には入らず踵を返して元来た道を歩き始める。

 ミスリルゴーレムが向かう先には倒された騎士達がいて僅かに体を動かしている者もいるので止めを刺すつもりなのかもしれない。

 教団に自分から係わるのは損にしかならないかもしれないが、きっと見捨てれば後味の悪い思いをする事になるので隠れている場所から駆け出した。


 螺旋階段を駆け上がり通路を駆け抜けミスリルゴーレムが倒れている騎士達に辿り着く前に背後に出ることが出来た。

 注意を引くため魔法武技を準備して切り掛かるが、ミスリルゴーレムの腰が180度回転しその回転の遠心力を上乗せされた拳を間合いに飛び込むタイミングに合わされてしまった。

 とっさに盾で受けたが受けた体制が悪く打撃に合わせて後ろに飛んだのでかなり押し戻されてしまった。

 ミスリルゴーレムが此方に振り向く中、仕切り直しの意味も含めて鑑定をした。


ミスリルゴーレム Lv17

筋力 102

体力 102

知性 17

精神 85

敏捷 17

感性 17

アビリティ

ミスリルボディ

スキル

2個


 アビリティミスリルボディはアビリティアイアンボディの効果に加え強い魔法耐性も加わっているようなのでアイアンゴーレムを倒した手は使えず魔法武技しか有効打を与えられないようだ。

 核の位置は走査をアイアンゴーレムで一度経験したおかげか左胸にすぐ見つける事が出来た。

 方向転換を終えたミスリルゴーレムがこちらに一歩踏み出して来たので戦場を倒れている騎士達から離す意味を含めて気鎧と魔装衣を重ね掛けし飛んでくる拳を下がりながら避けて魔法武技を撃ち込むタイミングを計って行く。

 アイアンゴーレムより一回りは早い拳が左右から振り回すように打ち込まれてくる中、回避の仕方を変えストレートを誘ってみるとこちらの思惑に乗って左ストレートを打ち込んできた。

 その拳を紙一重で回転するように外側に避け、回転の勢いを殺さず伸びきった左肘の外側に炎刃一閃を撃ち込んで肘から先を切り落とした。

 ミスリルゴーレムはすぐ右の拳を撃ち込んでくるが上体を逸らすことで紙一重でよけ、魔術アーツ炎刃を維持したままの剣で覚えていたが使えなかった武技アーツ瞬突を放つ。

 炎を纏った剣による片手突きが左胸を貫きミスリルゴーレムは動きを止めた。

 剣を引き抜くとミスリルゴーレムの体はひび割れ砕け拳大の石の山になり、山の上には魔核石が残った。


 取り敢えず魔核石だけポーチに仕舞い倒れている騎士達の近くに行って様子を鑑定してみると殆ど重傷者だが命に係わるほど者はいなかったので絡まれるのを避ける為そのままにしてミスリルゴーレムを倒した場所に戻った。

 ミスリルゴーレムから出来た拳大の石が低純度のミスリル塊である事を鑑定で確認してポーチの中に仕舞っていく。

 3分の2程仕舞った所で聞き耳スキルが足音を拾ったので嫌な予感がし魔眼で周囲を確認すると逃げ出した騎士達が増援を率いて戻ってきたようだ。

 逃げ出すことも一瞬考えたが残す事になるミスリル塊が余りに勿体ないので諦めて仕舞っていると戻ってきた騎士達は倒れている同僚に目もくれず俺を取り囲んだ。

「お前それをどうした?」

「俺が倒した魔物の素材ですから回収してるんですよ。」

「お前のようなガキがミスリルゴーレムを倒したのか?」

「そうですよ。」

「そうか、なら喜ぶといい、その素材と魔核石俺達に献上させてやる。仕舞った分もさっさと全部出せ。」

「お断りします。」

 俺の返答がよほど意外だったのか騎士達は一瞬自失した後顔を真っ赤にして怒りの表情を浮かべ腰の剣に手を掛けた。

 

