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鉱山の街で 2

 一夜明けて身支度を整え宿の人の確認してみたがノルトレン司祭からの連絡はなく、予定通り鉱山へ潜る事にした。

 宿を出ると昨日ギルドで聞いた通り街の中を進み出入り口を警備員にカードを見せて光魔術で灯りを取り坑道へ足を踏み入れる。

 魔眼を使っている姿を見られて不審に思われないよう入口から十分距離を取って足を止めた。

「ティア、リゼラ、精霊の場の方向を教えてくれるか?」

「はい、セイジ様」

「任せて」

 少しの間集中し2人がそろって指差してくれる方へ魔眼を向け岩盤を見通すのに多少てこずるが精霊の場はそう時間をかけずに見つけた。

 だがそこからが大変で坑道が複雑に入り組んでおり簡単には精霊の場までルートを見付けだせそうにない。

 これは時間がかかってもきちんとした地図を作っておくほうが良さそうだ。

「みんな、ここの坑道かなり入り組んでいるみたいだから悪いがしばらく地図作りに集中する。周囲の警戒と寄って来る魔物の排除を頼む」

 頷いてくれるみんなの気配を感じてポーチから紙とペンを取り出した。

 そこそこに頻度で近づいてくるカーズドエレメントやアイアンゴーレムをみんなが仕留める音を聞きながらあとで困らないよう丁寧に地図を作っていく。

 1時間近くかかってやっとここから精霊の場までルートを見付けだせ地図に書き起こせた。

「ごめん、時間がかかった。ここからは俺が先頭に立つからついてきてくれ」

 この1時間の様子から魔物の密度は高そうなのでペンをしまい腰の剣を抜いて見つけたルート上を歩き出した。


 後ろの警戒はみんなに任せ俺は進路上に現れるカーズドエレメントやアイアンゴーレムを始末していく。

 時折地図や魔眼で進路を確認し先頭を歩いているとまたゴーレムが進路に割り込んでくる。

 ただ単純な鈍色じゃなく多少縞があるのが気になるが核の位置は感じるのでいつも通りに鎧装纏を剣に纏わせ間合いを詰めて突きを入れた。

 ここまでと同じように一撃で核を貫けると思ったが剣先が5cmほど刺さったところで突きが止まりカウンター気味に振り込まれる拳を何とかかわして間合いの外へ出る。

 装甲の手応えがアイアンゴーレムとまるで違ったので鑑定眼を向けてみるとダマスカスゴーレムという別の奴だった。

 自分の不注意に少し呆れるが装甲を刺したあの手応えからして突きの威力を増せば今度は行けそうだ。

 鎧装纏を維持したまま炎刃を上乗せしダマスカスゴーレムが踏み込んでくるのに合わせて俺も間合いを詰める。

 撃ち込まれてくる拳を躱し体勢の崩れたダマスカスゴーレムの核へ炎刃瞬突を放つ。

 今度は剣の根元まで貫通し目の前の人型をした魔物は崩れ1つの魔核石と鉱石の山に変わった。

 一つ息をつき剣を鞘に納めると後ろから声を掛けられた。

「大丈夫?主様」

「ああ、心配ない。ファナ。惰性で確認せずアイアンゴーレムかと思ってしかけたらダマスカスゴーレムっていう上位種だったみたいだ。気をつけないとな」

「旦那様、今倒したのがダマスカスゴーレムって本当ですか?」

「本当だぞ。魔眼で確認したから間違いないと思う」

 問いかけてきたミラに答えてやると俺の前にある鉱石の山に飛びついた。

「うわー本当にダマスカスの鉱石です。ミスリルと合金にしたら鉄との物よりもっといい物が作れますよ」

「剣の更新があるしちょうどいい物を手に入れたな。アイアンゴーレムの鉱石と混ざらないよう保管しておこう」

 頷いたミラが自分のポーチにダマスカスの鉱石を仕舞うのを待って移動を再開した。


 ダマスカスゴーレムを片付けてからは気を引き締め直し多少オーバーキル気味だが攻撃の威力を上げて確実に魔物を排除して進んで行く。

 きちんと魔眼で地図を作ったおかげで迷わず進めたがギルドで多いと言われただけあって頻繁に魔物と遭遇した。

 その都度確実にしとめ大体体感時間で夕方頃完全武装の影エルフ数人と行き合った。

「そこで止まれ。人間がこの先に何の用がある?」

 地図を作る時も姿を見ていたし硬い声の感じからして彼らが精霊の場の警備だろう。

「これでも一応精霊と契約で来てな。ここの精霊とも契約出来るか試させてもらいに来た。証拠はこれだ」

 数メートル離れて立っている影エルフ達に見えるよう掌の上に火精霊を召喚して見せると納得の声を共に雰囲気が軟化した。

「確かに挑戦する資格はあるようだな」

「それならここを通して貰っていいか?」

「ああ、精霊の場まで案内する。ついて来い」

 数人いた影エルフの一人が先導してくれその後をついて行く。

 5分ほど歩いて先導の影エルフが足を止めた先には中々の広さのホールがあり内部に闇を抱えた天井から地面まである巨大水晶が鎮座していて、その周囲を精霊の光球が舞っていた。

 影エルフを追い抜きホールの中に足を踏み入れると俺にティアとリゼラの前に闇の精霊が舞いおり契約できたがミラの前にも精霊の光球が舞い降りる。

 その光球は金属の精霊と見えミラと上手く契約出来ているようなので全員の前から光球が去るのを待って声を掛けた。

「ミラ、土の精霊とは契約できなかったのか?」

「えっと、わたしには今の子しか見えなかったんですけど」

「そうか。俺達も金属の精霊とは契約できなかったし、ドワーフだけが契約できるのかもな。ま、これで目的も達成したし引き上げるとするか」

 みんな頷いてくれてホールを出ようとすると付添いの影エルフから声を掛けてきた。

「お前達、厚かましいかもしれないが地上へ戻るなら俺達の内誰かを連れて行ってくれないか?少額になるが報酬も払おう」

「まあ別にかまわないが、理由を聞いて良いか?」

「理由は単純に魔物が増えた所為でここと地上の行き来が今難しくなってるからだ。カーズドエレメントは精霊の力を借りればどうとでもなるがゴーレムの相手が厳しくてな」

 連れて帰るだけなら転移で簡単に実行可能だから報酬のただ取りみたいなもんだ。

 それに今聞いた原因だともう一つ恩を売れそうなので押し売りして代わりに便宜を図ってもらうとしよう。

「そういう事ならこの坑道でゴーレム狩りをしようか?まあ代わりに頼みたい事があるんだが」

「・・・一応要求を聞こう」

「少し広めの空き部屋を貸してほしいんだ。うちのドワーフにちょっと工作をしてもらいたくてな。勿論部屋代は払わせてもらう」

「その程度ならお安い御用だ。交渉成立だな」

 影エルフの方から手を差しだしてくれがっちり握手した。

 一旦他の影エルフ達の元まで戻り俺達の先導をしてくれた奴が他の皆に取引の事を話し俺達と一緒に地上へ戻る者が決まるのを待つ。

 多少揉めるかと思ったがすんなりと地上へ戻る一人が決まり、遅くとも2〜3日中の再訪を約束して転移法術を発動した。

 30秒程で全員坑道の入口付近の地上へ戻り連れてきた者が少し驚いていたが早く仲間へ報告に行きたいというのでここで別れる事にした。

 明日の朝ギルドでの合流を確認して俺達も宿へ引き上げた。



お読み頂きありがとうございます。

以降の更新は不定期になります。すみません。

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