勇者の件が行方不明な剣
勇者の剣の名前ですが、聖剣カドケウスです(あとがきとまえがきでの後付け)
「なあディア」
1つ気になることがあったんで、朝食の時に思い切ってディアに聞いてみることにした。
「なに? 私のスリーサイズなら触診で」
「そんなセクハラ紛いの質問なんてしたくねぇよ! てか、そもそもお前に関する質問じゃ」
「じゃあなに?」
つい数瞬前までスパゲティという麺料理を巻いていたフォークを突きつけられた。真っ赤なソースの掛かったスパゲティが巻かれたまま。
何かおかしい気もするが、別段驚くことではない。いつものディアだった。
「聞きたいのはオレの剣の行方だよ! オレの! 聖剣! カドケウス!」
「ママにけんじょ……プレゼントした」
「カドケウスぅぅぅぅぅぅぅ!」
七皇の剣2本分に相当する、聖なる金鎚と聖水を用いて、聖地にて鍛え上げられた伝説級のレアな武器だったんだぞ!
魔王と単騎で戦いに行くからってわざわざ大司教の元まで土下座してまで売ってもらったこの世に数えるほどしかない聖剣なんだぞ!
それを親にプレゼントするなんてこいつ人間じゃねぇ! 魔王だ! ……って魔王か
「……あ、そういえばお前がいつも使ってる包丁……いつ使い始めたんだ?」
「あなたが来てだいたい1ヶ月経った頃から」
「……ちょっと嫌な予感がしてきたから更に聞くが……お前の母親、リリスさんに荷物送るとしたら片道どれくらいかかんの?」
「1週間」
出会った日に没収された。そして直後に送ったとしたらタイムラグなしで二週間、そして……剣を溶かして包丁に鍛え上げるのに、二週間あれば十分。
…………アハハ、まさかな……
「ママが手紙でいってたけど、『自分の剣の辿ったえぐくてえげつない末路を見せれば、魔界の皇帝の私に逆らわないでしょう? もし逆らったら、それで脅しなさい』って」
「上等だよリリスさんめコンチクショウ! 喧嘩の時間だコラァ!」
「!?」
この後滅茶苦茶惨敗して、生きているのが不思議なくらい酷い目に遭った。
リリス「あらあら……まだ叛逆する勇気があるのね、コンゴルドさん」
コンゴルド「や、やめ」
この後、無茶苦茶SMした