日常
“いやー参った。
俺は何をしたいんだろう。
このままの生活で過ごしていたらどういう未来が待っているのかな。
そう思わないか?みんな!
って誰に向けて言ってんだろなー。
こうやって先を考えてる俺は偉いのかな。
今の若者は、その場を楽しめばそれでいいていう風潮だし。こうやって真剣に考えるだけで良しとしようか。今日は。
いや、今日も、か。”
大学三年となり、周りは就活を始めていた。
みんなは未来の安泰に、又は更なる人生のステップアップを目指し、動き出している。
そのことをいつもは見過ごしていたが、この時はそれに目を逸らせず、また坂本は始めた。
“なんだよ俺の周りの若者はしっかりしているじゃねーか。”
“いやいやお前がさっき言ってた若者は大学二年までの若者で、三年からはしっかり先のことを考えているんじゃねーの?”
“なんだよ、んじゃあ俺は本当に底辺な奴だな。ますます惨めになってきたわ。”
“まぁ気にするな。お前はまだ自分の天職を探す期間が長いってだけだよ。逆にいいことじゃんね、それだけ選ぶのに時間かけられるってことは”
“なんだよお前さっきからうるせーな。もういい一人にしてくれ”
いつも坂本はこうであった。自分で一人二役を演じ、自分の中で対話をする。
それはただ現実を見ないで自分の中で葛藤し、その一人劇を行い、今の自分の現状に対して紛らわしているだけなのである。
ただ自分から動けだせない、何をすればいいかわからない。自分を正当化するために必死だった。
朝起きてからいつもの一人劇をしていた坂本は、一限の授業をまた欠席した。これで三回目だ。
これがまた坂本を苦しめる原因の一つだったが、もう自分が自分の首を閉めている状態を理解していたのか、この日は何も考えず午後からの授業に向け身支度を始めた。