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魔物と悪意 4

 これまでは食事をして風呂に入って部屋に戻ってくると特に何もせずすぐ寝ていた。

 だが僅かではあるが俺自身を取り巻く事情が分かり、高い確率で強さを求められることになりそうな以上、時間は有効に使うべきだろう。

 幸いリストアップした未読のアーツブックはまだまだあるのでやる事には困らない。

 酒臭いし騒がしいかもしれないが元の世界での就寝時間までギルドでアーツブックを読むことにしよう。

 装備は外していたので剣帯に剣と盾も下げて部屋を出た。


 既に暗くなり始めている道を歩いてギルドに入る。

 思った通りギルドの中は酒の匂いと喧騒に包まれていた。

 だが資料保管室まで来てみると中では酒の匂いは殆どしないし、騒音もかなり抑えられていた。

 俺の予想と違いかなり対策が取られていた様だ。

 改めて資料保管室の中を見回すとそこそこの数先客がいて、ほとんどが討伐者のようだが教団の騎士だろう人もいる。

 何より千葉さんの姿があった。

 千葉さんに会うのは1週間ぶり位なのでどれ程強くなっているか鑑定してみた。


千葉 進 Lv4

筋力 42

耐力 28

知性 16

精神 16

敏捷 42

感性 24

アビリティ

英雄の器

覇者の肉体

統率者

スキル

3個


 千葉さんの今の強さは片桐君と同じくらいのようだ。

 片桐君が話を盛り過ぎていないなら千葉さんは最初の日からからずっと迷宮に潜り続けているんだろう。

 目当てのアーツブックを読む為俺が横を通り過ぎても千葉さんは集中を切らさずアーツブックを読み続ける。

 俺もその姿勢に倣うためアーツブックを手に取り読み始める。

 全ての元素魔術の威力を上げるボールの魔術アーツと貫通力を上げるアローの魔術アーツを覚えた所で眠気を覚えたので切り上げる事にした。

 資料保管室には俺の他にもう一人いるだけで千葉さんの姿も既になかった。

 俺も本の持ち出しが無い事を確認してもらい資料保管室を出た。

 まだ酒の香りと喧騒が残るギルドを出て真っ暗な道を暗視スキルを頼りに部屋に戻ってくる。

 部屋に入ると剣帯を外してベッドに倒れこむように横になり眠った。


アーツ属性ボールを取得した

アーツ属性アローを取得した

アーツ属性ボール、アーツ属性アローは元素魔術スキルに格納されます


 翌日からの二日ほどは同じように過ぎた。

 具体的には朝起きて食事をし、新たに魔術と法術の訓練を加える事にしたギルドでの朝の訓練を終えると昼食を買い夕方まで迷宮で魔物を狩った。

 迷宮から出るとギルドで魔核石や素材を売り払い教会で食事をして風呂に入る。

 風呂に入った後は一端部屋に戻り剣帯と盾を持ってギルドに戻る。

 ギルドでアーツブックを読み今日魔物を狩った層より一つ下の層の地図を買って部屋に戻り眠るという感じだ。

 

 最初の日は三層でゴブリンを15匹狩ったがレベルは6のままだった。

 アーツブックを読んで身に着けたアーツは盾の武技アーツを二つだ。

 試してみると二つともすぐに使えた。


 次の日は四層でゴブリンを15匹狩りお昼頃レベルが7になった。

 アーツブックを読んで身に着けたアーツはプラーナを弾丸状にして直接打ち出すラーニングアーツと効果は同じでマナを使うバージョンの二つだ。

 ラーニングアーツはすぐにスキルに上書きした。

 この二日間で地図代や昼食代を引いて8500ヘルク程稼いだ。


アーツ防御膜を取得した

アーツ抵抗膜を取得した

アーツ防御膜、アーツ抵抗膜は盾術スキルに格納されます

錬気弾アーツを取得した

錬魔弾アーツを取得した

錬気弾アーツは錬気弾スキルに上書きされます

錬魔弾アーツは錬魔弾スキルに上書きされます

錬気弾スキルは気鎧術スキルに格納されます

錬魔弾スキルは魔装術スキルに格納されます


 昨日までと同じように起床し食事をしてギルドに行き朝の訓練を終える。

 大通りに出ている屋台で昼食を買い迷宮に向かい、今日は五層まで下りる予定なので五層分も含めて地図があるか確認して迷宮に入った。

 迷宮内の各階層で階段と階段を結ぶ最短ルート付近は、良く討伐者が行き交っている所為で魔物にはほとんど出会わない。

 その御蔭で四層まで魔物と戦わずに下りる事が出来た。

 

