《昔の話》色々あって落ちかけた件
タイトル通り昔の話、魔王に捕まってから数日後くらいの話
「うっふっふーコンゴルド、だぁいすきっ」
魔王に拘束されて2日、四六時中寝るとき以外のほとんどの時間愛を囁かれ続け、オレの心は早くも壊れかけていた……
オレの育った故郷の更に一部の者が使っていたとされる言語、オンドゥル語で言うならばオデノココロバボドボドダ!
「ねぇコンゴルド」
「…………あ……なんだ?」
「結婚式、いつにする?」
「……ああ……そう……だな……」
誤魔化せども答えない。絶対に答えるものか……ひたすらにダメ男を演じ続ければ、こいつだっていずれ……
「コンゴルド、あなたがダメな男を演じていようとも無駄。私はあなたの冒険を知っている……あなたが私の討伐に出た理由から、冒険で出会った仲間、そして別れ……みんな知ってる。だから」
「…………お前、プライバシーって言葉知ってるか?」
呆れながらも少し怒りながらぼそりと呟く。
人には知られたくないことの一つや二つある。しかもこいつの言う限りではおそらく『あの事』も……
「知ってる。だから、触れられたくないような事は一切触れないけどそれ以外の行動は基本的に誉める」
「それもどうかと思うが……まあ、ありがと」
「じゃあ、踊り子の娘に告白したら実は男だった件は」
「やめろディア……折角忘れかけてたのに思い出させるな」
くっ、ってなりそうなくらいのまないた胸だったけどまさか男だとは普通は思わないだろ!? あいつらは気付いてたみたいだけど、それにしても止めろよ! 仲間として止めてくれよ……
……いや、あいつらは仲間じゃなかったか……伝承や漫画とかでよくいる、一緒に付いてくるけど何もしない奴とか状況を引っ掻き回して面白がる奴、そういう奴らだったな……
「どうしたのコンゴルド?」
「いや……つくづく仲間には恵まれないな、と」
「わたし、仲間?」
「…………立場的には色々とおかしいけど仲間だろ、一応」
「コンゴルド…………嬉しい」
そう言ってディアは豊満な胸をオレの右腕に……
「HA☆NA☆SE」
「やだ」
「HA……がぁぁぁぁぁぁ!」
ヤバいヤバい、ディアの胸ヤバい。すげぇ気持ちいい。オレも男だから冒険中は色々あったよ? タイミング良く妨害されてまだ童貞だけど。
でも気持ちいい事はいっぱいされたよ? それなりにしたよ?
でもな……なんつーか格が違うっていうか……じゃあ今までの『ぱふぱふ』はなんだったんだっていうレベルの気持ちよさ
何言ってるかいまいち分かんないと思うが、気持ち良すぎて自分でもよく考えずに言ってるからすまん。
つまり何が言いたいかっつーと……
「左腕……気持ちいいナリィ……」
あまりの快感に言葉がうまく出てこない。こんなに気持ちいいなら……俺、魔王を倒したくなくなっちま……左腕?
「どうかしらぁ、勇者のコンゴルドさん?」
左腕の方を見ればどこかディアに似たお姉さんが俺の腕にしがみついていた。右腕にはディアがいるけど、すげぇ驚いてるような
「ま、ママ……! どうしてここに……!」
「あ……ママって…………ディアの母……ってマジで!?」
淫魔とかそういった類はあまり歳を取らないとかそんな話を聞いたことがあるけど……いくらなんでも若過ぎた。そもそも一児の母とすら思えない若さなのに魔王の母親とは……若さってなんだっけ? 振り向かないことだっけ?
「はじめましてかしら、勇者コンゴルドさん? わたくしは魔皇リリス、この子の母親よ」
「…………随分とお若いですね」
「あら、お世辞かしら?」
「いえいえ、ディアの母上とは思えないくらいの若さですねと」
はい屈しました、はいオレこと勇者コンゴルド、魔皇リリスさんに屈しましたー
「努力の成果かしらね、うふふ」
「…………ママ」
「なにかしら?」
「コンゴルドはわたしのもの」
「いつオレがお前のになった?」
「まあ、いつのまにそこまで」
「2人揃って……人の話を聞け」
素でツッコミしたが仕方がないというか……リリスさんもディアと同類だから無意識のうちにやってしまった。
「勇者と魔王が一緒になって跡を継ぐんですもの、魔界の未来は安泰ね」
「「覇」?」
勝手に将来設計を捏造した挙げ句勝利宣言をしたリリスさんに対して、問答無用で威圧的な声で聞き返す。
「あら? じゃあわたくしの夫になるかしら? ただし……腹上死する覚悟があるのならですけど」
「そもそもなんでオレを」
「好きになったからよ、わたくしの傀儡として……婿養子として」
「…………勘弁してくれよ」
天井を仰ぎ見ながら呟く……
とどのつまり、リリスさんはディアをサポートするつもりなのだろう。己の為に……そしてディアは……まあ、もはや何も言うまい。どうしようもねぇな、この包囲網……
……よし、今日は寝よう。つかれたからもう休む……どうにでもなれ……
「コンゴルド、話はまだ」
「……明日にしてくれ」
難しく考えるのはやめた。生きるも死ぬもこいつら次第なのだ。オレはただ与えられた役目を果たすだけにしよう。時々だが。
(別に嘘予告を回収したわけじゃ)ないです