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見付けた秘密 1

 まだお昼前だが今日は守護者と戦いで消耗したし、俺を殺そうとした相手だが人が殺される所を見た。

 それに今からまた迷宮に入っても現在の狩場と考えている五層で夕方までの間に何時もの数の魔物を探して倒すのに十分な時間を取れそうに無いので今日の迷宮での魔物狩りは終わりにした。

 だが半日以上無為に過ごすのも勿体無いので今日の守護者との戦いでも感じた自分の問題点の改善をしよう。


 今の俺の問題点は鎧などを着た高い防御力の相手に対する攻撃手段の少なさだ。

 今日の戦いで新しい魔法の当て方を閃いたが、鎧などを無視できる攻撃手段と鎧などを上回る攻撃手段はぜひ欲しい。

 前者はすぐに思いつかないが後者はゲオルさんやベレニスさんが教えてくれた魔法武技が思い浮かぶ。

 あれだけ明確に勧められたのだから魔法武技にはアーツブックが在る筈なのでもう一度詳しく資料保管室でアーツブックを調べさせて貰おう。

 その時に上手くすれば鎧を無視できる攻撃手段も見つかるだろう。

 

 早速ギルドの資料保管室に向かい魔法武技のアーツブックを探してみるが見つからない。

 当ても無く探したり悩んでも時間の無駄になると思い、部屋に居たスタグスさんに魔法武技の事を尋ねてみると快く教えてくれた。

 魔法武技とは相性のいい魔術アーツや法術アーツと武技アーツを組み合わせた物で定型のアーツは無く使い手により自由に組み合わされて使われている物だとスタグスさんは教えてくれた。


 そう教えて貰ったことでさっき探していた中に一つ、この前アーツブックをリストアップした時見つけたがよく分からなかった物が一つ思い浮かんで来た。

 きちんと確認するためさっき目に付いたアーツブックから手に取る。

 魔術アーツ炎刃と言い炎の刃を生み出し物理攻撃が効かないタイプの魔物に対する武器とする物だ。

 これで武器を覆う形に刃を形成すれば殆どの刃がある武器の武技アーツと組み合わせる事が出来ると思う。

 試しにこれを覚えて見て上手く行くようなら既に見つけてある属性が異なるだけで同じように刃を生み出す魔術アーツを覚えて行こう。


 次に以前見付けたアーツブックを手に取る。

 武技アーツ気力浸透波と言う物だ。

 これはプラーナによる物体に浸透する攻撃波を生み出すという物で以前はこれ単体でどう使うのかと疑問に思った。

 だがアーツを組み合わせるという方法を聞いて格闘スキルと併せると中国拳法の浸透掌の様な内部にまで威力が伝わる打撃攻撃法になるのではと思いついた。

 それで手に取って見たんだが今はプラーナ操作スキルのレベルが足りずこのアーツを発動出来ない様だ

 

 残念だがこのアーツの習得は後回しにしよう。

 だがプラーナの回復量を増やし気鎧を強化するために覚えたプラーナ操作スキルが武技アーツ気力浸透波に対応しているならよくアニメや漫画に出てきたようにプラーナを拳に集め増幅し拳撃を強化出来るかもしれない。

 試しにやってみると簡単に出来てそれはマナの方でも同じだった。

 後は拳の打ち込みと併せる練習をして実戦で試してみよう。

 プラーナ操作スキルの事は一端そこまでにして魔術アーツ炎刃のアーツブックを読むことにし、昼の時間までには読み終えた。


 区切りがいいので昼食を取る事にし、ギルドの酒場で食事をした後で習得したアーツや閃いたプラーナやマナの使い方を試すため訓練場に出た。

 試した結果は上々で魔術アーツ炎刃で武器を覆う炎の刃を生み出せたし、プラーナやマナを集中増幅して拳を振るう事が出来て少し練習すると当たる瞬間だけ集中増幅出来る様になった。

 後は明日迷宮に潜ってゴブリン相手に実際に使ってみよう。


 訓練場で実際に試してみて魔術アーツ炎刃は使えそうなので同系統の魔術アーツも身に着ける事にする。

 訓練場から出て資料保管室に戻り順番にアーツブックを読んでいく。

 夕方までの間に魔術アーツ水刃と風刃に岩刃を身に着けて教会に戻り、食事をして風呂に入りギルドに戻ってきてからは魔術アーツ光刃と闇刃を身に着けた。

 アーツブックを読み終えた後は暗くなった訓練場に出て昼から覚えたアーツ全てで武器を覆う各属性の刃を生み出せるのを確認して部屋に戻り眠りに就いた。


 朝日を感じて目覚めると何時もの様に食事をしてギルドでの朝の訓練を済ませる。

 今日は昨日身に着けたアーツなどの実戦テストをして五層で見つけた地図に表記の無かった場所を調べてみよう。

 そう決めて迷宮に入り下層への階段に向かう最短ルートを通ることで魔物と戦う事無く五層まで到着する。

 五層でも下層への階段に向かう最短ルートを歩き昨日ナイフを投げられた角を曲がった。


 真っ直ぐ調べたい場所には向かわず魔眼でゴブリンを探し数匹見つけることが出来たので魔法武技から順に試すことにした。

 最初に試した魔術アーツ炎刃と武技アーツ一閃の組み合わせは持っていた棍棒ごとゴブリンを一刀両断にする。

 次のプラーナやマナを集中増幅して纏わせた拳撃はゴブリンを一撃で仕留め、ついでに試してみたプラーナとマナを共に集中増幅して纏わせた拳撃は打ち込んだゴブリンを数メートル水平に吹き飛ばして仕留めた。

