鉱山の街で 1
ノルトレン司祭と従者に身柄を譲った3人の討伐者や俺達と総勢11人で転移を繰り返しながらシュクラからアミオンへ街道を進んで行く。
俺、ティア、アリアの三人でローテーションを組んで転移法術を使用し人数が多いため一回の距離を短くしその分使用回数を増やして対応した。
十数度の転移を繰り返し昼前にアミオンの郊外まで着くとそこからは歩きに切り替える。
少し先にある門を目指して歩いているとノルトレン司祭の方から話し仕掛けて来た。
「アミオンに入ってからだが、私は従者達を連れて真っ直ぐ鉱山ギルドへ向かう。セイジ達には帰りの足を頼みたいが調査が終わるまでは自由にして構わないぞ」
「調査の手伝いはいいんですか?司祭様の後ろに立って圧力をかける位ならやらせてもらいますよ」
「それは身柄を引きうけた討伐者達に任せる。調査が済んだら声を掛けるから連絡がつくようにしておけ」
「分かりました。宿を決めたら従者の方にそれを知らせておきます」
「そうしておいてくれ」
頷いたノルトレン司祭が歩く速度を上げ一行の先頭に出て、アミオンの門衛に身分を明かして開かれた門を全員潜った。
離れていくノルトレン司祭一行を見送り宿を紹介してもらうため門衛に場所を教えてもらったギルドへ向かいながらリゼラの方を向いた。
「そういえばここの鉱山にも精霊の場があるんだよな?」
「ええ、そのはずよ。確か闇と土の精霊と契約出来ると聞いてるわ」
「闇の精霊との契約はまだだから、折角自由時間をもらったしその精霊の場まで行ってみるか?」
リゼラとティアだけでなく残りの皆に視線を向けてもためらわず頷いてくれるので異存は無さそうだ。
聞いた場所にちゃんとあったギルドに入り受付の男性に宿を紹介してもらってから精霊の場について聞いてみると表情が少し曇った。
「精霊の場について聞いたら不味かったか?」
「いや、あんたの言う通り坑道に中に精霊の場はあるし、具体的な場所は教えられないがエルフが仲間にいるんなら少々迷っても辿り着けるだろう。この街に暮らしてる影エルフが交替で警備をしてるがそれもお仲間がいるんなら精霊の場に入ろうとしても文句は言わない筈だ。ただ今は坑道自体に問題があってな。魔境化してるのは元々なんだがカーズドエレメントやアイアン系を中心としたゴーレムたちの数が増えて来てきてるんだ」
「カーズドエレメントは確かに厄介だが、アイアンゴーレムもそうなのか?あいつらを倒せば下手に壁を掘るより楽に鉱石が手に入りそうだけどな」
「確かにお前さんの言う通りアイアンゴーレムから取れる鉱石は中々の質だし、それを獲物にしてる討伐者もそこそこの数この村で暮らしてる。ただ例の魔境の氾濫でゴーレムを討てる討伐者達の大半が村を離れてるんだ。楽にカーズドエレメントやアイアンゴーレムを討てないようじゃ坑道に入っても逃げ返ってくるだけだと思ってな」
「なるほどな、まあそこら辺の魔物なら1対1でも十分仕留められる。それでも注意して坑道には入ってみるよ。忠告感謝する」
「だったらアイアンゴーレムの鉱石を出来るだけでいいんでギルドへ納めてくれないか?多少なら色をつけて買い取るかよ」
「分かった。覚えとく」
受付の男に礼を言ってギルドを辞した。
宿へ向けて歩きながらギルドで話していて閃いた事を聞いてみる。
「なあ、ミラ。今は時間がなくてミラが前に打った剣を使わせてもらってるけど、新しく作る剣ってミスリルの合金にするって言ってたよな、鉄も使うのか?」
「はい、そのつもりですよ」
「だったら鉱山から取れる普通の鉄鉱石とアイアンゴーレムの鉱石のどっちを使った方が良い物が作れる?」
「そうですね、ミスリルゴーレムの鉱石を使いますからアイアンゴーレムの鉱石の方が相性がいいかもしれません」
「それなら剣に使う鉱石も精霊の場に行くついでに集めてみるか。どうせアイアンゴーレムを仕留める事になるだろうし上質なやつを剣に使って残りはギルドへ売り払えばいいな。ノルトレン司祭の自由にしていいって言ってくれてるし精霊との契約が済んだら改めて一振り頼むよ」
「はい、お任せください」
笑顔のミラに頷き返して宿屋への足を速めた。
街に残っている討伐者が少ないという話は間違いないようで紹介された宿屋では6人で泊まれる大部屋を簡単に貸し切れた。
みんなには休んでもらい俺は捕捉眼を使ってノルトレン司祭を見つけ従者の人の所まで足を運んで宿泊する宿を伝えると俺も休む事にした。
お読み頂きありがとうございます。