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魔物と悪意 2

 出入り口の門を潜り地上への階段を上がる。

 今日は昨日の倍以上の15匹のゴブリンを狩ったがレベルは1しか上がらなかった。

 昨日は7匹で2レベル上がり、鑑定で調べたゴブリンのレベルが1〜3の一層目ではさらにレベルは上がりにくくなるだろう。

 一層でのゴブリンとの戦闘は作業の様に感じ始めているし、早く強くなるためにも明日からは二層まで下りることにしよう。

 そう考えを纏めながら迷宮からギルドまで歩いて中に入った。


 ギルドの中は昨日より混雑していて素材の買取の順番が来るまで少し待たされた。

 俺の順番が来て買い取ってもらった素材の総額は5250ヘルクになり、このうち3000ヘルクをギルドへの返済に充て、昨日の分と合わせてギルドへの借金を完済した。

 偶然買取の対応をしてくれたアレイネさんは覚醒石に触ったばかりの新人がギルドに登録してから1週間足らずで登録時の借金を返済したことを驚いていた。

 アレイネさんにお礼を言って受付から資料保管室に行く。

 中に居たスタグスさんに頼んで二層の地図を出して貰い1000ヘルクで買った。

 スタグスさんにお礼を言ってそのままギルドを出る。

 教会に戻ってくるといつもより遅い時間だったので今日は先に風呂に入ることにした。

 俺担当の騎士に訳を言って部屋に戻り装備を外して風呂に入る。

 風呂から上がった後は部屋に戻り剣と剣帯を着けて食堂に行った。

 

 トレイを受け取り席に着いたところで、片桐君がセフィネアさんと彼担当の騎士を連れて食堂に入ってきた。

 向こうもこちらを見つけたようで、食事を始めていた俺の向かいの席にトレイを置いて片桐君は座った。

「お久しぶりです上條さん。4日ぶりくらいですかね?」

「ああそうだな、片桐君はあれから毎日迷宮に入っているの?」

「ええ、でも食事をしてお風呂に入った後に上條さんの言っていた迷宮ギルドでここの言葉の読み書きやアーツブックを読んでます。アーツブックの事は誰かに聞きました?」

「ああ、俺も最低限のラーニングアーツを身に着けて昨日から迷宮に入っている。」

「そうなんですか。」

 それから片桐君が夢中になって喋り始めた自身の迷宮での武勇譚を聞きながら片桐君を鑑定してみた。


片桐 勇樹 Lv3

クラス 勇者 Lv3

筋力 31

耐力 15

知性 31

精神 15

敏捷 15

感性 18

アビリティ

勇者の器

勇者の魔力

絆の力

スキル

5個


 片桐君がパーティーで魔物をどれだけの数倒したのかは分からないが、5日迷宮に入ってレベル3なら2日でレベル4になった俺も十分チートなんだろう。

 俺自身、隠し事が上手いとはお世辞にも言えない。

 ある程度俺のアビリティの能力が悟られるのは覚悟しておいた方がいいだろう。

 知られてもいいもの、絶対に隠し通すものの線引きをきちんと考えておこう。

 俺の食事が終わったところで片桐君の武勇譚を終わりにして貰い席を立った。

 話に夢中になりまだ食事が終わってない片桐君をセフィネアさんが急かしているのを横目に食堂を出た。

 

