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追跡 9

 自然と目が覚め客間の窓越しに外を見るとまだ薄暗かった。

 昨日はポーションを何瓶も飲みながらかなりのプラーナとマナを消費した疲労で早く休んだせいか目が覚めるのも早かったようだ。

 二度寝しようかと思ったが疲労感や眠気が綺麗に晴れていたのでベッドから起き上がると、俺が起きたのに気付いたようでみんなもベッドから体を起こし始める。

 御屋敷の使用人達にも俺達が起き出したのが伝わっていたようで、丁度服を着替え終えた所でお茶を持って来てくれた。

 そのお茶を飲み終えるとすぐに食堂へ案内してくれ、美味しい朝食を振舞ってくれた。

 食後客間に引き上げ装備を身に着けてエントランスに出ると執事さんが待っていてくれ、最初の報酬の白金貨と手紙の輸送料だと思う金貨5枚を手渡してくれる。

 別れの挨拶を交わすとミルネ教会に案内してくれるという使用人さんと共に御屋敷を後にした。


 朝の活気でにぎわう街の中を使用人さんの先導で進んで行く。

 シェイドのミルネ教会は街の中央部に立っていたようですぐに教会の前に着き、警備をしていた人と顔つなぎをして貰って使用人さんと別れの挨拶を交わした。

 使用人さんを見送って警備の人にデルス司祭との面会を頼んで待っているとデルス司祭の方から出向いてきてくれた

「無事、トガン閣下の依頼を果たしたようだな。」

「はい、何とか。それでデルス司祭からの依頼に復帰しようと思います。俺達はこれからどうすればいいですか?」

「私とアリアをミラルテまで送って貰いたい。アリアにも声を掛けて準備をしてくるのでここで待っていて欲しい。」

「分かりました。お待ちしています。」

 デルス司祭は鷹揚に頷いて教会の中に引き上げていった。

 30分程待つとアリア嬢を連れて戻ってきてくれ二人の荷物をポーチに預かってミルネ教会を後にした。

 今回もデルス司祭を先頭にシェイドの街を進んで行き、司祭のお蔭で比較的簡単に街を出ると転移での移動を始めた。


 三回目の転移でミラルテのミルネ教会の中庭に直接移動すると、前回と同じように警備の人達に囲まれていた。

 ただ前回と違うのは俺達の顔を覚えてくれていたようですぐに包囲を解いて歓待してくれ、デルス司祭とアリア嬢の姿を認めると安堵したような表情で教会中へ知らせに走ってくれる。

 デルス司祭が警備の人へ不在中の確認をしていると数名の神官さんが中庭に出て来て色々な話し合いが始まってしまったので、アリア嬢と共に応接室で待っているよう指示されてしまった。

 仕方ないのでアリア嬢の先導で応接室へ通して貰い暫く待っていると手に小袋を持ってデルス司祭が部屋に入ってくる。

 小袋を俺の前におき向かいに座るとデルス司祭が切り出した。

「それが今回の依頼料だ。少ないと思うがそれで我慢してくれ。」

「検めさせて貰います。」

 デルス司祭が頷いてくれたのを確認して小袋を開けると金貨が5枚入っていた。

 今回のシェイド行きでは他に15万ヘルク稼いでいるのでこれ以上欲張る必要は無いだろう。

「これで十分です。これで依頼の清算は終わりだと思いますが、最後にアリア嬢の従属状態をどうすればいいかご指示を頂けますか?」

 俺の質問にデルス司祭は目を閉じて暫く沈黙し厳しい表情になって俺を見た。

「その事についてなんだが私から頼みがある、幾つか条件を飲んで貰う事になるがその上でアリアを君が連れて行ってくれないか?」

 突拍子もない話なのでデルス司祭注視すると厳しい表情のままでいたって真剣そのもので、嘘を言っているようには見えない。

「すみません。即決できるお話じゃないので訳をおしえて頂けますか?」

「分かった。実は教団の上層部からアリアへ殉教するようにと指示が下った。詳しい訳は教団の恥になるので明かせないが端的に言うと教団上層部の面子のためだ。ただそれでは余りに無体なので面子を保つ別の案を上層部にねじ込んで認めさせた。ただその案でもアリアは教団を去らねばいけないので従属の対象で腕利きの討伐者でもある君が連れて行って欲しい。どうだろうか?」

「幾つか確認させてください。アリア嬢を連れて行くとしてこれまで通りにミルネ教会を利用させて貰えますか?後は教団が追手を出すなんて事になりませんか?」

「それは心配ない。君が条件を飲んで連れて行ってくれた場合アリアは行方不明の上推定死亡として捜索はされない約束になっている。後死んだ事にする人間の教会利用の禁止を態々触れ回るような無駄な事はせんよ。ついでに飲んで貰う条件を言うと、アリアが聖女であると他者へ口外しない、今回の誘拐事件の事も口外しない、アリアが迷宮ギルドのカードを取得する時最初のクラスを聖女以外に設定する、以上が全ての条件だ。君の判断を聞かせてれくれないか?」