 実戦テストでどれも問題はなかったのでこれからは常用していこう。

 ただプラーナ系とマナ系の技を併用すると干渉して減衰し2になる筈が1.5から1.7位の威力しか出ていない様だ。

 ゲオルさん達に教えて貰った魔法戦士のクラスになればこの現象は無くなるそうだから頑張って強くなろう。

 後は咄嗟の時に意識し易い様に名前を付けよう。

 魔法武技は属性刃一閃、プラーナの拳撃は気鎧拳、マナの拳撃は魔装拳、プラーナとマナを併用する拳撃は鎧装拳としよう。


 実戦テストが終わったので地図に表記が無かった場所に真っ直ぐ向かう。

 着いた場所は魔眼で見なければただの通路にしか見えない場所だった。

 扉が在る筈の場所も唯の壁面にしか見えず初めは仕掛けが分からなかったが、透視眼で壁の内部構造が見えたことで開け方が分かった。

 壁のある箇所を押し込でずらして持ち手にし、思いっきり引っ張ると壁が扉の様に開いて行く。

 魔眼では見えていたが壁を開いた先には大きめの部屋があり、奥の壁際に祭壇の様な物が在るだけだった。

 祭壇のような物を鑑定しようと部屋の中に入ると壁がゆっくり閉まっていく。

 完全に壁が閉まった瞬間俺の瘴気探知スキルが反応し、床から両手持ちの大剣を提げ鎧を着こみ赤黒い靄に包まれたゴブリンが現れた。

 俺はそのゴブリンの禍々しさに当てられ斬り込んでくるゴブリンへの反応が遅れてしまい、ゴブリンの大剣を盾で防御しきれず鎧の無い左手の二の腕辺りを切られてしまう。

 続く剣撃を痛みは在るが盾で受け止める事が出来たので骨や腱に大きな血管は大丈夫そうだが中々血が止まらない。

 血を流し続けると不味いがゴブリンとの近接戦闘で両手が塞がりポーションが使えない。

 ダメ元で意識を傷口に向けるだけで法術アーツ外傷快復を使ってみると上手く行き痛みと出血が収まっていく。

 

 応急手当てが上手く行ったので拡縮の遠視眼を万象の鑑定眼に変えてこのゴブリンを鑑定してみた。


ゴブリンカーズナイト Lv14

筋力 84

耐力 77

知性 14

精神 28

敏捷 42

感性 42

アビリティ

堅体

呪いの衣

スキル

3個


 ゴブリンナイトを攻撃寄りに強化したような能力値をしているが真に厄介なのはアビリティ呪いの衣だ。

 鑑定を疑う訳では無いが確認をしておこう。

 ゴブリンカーズナイトの剣を弾きバックステップをして距離を作って魔術アーツファイアーボールを三連射する。

 一発目は切り落とされ、二発目は避けられるが、三発目は直撃した。

 だがゴブリンカーズナイトはダメージが入った様子もなく突っ込んで来て剣撃の応酬になる。

 鍔迫り合いになり動きが止まったタイミングで周回させ十分加速したファイアーボールをゴブリンカーズナイトの背中に打ち込んだが余りダメージは無いようだ。


 やはり鑑定通りアビリティ呪いの衣はプラーナとマナを併用しない攻撃を9割無効化し併用する攻撃は5割増しでダメージを受けるという物の様だ。

 そうなると俺の持つ攻撃手段の中で有効な手段は属性刃一閃と鎧装拳の二つに絞られる。

 俺が剣と盾での近接戦闘を続けながら属性刃一閃や鎧装拳を撃ち込む機会を狙っていると、ゴブリンカーズナイトの方が先に勝負に出た。

 剣を打ち合った反動も利用しバックステップをして距離を作ると、両手で大剣を右肩に担ぐように構え大剣に瘴気を集め始める。

 俺も気鎧と魔装衣に身体強化法術を重ね掛けし、ゴブリンカーズナイトが地面を蹴るタイミングに合わせて


「限界突破」


アビリティ限界突破を使い打ち込んでくるゴブリンカーズナイトの大剣に武技アーツ一閃を打ち合わせる。

 瘴気を纏った大剣とプラーナを帯びる剣が拮抗するが、俺は押し負けたように装いゴブリンカーズナイトを間合いに引き込んで脇腹に左腕で鎧装拳を撃ち込んだ。

 鎧に上からでも効果はあったようでゴブリンカーズナイトはよろめきながら後退する。

 俺は追撃の為、右の腰だめに両手で剣を水平に構え一気に飛び込んで炎刃一閃を放つ。

 ゴブリンカーズナイトも剣を打ち下ろして来るが俺に剣が当たるより早く俺の放った炎刃一閃がゴブリンカーズナイトの胴を上下に両断した。

 横を駆け抜け勢いを殺して立ち止まり振り返るとゴブリンカーズナイトの死体はゆっくり形を失い後には剣と盾と鎧に魔核石が残っていた。

 俺は大きく息を吐いてアビリティ限界突破を止めた。


お読み頂き有難う御座います。

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