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魔術と法術 2

 ベレニスさんから手渡されたブレスレットの様な物は銀の板とチェーンで出来ていて、銀の板にはかなり細かい模様が刻まれていた。

「それはね発動体って言う物よ。」

「すみません。魔術や法術の知識は全くないので魔術と法術の違いから教えてくれませんか?」

「分かったわ、ならそこから説明しましょう。魔術は主にマナを消費して何かを生み出す術の事よ、火や風を生み出す元素魔術や召喚魔術があるわ。一方法術はマナとプラーナを両方消費して現存する物体や法則に干渉する術の事よ、治癒法術、結界法術、転移法術なんかがあるわ。発動体は魔術ならマナを、法術ならマナとプラーナを実際の術の効果に変換するのもよ。ここまではいい?」

「じゃあ、この発動体っていうのが無ければ、魔術や法術は使えないんですか?」

「2〜3分位の呪文の詠唱でも発動は出来るんだけど、セイジ君は魔術や法術の詳しい知識まで欲しい?それとも安定した戦闘手法として使えるようになれれば十分?」

「将来は分かりませんが今は後者ですね。」

「だったら発動体が2〜3分の呪文を短縮して代替している位の理解でいいと思うわよ。その発動体はあまり効率が良くないけれどよほど特殊なものじゃない限り大体の魔術や法術が発動できるから。」

「効率や用途が不満なら自分の求めに合う発動体を探せって事ですね。」

「そのとおりよ、それに発動体は複数個を同時に使っても効果が重複するからそれも覚えておきなさい。じゃあ実際に魔術や法術を使ってみましょう。」

 ベレニスさんに促されて発動体を腕に巻いた。

 そこからはベレニスさんが目の前で見せてくれる魔術を真似ていった。

 基本の六元素だと言う火、風、水、土、光、闇の六つを掌の上に生み出す術を順番にやり、うまく生み出せるようになると板状の障壁を生み出す法術を教えてくれた。

 俺の展開する障壁が安定した強度を持ってくると、俺とベレニスさんは交互に相手が展開する障壁に向けて魔術で生み出した各属性を球状にしてぶつける訓練を昼前まで続けた。


火魔術スキルを取得した

風魔術スキルを取得した

水魔術スキルを取得した

土魔術スキルを取得した

光魔術スキルを取得した

闇魔術スキルを取得した

元素魔術スキルを取得した

火魔術スキル、風魔術スキル、水魔術スキル、土魔術スキル、光魔術スキル、闇魔術スキルは元素魔術スキルに格納されます

障壁法術スキルを取得した


「ここまでにしましょう。光と闇の球もちゃんと魔物には攻撃力を発揮するから覚えておきなさい。それから発動体は頑丈だから防具の下に仕込んでおけばまず壊れる事はないから。ここからは今教えた魔術や法術を基本に覚えたい魔術や法術のラーニングアーツを身に着けて、それをスキルに鍛えていけばいいわ。後はスキルを得た後ね。」

 ベレニスさんはそう言うがスキルはもう取得してしまっている。

 スキルの取得が終わっていることは明かせないが何とか理由をつけて後の事も聞き出そう。

「ベレニスさん、俺の成長は早いらしいですから二度手間にならないよう、後の事も今教えて貰っていいですか?」

「そうね、確かに今の訓練でも上達は早かったわね。・・・いいわ、特別に教えてあげる。」

「有難う御座います。」

「礼はいいわよ。スキルを覚えた後は簡単だから。魔術や法術アーツを身に着けてアーツを使う時と使わない時の差異をきちんと実感する事だから。」

「具体的にどう違うんですか?」

「アーツを使うとマナやプラーナを余分に使うけどその分威力や発動速度が上がるわ、使わなければ威力や発動速度は下がるけど自由度は上がるわ、弾体の数や形状なんかを弄れるわね。」

「今疑問に思ったんですけど自分に合う設定をアーツ化って出来たりしますか?」

「出来るわよ。武技アーツを教わる時に聞かなかった?」

 俺は頷く

「武技アーツについても同じなんだけど、具体的にどう動くか、どういう物を発生させるか決めて型を作るの。その型に名前を付けて名前を思い浮かべながら何度も型を繰り返すと自然と付けた名のアーツになるのよ。他にも今聞きたいことがある?」