 この話を受ければミルネ教団との間に潜在的は対立要因が出来てしまうが、そのリスクを負ってでもアリア嬢には手に入れる価値がある。

「条件は分かりました。アリア嬢を連れて行く事にします。勿論条件は順守するつもりですが制約法術などでの宣誓が必要ですか?」

 俺の答えにデルス司祭は短く息を吐き表情を緩めて首を振ってくれた。

「確かにそうしろと言われた方もいたが適当にはぐらかしておくから気にしなくていい、ただ条件を破ると教団上層部が黙らせるため強硬策に出る可能性が出てくる。その事はよく覚えておいてくれ。」

「肝に銘じておきます。あとミラルテに滞在中こちらのアーツブックを使わせて頂けますか?」

「許可を得ている一般討伐者の利用を制限するつもりはない。ただ上層部へのアリバイ作りもあるから近日中にアリアのカードを作って見せに来てくれ。」

 俺が頷くとデルス司祭はアリア嬢の方へ向き頭を下げた。

「お前には不遇を強いる事になってしまい、本当にすまない。」

 デルス司祭が頭を上げるのを待ってアリア嬢が口を開く。

「頭をお上げください、司祭様のお蔭で殉教を強いられずに済み、前途有望な討伐者の方に囲って頂けるのです、本当に感謝致します。」

「そうか。」

 アリア嬢が頭を下げるとデルス司祭はそうつぶやき、アリア嬢が頭を上げると俺に向き直った。

 デルス司祭は不在中の仕事が溜まっているそうで、俺の用事も他にはないので一緒に外へ出て別れの挨拶を交わし応接室の前を離れた。

 アリア嬢達が暮らしていた部屋を訪れ彼女の私物を俺のポーチに回収してから外へ向かう。

 門を潜った所でアリア嬢は振り返り教会へ深々と一礼して俺達の方へ向き直ると清々しい笑顔を浮かべてくれた。


 早速アリアのカードを作っておきたいが、その前に色々と秘密を明かしておく必要があるので人目を気にせず話すため宿へ向かう。

 扉を潜って中に入り女将に話かけると約束通り以前の部屋は押さえておいてくれていた。

 ただパーティーメンバーが増えたのでもう一つ大きな部屋に移れるか聞いてみたが、生憎空いている大きな部屋は無かったので以前の部屋に引き上げた。

 全員部屋に入ると遮音結界を展開しアリアと向き合った。

「アリアにも討伐者として働いて貰うつもりだから、カードを作っておきたいんだけどその前に幾つか話しておきたい。まず待遇だけどティア達の同じようにパーティーメンバー兼愛人として扱うから。」

「はい、色々と至らない所もあると思いますが、精一杯がんばります。」

 俺へそう答えた後アリアはファナ達へ向き直り

「よろしくお願いします」

と一礼した。

「こちらこそよろしくお願いします。」

「よろしく。」

「よろしくね。」

 ティア、ファナ、リゼラと三者三様の歓迎の言葉を返すとアリアもはいと頷いた。

「じゃあ、次はアリアの解放されているクラスを教えてくれるか?」

「聖女に魔術師と法術師の三つです。」

 ティア達より一つ少ないがこの組み合わせなら少し鍛えれば魔法使いのクラスが解放されるだろう。

「なら魔術師を最初にして、聖女と法術師も一緒に設定してみてくれるか?」

 俺の指示にアリアも半信半疑という感じだったが頷いてくれ、両手を胸に当てて目を閉じた。

 そして前の三人と同じように驚きの表情を浮かべて俺を見上げてきた。

「出来ました。もしかして御主人様の御力ですか?」

「ああ、そのとおりだが俺の事はそう呼ぶのか?」

「ティアさん達が別々の呼び方をしていたので私も考えてみたんですが。ダメでしたか?」

「いや、俺の呼び名位好きに読んでくれていいよ。それから俺にはアリア達を見つけた高度な探索能力があるんだけど、設定の事と併せて秘密にして欲しい。」

「はい、肝に銘じておきます。」

「よろしく頼む。さて、これで最初に伝えておきたい事は全部話したから、カードの取得やアリアの装備を整えに行こう。」

 俺の提案に四人共頷いてくれ、結界を解除して部屋を出た。


 最初に入ったギルドでアリアのカードを発行して貰うついでに、すっかり忘れていたファナのランクDへの昇格手続きも済ませて貰う。

 新しく発行して貰ったアリアのカードのクラスの欄が魔術師になっているのを確認してギルドを出ると、間に昼食を挟みながらアリアの杖や発動体にローブや短剣といった装備を買いそろえる。

 次にデジレさんの工房へ立ち寄りアリアの亜空間ポーチを注文すると、久しぶりに銭湯へ入り生活魔術とはまた違ったさっぱりした気分で宿へ戻った。

 宿の食堂で夕食を取ると部屋へ引き上げ、遮音結界と通常の結界を多重展開してまずアリアから相手をして貰う。

 風呂に入ったお蔭だろうアリアから香る体臭で火が点いてしまい初めてのようだったアリアをつい貪ってしまった。

 一回楽しませて貰いやっと多少理性が戻ってきた所でアリアから奉仕をしたいといってきた。

 多少の罪悪感の埋め合わせに頼んでみると、知識も司る女神の聖女は伽の事にも詳しいようで行為自体は拙いがそれでもいろいろ楽しませてくれ気持ちよく搾り取ってくれた。

 ただ他の子達もこの様子を見ていたようで続く三人からもたっぷり搾り取られて気持ちよく干物にされ、ベッドの関係でアリアを抱き枕に眠りに落ちた。






お読み頂き有難う御座います。

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