 部屋に戻り剣帯を外してベッドに座った。

 今日はこのまま眠らず先ほど考えたどこまでアビリティを知られても仕方ないか考えておこう。

 ゲオルさんやアレイネさんの反応から見て効率よく強くなろうとすれば、俺のアビリティ超越者の器による成長の速さは隠しようが無いだろう。

 ならばこの事が指摘された時はラーニングアーツもすぐにスキルになっていると明かしアーツを覚えていく理由にしよう。

 後の二つのアビリティについては今のところ自分で喋らなければ気づかれそうにない。

 明かさなければ自身が危うくなる事態に巻き込まれでもしない限り秘密にして行こう。

 そう方針を決めたら眠気がしてきたのでそのままベッドで横になった。


 朝日で目を覚まし、食事をして朝の訓練を終わらせる。

 昼食を買い、今日からは迷宮の二層まで下りてゴブリンを狩るので地図があるか確認して迷宮への階段を下りた。

 門を通りゴブリンに合わないよう万物の透視眼を使い地図を見ながら二層への階段を目指し部屋を通り抜けて行く所に差し掛かった。

 部屋の入口辺りに討伐者だろう男が一人立っていてこちらを凝視してくるが、それ以上何かをしてくる様子は無かったので横を通り過ぎた。

 そのまま俺が部屋の中程まで進むと先ほどの男が閉めろと声を出し、出口の方にも仲間が居たようで両方の扉が閉められた。

 扉が閉まると同時に強い瘴気を感じたのでそちらを向くと、それまで狩ったゴブリンより明らかに格上と分かる剣と盾を装備したゴブリンがそこに居た。

 アビリティ万色の魔眼は発動中の魔眼を入れ替えると1時間再入れ換え出来ないが、躊躇うことなく万物の透視眼を万象の鑑定眼に切り替え、このゴブリンを鑑定した。


ゴブリンファイター Lv6

筋力 24

耐力 24

知性 6

精神 6

敏捷 12

感性 12

アビリティ

なし

スキル

2個


 鑑定が終わるのを待っていたかのように剣を構えて走ってくるゴブリンにこちらも構えを取る。

 このゴブリンの力量を実感するため振るってくる剣を盾で受け止め、こちらも剣の一撃を放った。

 受け止めたこのゴブリンの攻撃は一層で戦ったほかのゴブリンの比ではなく、 ゴブリンはこちらの攻撃をあとずさりしながらも体勢を崩さず盾で受け切った。

 二撃目、三撃目と打ち合い分かったことは、能力値では俺が上だがゴブリンの方がはるかに戦い慣れている、総じて戦いは互角の展開になると感じたことだ。

 この予感は当たり10合以上打ち合ってもお互いに決定打を相手に決められなかった。

 戦闘時間が長引くほど経験の少ない俺の方に致命的な事故が起きやすいだろし、実戦の中で試すいい機会だと思い切り札を切る事にした。


「限界突破」


 キーワードの呼称でアビリティが発動しプラーナとマナが全身にみなぎる力と置き換わり続ける。

 俺の持つアビリティ限界突破のもう一つの能力はアビリティ名の呼称で発動し、プラーナとマナを消費し続けるが発動中は能力値、スキル、アーツが限界を超えて強化されるというものだ。

 実際使ってみた実感では1,5倍から2倍くらいの間に強化されている。

 限界突破は結構消費がきつく勝負に出る事にした。

 ゴブリンと間合いを一気に詰め、十分な溜めなく放たれた剣を盾で弾くと、初めてゴブリンの体勢が崩れた。

 間髪を入れず気鎧と魔装衣を多重発動し放ったアーツ一閃は、左肩から右脇腹に掛けてゴブリンを一刀両断にした。

 両断された傷口から濁った霧を吹きだして地面に転がったゴブリンの体は、魔核石と1本の剣を残して跡形もなく消えた。


 予想外の威力に暫く呆然としたがプラーナとマナが減っていく感覚に慌ててアビリティを切る。

 それと同時に力が漲る感じがしたので確認するとレベル6になっていた。

 一つ大きく息を吐き床に落ちている魔核石と剣を回収し、二層へと続く扉の方に近づいて行く。

 扉を閉めた連中と連戦になるかと思っていたが俺が近づいていくと、扉の向こうの気配が遠ざかっていく。

 集中して足音や気配を追おうとするが


気配探知スキルを取得した

聞き耳スキルを取得した

気配探知スキル、聞き耳スキルは感覚強化術スキルに格納されます


すぐに感じ取れなくなる。

 扉を開け辺りを見回しても誰もいなくなっていた。


お読み頂き有難う御座います。

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