 その時周りにいる騎士達とは比べ物にならない危機感知スキルの反応がしてそちらを向くと曲り角からもう一体のミスリルゴーレムが姿を現していた。

 そのゴーレムが両腕を持ち上げ始めるとさらに反応が強くなるので障壁法術に盾の武技アーツ防御膜も使って備えると、周りの騎士達も新たなゴーレムに気付いたようで視線がそのゴーレムに集まった。

 ゴーレムの両腕が水平まで持ち上がとひじから先の形が崩れ次の瞬間にはボウガンへと変わり猛烈な勢いで矢を射かけてくる。

 騎士達は次々打ち倒され障壁法術も突破されるが盾で弾く事は出来た。

 剣でも打ち落とし盾で弾きながらどう対処するか決めかねていると一矢防ぎ損ね腿を射抜かれてしまい、応急処置と対策を考える為曲がり角に逃げ込んで射線から身を隠した。

 

 身を隠すと射撃が止んだので隠れたまま魔眼でゴーレムの様子を確認すると射撃姿勢のまま動きを止めている。

 そのまま周囲を確認すると騎士達は動けないようだがまだ生きていて螺旋階段に向かう通路はゴーレムの射線に抑えられていた。

 帰還結晶を使えば逃げられるのかもしれないがまずは倒す方法を考えてみよう。

 取り敢えず怪我の処置をする為矢を引き剥いて治癒法術で処置を始めて引き抜いた矢を鑑定してみると総ミスリルの矢で魔法を無効化する効果があるようだ。

 この矢は魔術では迎撃出来ないようだしこの足では近接戦闘に持ち込むのは厳しい。

 そうなると残る手札は錬気弾と錬魔弾になるので試しに曲射で打ち込んでみるがゴーレムは反応せず着弾しても効いてはいないようだ。

 これで攻め手が無くなったかと気落ちしそうになるが鎧装拳のように重ねて使う事を試してなかったと気付き、早速試してみると上手く混ざりあったのでそのまま曲射で打ち込んだ。

 今度もゴーレムは反応せず混合弾が左のボウガンに着弾すると円形に陥没させた。

 混合弾は通用するようだがあの破壊形状では核を破壊するのには向かないのでアイアンゴーレムを倒したファイアージャベリンのような形状に出来ないかと試すと1.5mほどの槍状に変えることが出来たが技量不足で曲射は出来そうにない。

 腿の傷も走れないが最低限踏ん張れる所まで治ったのでゴーレムの左のボウガンが修復し終わる前に勝負に出る事にした。


「限界突破」


 アビリティ限界突破を使い能力を底上げし曲り角を出てゴーレムの前に出ると射撃が再開されるがまだ右腕だけなので盾で弾きながら核を探すのと並行して鑑定する。


ミスリルゴーレム Lv21

筋力 210

体力 105

知性 21

精神 105

敏捷 21

感性 21

アビリティ

ミスリルボディ

ギミックボディ

スキル

2個


 腰の辺りに核を見付けたのですぐさま槍状の混合弾を撃ち込むと半ばまで突き抜けて核を破壊し、ミスリルゴーレムは動きを止めひび割れ砕けて拳大のミスリル塊の小山と魔核石を残した。

 アビリティを止めてレベルが上がった時の力が湧いてくる感覚の中、周囲に他のゴーレムがいない事を確認する。

 射抜かれて生きていた騎士達は治癒法術で止血だけして後は放っておくことにした。

 一体目も含めて全てのミスリルゴーレムの素材を回収し終わると撃ち倒された騎士の一人が気付きそうだったのでそのままその場を離れた。

 ボウガンを使うミスリルゴーレムを倒した二種類の錬気弾と錬魔弾の混合弾は使えそうなので通常の物を錬鎧装弾、槍状の物を錬鎧装弾投槍と名前を付けておこう。


お読み頂き有難う御座います。

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