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出会い 6

 キャミーちゃんに起こして貰い身嗜みを整えた後アルバンさん達と朝食を食べた。

 アルバンさん達に激励されて店の裏口を出て、離れに戻って装備を身に着ける。

 ミスリルゴーレムは資料を見たが未見の魔物なので準備をしてから討伐に向かおう。

 具体的には帰還結晶を手に入れ非常時の迷宮からの帰還手段を確保して、類似の魔物であるアイアンゴーレムやブロンズゴーレムを相手に戦闘経験を積んでからミスリルゴーレムには当たろう。

 そう決めて離れを出てギルドに向かう。


 昼食を買いギルドに入る前に魔眼で中を確認すると殺気立ったゼス教団の騎士達が迷宮に潜る準備をしている。

 先を越される可能性が若干頭を過ぎるが気にしても仕方ないし、ミスリルゴーレムの話をして注意を引かないよう心掛けてギルドに入った。

 ゼス教団の騎士達には目もくれず受付に行って帰還結晶を落とす守護者の情報を尋ねていると後ろから声を掛けられた。

「お前に十層の守護者が狩れるのか?」

 振り返るとゼス教団の騎士が見下した視線を俺に向けていた。

 関わりたくはないが無視すれば余計に絡んできそうだ。

「えっと、どちら様でしょうか?」

「そんなことも分からんのか、我々はゼス様に使える騎士だ。先程の問いに答えろ。」

「一応そのつもりです。」

「嘘くさいがまあいい、小銭をくれてやるから暫く迷宮に近づくな。」

「お断りします。迷宮に入るにはお金の為だけじゃなくて強くなるためでもありますから。」

「チッ、生意気な。いいか九層には近づくな。どんな事故が起こっても知らんぞ。」

 もう一度舌打ちして離れていく騎士の事はもう気にせず情報の続きを聞き、地図に大まかな出現場所を記入してもらい礼を言って受付を離れる。


 迷宮に入り一層から螺旋階段を下り一気に十層まで下る。

 資料で読んだこの層の魔物はメタルベアーという金属質の毛皮を纏った熊の魔物と書いてあった。

 魔眼を使って周囲を見回してみると確かに熊の魔物が1匹ずつ徘徊している。

 試しに戦ってみる為近くの1匹に近づいて曲り角の向こうにいるメタルベアーにファイアーボールとファイアーアローを放つ。

 ファイアーボールの爆発で焼かれ、ファイアーアローが刺さってもメタルベアーは構わずこちらに向かって来るので構えを取る。

 メタルベアーが角を曲がると同時に間合いを詰めて鑑定をした。


メタルベアー Lv12

筋力 48

体力 48

知性 12

精神 24

敏捷 36

感性 24

アビリティ

メタルスキン

スキル

2個


 魔術はきちんと効果があったようでライフが1/3を切っている事から魔術を三発撃ち込めば倒せるようだが近接戦も試すため、後ろ足で立ち上がるメタルベアーの前に立った。

 立ち上がると2mを超えるメタルベアーが振り下ろして来る前足を盾で弾き、剣で腹を薙ぐと傷口から瘴気が吹き出し倒れた。

 倒れたメタルベアーの体は魔核石と毛皮を残して消えた。

 試しにメタルベアーと戦ってみて魔術だけでも仕留める事が出来そうなのは朗報だが斬った手応えが以前ゴブリンナイトの鎧を切った時と似たような手応えだった。

 落とした毛皮を手に持ってみても金属質な手触りがするので物理防御が高い事を注意しなければいけないようだ。


 魔核石と毛皮をポーチに仕舞い守護者が出る一角を目指す。

 途中魔術だけでメタルベアーを倒せる事を確認し、近接戦闘だけで戦う事を試した時は間合いを取られた後仕掛けられた突撃からの噛みつきが一番危険な攻撃だと思い知らされた。