「ベレニスさんは杖を使ってますけど俺も用意した方がいいですか?」

「魔法戦士を目指してくれるなら余りお勧め出来ないわね。魔術師や法術師が使ってる杖って発動体としての機能だけじゃなく魔法の制御補助やプラーナとマナを杖に備蓄して置ける機能なんかが在るんだけど、杖に直接攻撃を受けると溜めて置いたプラーナやマナが散っちゃうの。だから近接戦闘で杖は十分に機能を発揮できない上壊れやすいから打撃武器としても使えないのよ。近接武器と魔法を併用する戦闘スタイルに杖は合わないと思うから取り敢えずは必要ないと思うわよ。まだ他にもある?」

「いえ、ありません。」

「ならこれであたしの訓練は終わるわ。でも疑問に思う事が出来たらあたしやゲオルに何時でも聞きに来なさい。じゃあ魔法戦士を目指して頑張ってね。」

「有難う御座います。」

「最後に発動体の値段は5000ヘルクだからね。」

「・・・カードからお金を出すんで受付まで一緒に来てください。」

 訓練場から受付まで移動し5000ヘルクを支払ってベレニスさんとは別れた。

 

 そのままギルドの酒場で昼食をとり資料保管室に向かった。

 俺以外誰もいないのを確認してスタグスさんにこの街が置かれている状況を尋ねると快く話してくれた。

 スタグスさんが話してくれた事を要約するとこうだ。

 此処コリレスの町やゼス教団の本部がある街などを支配下に治めていた国がゼス教団を強権的に弾圧し始めた。

 ゼス教団は弾圧に反発しこの国と戦争になるが勝利し国を教団の直轄領にした。

 敗北した国から逃げ出した王家や大貴族の生き残りは東ヴァルノムで結ばれていた連合条約を盾に奪われた国の奪還を周辺国に要請する。

 周辺国は大義名分を得て今は教団の直轄領になっている土地をある程度は自国に取り込めると考え連合軍を組んで攻め込んだ。

 だが連合軍は教団の戦士たちの返り討ちにあい、逆に幾つかの国が滅ぼされ教団の直轄領になった。

 生き残った国々は連合条約を結んでいる遠方の国々まで救援を要請したが、そもそもの教団への弾圧を非難している国もあり足並みを揃えることが出来ず、現状は前線の軍を維持するのに精一杯になっている。

 一方ゼス教団の方も直轄領が急拡大したため戦力不足に陥り今は戦力の確保に専念している。

 そういう情勢の中コリレスの街はゼス教団が統治しているそうだ。


 スタグスさんの話を聞いて俺や千葉さんに片桐君は、魔物退治ではなく戦争に勝つための人材として召喚されたんだろうと思えてくる。

 三か月の訓練期間が終わればいきなり戦場に出て人を殺せと言われる事もありうると考えておいた方がいいだろう。

 まだ先の事は見通せないがどんな事に巻き込まれても生きていけるように効率よく強くなることは続けていこう。

 そのためにはアーツも必要になって来る。

 丁度いい機会なのでスタグスさんに資料保管室内の資料やアーツブックを自由に読んでいいか尋ねてみた。

 スタグスさんは構わないと答えてくれたが、ラーニングアーツの多重使用の危険性をもう一度注意され部屋からの退出時に本の持ち出しがないか調べると言われた。


 スタグスさんの許可が出たので早速資料保管室内を物色しこれはと思うラーニングアーツやアーツをリストアップしていく。

 その中からまずプラーナ操作とマナ操作のアーツブックを読み、試し使いをしてスキルを取得した。


プラーナ操作アーツを取得した

プラーナ操作アーツはプラーナ操作スキルに上書きされます

気鎧術スキルを取得した

気鎧スキル、プラーナ操作スキルは気鎧術スキルに格納されます

マナ操作アーツを取得した

マナ操作アーツはマナ操作スキルに上書きされます

魔装術スキルを取得した

魔装衣スキル、マナ操作スキルは魔装術スキルに格納されます


 試し使いまで終ったところで夕方になったのでスタグスさんに挨拶をして資料保管室を出た。

 ギルドから教会に戻り食事をして風呂に入り部屋に戻った。


お読み頂き有難う御座います。

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