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出会い 4

 危機感知スキルに従い視線を向けてみると討伐者には見えない揃いの装備を身に着けた一団が酒場の一角を占拠していた。

 鑑定してみると如何やらゼス教団の騎士達のようだ。

 視線を向けすぎ注意を引くわけには行かないので詳しくは鑑定せず視線を出口に戻しそのままギルドを出る。

 ギルドから追いかけて来る者がいないか振り向かず気配探知で探りながら大通りを歩きアルバンさんの魔法薬店に前まで来る。

 追いかけてくる気配は無かったので店の脇を通り裏庭に出て一つ息を吐いてから裏庭側のドアを開けて店に入る。

 中ではキャミーちゃんがアゼル君の相手をしながら夕食の準備をしていた。

「ただいま、二人とも。」

「おかえりー」

「おかえりなさいませ。セイジさん。アルバンさんとジャンナさんから伝言です。帰ってきたら昨日の部屋に来るようにとのことです。」

「分かった。有難う。」

 アゼル君とキャミーちゃんの横を抜けて店の方に向かい昨日通された部屋をノックすると入って来るよう返事があった。

 扉を開けて中に入るとアルバンさんとジャンナさんは小瓶に液体を小分けしている所だった。

「帰って来たね、セイジ。ちょっと待てておくれ」

 ジャンナさんはそう言って瓶への小分けを二人で進めていって全て済んだ所で自分の亜空間ポーチを準備してテーブルの一角を開けてくれた。

「ここに今日の成果の出しておくれ。」

 頷いて借りた亜空間ポーチからテーブルに採取した草を出していくとジャンナさんはそのまま自分のポーチに順次仕舞って行った。


 全て出し終わりジャンナさんのポーチにも仕舞い終わって夕食の為にダイニングに移動するかと思ったら、空いている椅子に座るよう勧められたのでその椅子に座るとアルバンさんが口を開いた。

「実はギルドの経由で大きな仕事が家の店に来た。取り敢えず2〜3日の間に各種の魔法薬併せて2000本、上回る分も買い取るし継続的に発注が来るそうだ。たびたび仕事の内容を変えて悪いがセイジにも最初の2000本を片付けるまで店の方を手伝ってほしい。」

「何か手伝えることがあるんですか?前にも言いましたけど俺は魔法薬なんて作った事無いですよ?」

「その点は問題ない。」

 アルバンさんは席を立って棚から数冊の本を取り出してテーブルの上に置いた。

「これらの本は魔法薬製造スキルのアーツブックと各種魔法薬製造アーツのアーツブックだ。これらの本を読んでアーツを覚えればそれだけで最低限の各種魔法薬が作れるようになる。」

「具体的な価値は俺には分かりませんけどこのアーツブックかなり貴重な物ですよね。いいんですかそれを俺に読ませても?」

「こちらからの無理難題への報酬代わりの対価だと思ってくれ。」

「材料の方は大丈夫なんですか?」

「昨日と今日セイジが採取してきた分で最初の2000本は十分作れる筈だ。」

「分かりました。お手伝いします。因みに依頼主は誰なんですか。」

「ゼス教団だ。今日の昼間、教団からの使節団がこの街に着いてすぐ発注してきたらしい、ギルドからの使いの者はそう言っていた。」

 そこでドアがノックされキャミーちゃんが夕食の準備が出来たと告げたので、一旦食事を取る事にした。

 アルバンさんとジャンナさんはそのままダイニングに向かい俺は離れで装備を脱いで向かった。

 