 そのまま地図を確認して五層への最短ルートを歩いていると、ルート上にある通り抜けをする部屋の周りに万物の透視眼で人影を見つけた。

 入り口と出口を隠れて見張れる位置に数人ずついる様で、先日守護者殺しに会う前にすれ違った男の顔も在った。

 状況が先日と似通っている以上こいつ等はまた守護者殺しを狙っているのだろう。

 なら俺がまた標的にされる可能性は高い。

 隠れている所に行って問い詰めても白を切って逃げるだろうし、ギルドの人を連れてきても探知系のスキルを持っていたら接触する前に逃げられてしまうだろう。

 それなら危険はあるが自分の能力を信じて守護者殺しに掛かった上で乗り越え、逃げる奴らを万物の透視眼を使い気付かれないよう尾行し、ねぐらを突き止めギルドに通報し、守護者が落とす素材を証拠にして一網打尽にして貰おう。

 そう決めて隠れている奴らに気づいている事を悟られないよう守護者が発生するだろう部屋に入って行った。


 案の定部屋の中程まで進むと、閉めろと言う掛け声で部屋に閉じ込められる。

 すぐに魔物の気配が発生しそちらを向くと、一層で戦った守護者の様なゴブリンが2体と杖を持ったゴブリンが1体現れていた。

 すぐに構えを取るが、後の為に鑑定眼は使えず、初めて同時に複数の魔物と相対し感じた少しの戸惑いを衝かれ先手を取られてしまう。

 杖を持ったゴブリンが吼え2体のゴブリンファイターが左右に分かれて迫ってくる。

 待ち受けてしまった俺は左右から挟まれてしまった。

 剣で右側、盾で左側のゴブリンの攻撃を受け止め切り返すタイミングを計っていると、杖を持ったゴブリンの声に合わせてゴブリンファイター達が距離を取った。

 危機感知スキルの反応に従って杖を持ったゴブリンの方に視線を向けると、ファイアーボールの魔術アーツに似た火球を放ってくる。

 武技アーツ抵抗膜を使った盾を火球に向けて受け止めると、盾の防御力が勝りダメージは無いが爆発で動きを止められてしまった。

 ここでまた杖を持ったゴブリンが吼えゴブリンファイターに左右から挟まれてしまう。

 最初の展開に戻ったのでまた吼え声を合図にゴブリンファイターが離れ、杖を持ったゴブリンから火球が来るのだろう。

 なら俺はその作戦を逆に利用しよう。

 防戦を続ける中、聞こえてくる杖を持ったゴブリンの吼え声に合わせて俺もアビリティを発動する。


「限界突破」


 俺の声に合わせたようにゴブリンファイターが距離を作ったので、俺は杖を持ったゴブリンに向かって飛び出した。

 杖を持ったゴブリンが放ってくる火球を、限界突破で引き揚げた能力値を頼りに紙一重で避けて突っ込む。

 杖を持ったゴブリンは硬直したように動かないので、すれ違いざまにアーツ一閃で胴の辺りを両断した。

 勢いを殺さず180度旋回すると丁度ゴブリンファイターが此方を向いて走り始めていた。


見切りスキルを取得した

見切りスキルは体術スキルに格納されます


 残った二匹も分断するため、二匹の間に覚えたばかりだが発動の早い錬気弾を撃ち込み距離を広げる。

 より遠くにいるゴブリンファイターの方に錬魔弾を撃ち込んで足止めをして、近寄ってくるもう一方のゴブリンファイターを数合打ち合った後アーツ一閃で倒した。

 すぐさま足止めをしたゴブリンファイターの方に視線を向けると、錬魔弾でのダメージでどうやら動けなくなっている。

 いい的なので最大のファイアーボールの魔術アーツを撃ち込んでそのまま倒した。

お読み頂き有難う御座います。

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