 その後2回メタルベアーと戦う事になったが2回とも魔術で先制し一気に間合いを詰めて切り倒した。

 地図や魔眼で見た周囲の通路の様子から目の前にある部屋が守護者の発生する場所のようで瘴気探知でも違和感を感じ取れる。

 部屋に入って扉を閉めると直ぐに瘴気が魔物を形作る。

 部屋の中に現れたのはギルドの受付で確認した通りの鈍色をした3m級の人の形をした魔物だった。

踏み出した一歩から動きは鈍そうだしまだ距離があるので鑑定してみる。


アイアンゴーレム Lv16

筋力 80

体力 80

知性 16

精神 64

敏捷 16

感性 16

アビリティ

アイアンボディ

スキル

2個


 このアイアンゴーレムは恐らくミスリルゴーレムと同系統の下位種に当たると思う。

 こいつに効かない攻撃はミスリルゴーレムにも聞かないだろうから有効な攻撃手段をさがして倒し方を見付けておこう。

 まずファーアーボールとファーアーアローを撃ち込んでみるがライフを5%も削れず回復が始まる。

 如何やら鑑定で見たアビリティアイアンボディの核への攻撃以外自己再生する効果は確かなようだし、今の魔術では核に届かないようだ。

 核に攻撃が届けば一撃で倒せる事も鑑定出来ていたので、歩きとは違いそこそこの速さの拳を回避しながら核を探していると、万象の鑑定眼と万物の透視眼を合わせた効果でやっと右胸に核を見付けた。

 右胸にある核を攻撃する為まず邪魔な右腕を切り落とそうと拳を振りぬいて伸びきった右ひじにアーツ一閃を放つが半ばで止まってしまい腕を振られてふり払われてしまう。

 魔術アーツ属性刃を上乗せしていれば切り落とせただろうが物理防御力はメタルベアーを上回っているようだ。

 ここまでの様子から魔法武技なら確実に核へ攻撃が届きそうなので今後の為覚えてはいたがやっと使えるようになったアーツを試すことにする。

 戦っていた部屋の中程からバックステップで壁際まで下がり、魔術アーツを発動させる。

 左の掌の上に火球が現れそれがすぐさま2m半ほどの槍に変わりアイアンゴーレムへと打ち出した。

 炎の槍は真っ直ぐアイアンゴーレムの核へと飛び、右腕を盾にしてアイアンゴーレムは防御するが炎の槍はその腕ごと核を貫き穂先が50cmほど突き抜けて止まった。

 炎の槍が消えるとアイアンゴーレムはひび割れ砕けて拳程の鉱石の山に変わり山の上には魔核石と水晶の様な結晶が残った。


 アイアンゴーレムの攻撃は大した事はなかったが防御力は侮れない物だった。

 ミスリルゴーレムの防御力はさらに上だろうから戦う時は下手な牽制はせず最初から魔法武技で核を狙って行くのが良さそうだ。

 剣を収め魔核石をポーチに仕舞って結晶を鑑定してみる。


封魔法結晶

格納術式 帰還転移


 狙っていた帰還結晶で間違いないようだがプラーナとマナが空ですぐには使えないようだ。

 使用者のプラーナとマナで補充するタイプのようで迷宮内での消耗は避けたいから寝る前に充填する事にしてこれもポーチに仕舞った。

 次いでアイアンゴーレムが砕けて出来た拳大の石を鑑定してみると低純度の鉄塊のようでゴーレム一体分ともなればそこそこのお金になりそうなのでこれも回収していく。

 鉄塊の回収は中々の手間で気分転換に周囲を魔眼で見渡した時、壁の中に興味を惹かれる物を見付けたが調べるとかなりの時間を食われそうなのでクージンさんからの依頼にけりが付くまで保留する事にした。

 鉄塊の回収に思いの外時間が掛かったのでこの部屋で昼食をとり、転移結晶がすぐに使えないので残念だが今日はミスリルゴーレムの討伐には向かわず午後は二層か一層で草を採取する事にして部屋を出た。

 螺旋階段の所に着くまで2匹のメタルベアーを狩り、取り敢えず上を目指して螺旋階段を上り始めると九層付近で聞き耳スキルが怒声を拾った。


お読み頂き有難う御座います。

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