 全員で食事を取り食べ終わった所でアルバンさんが口を開いた。

「キャミー、店に大きな仕事が来たから暫くの間、俺とジャンナそれにセイジは店の仕事に専念する。アゼルの世話を頼むぞ。」

「はい、旦那様。」

「頼むぞ、ジャンナ、セイジ、早速仕事に掛かろう。」

 テーブルを立ってさっきの部屋に戻りアルバンさんとジャンナさんは今日俺が採取してきた草の判別を始めたので、俺もアーツブックを読み始める。

 夜半過ぎアルバンさんとジャンナさんはもう少し判別が残っていたがアーツブックを読み終わったので今日は先に休ませて貰う事にした。

 店を出て離れに戻り風呂に入ってから眠った。


魔法薬製造アーツを取得した

体力回復薬アーツを取得した

気力回復薬アーツを取得した

魔力回復薬アーツを取得した

状態異常回復薬アーツを取得した


 キャミーちゃんに起こされ皆で食事をして仕事を始める。

 まずジャンナさんに魔法薬製造の手順を教えて貰った。

 そこそこ大きさの瓶に魔術で水を満たしその水にプラーナとマナを過充填する。

 充填の終わった水に作りたい種類に合わせた材料を入れて反応させ安定したら完成で、安定の目安は入れた素材が無くなり魔法薬が素材の色に染まればいいらしい。

 後は劣化を防止する付与が掛けられた小瓶に分ける。

 対応する複数の材料を入れれば効果が重複した魔法薬を作る事も出来るらしいが反応を安定させるのが格段に難しくなり、失敗すると色が付かず素材も無くなりプラーナとマナを充填する所からやり直しになるそうだ。

 

 手順を教わった俺はまずライフポーション造りを試す事になった。

 ライフポーションは最低限の効果でいいが数を揃えて欲しいという依頼だそうでアーツをきちんと覚えていれば問題なく作れるとジャンナさんに言われ取り敢えず50本分造る事になった。

 教えられた手順通りに作って反応が安定した所で質を調べて貰うと十分依頼の要求を満たしているようで、今出来ている分を小分けにしてこのままライフポーションを作り続ける事になった。


魔法薬製造アーツは魔法薬製造スキルに上書きされます

体力回復薬アーツは魔法薬製造スキルに格納されます

気力回復薬アーツは魔法薬製造スキルに格納されます

魔力回復薬アーツは魔法薬製造スキルに格納されます

状態異常回復薬アーツは魔法薬製造スキルに格納されます

精密動作スキルを取得した

精密動作スキルは体術スキルに格納されます


 50本文のライフポーションを造って小分けをするのに1時間強かかり昼までに最初に造った分と併せて150本分造れた。

 昼食を食べた後もライフポーションを造り続け、200本分造り終えた所でプラーナとマナの残量が心許なくなってきたので小分けにした所で今日は終わらせて貰った。

 キャミーちゃんが用意していた夕食を食べて離れに戻り風呂に入って眠った。


 キャミーちゃんに起こされて身嗜みを整えアルバンさん達と朝食を食べてライフポーション造りを始める。

 昼前までに200本分造り全員で昼食を食べた後アルバンさんが話かけてきた。

「セイジ、悪いが午後からは配達に行ってくれないか?」

「配達ですか。今回の注文、数がもう揃ったんですか?」

「いや、配達を頼みたいのは今回の話以前に受けていた注文で今日が納入日の物だ。」

「分かりました。配達先は何処ですか?」

「貸している亜空間ポーチに魔法薬を入れる時に詳しい場所をおしえるが、ギルドと懇意にしている奴隷商だ。」

 店にある魔法薬を造る作業場で借りているポーチに配達するポーションを詰めて奴隷商の場所を聞いて店を出る。

 ギルドに行くということはゼス教団の騎士達と会う可能性もあるもできちんと装備を身に着けて行こう。

 離れに戻り装備を身に着けて裏庭に出て店の脇を抜けて大通りに出る。

 危機感知が反応する視線が無い事を確認して大通りを歩き始めギルドを目指す。

 ギルドに入り酒場の方を確認するが今日はゼス教団の騎士達の姿は無かった。

 受付でポーションを納品し受け取りを貰ってギルドを出て奴隷商を目指す。

 大通りから脇道に入り角を幾つか曲がった所にある、教えて貰った店に入ると彼女がいた。


お読み頂き有難う御座います。

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