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ヤンデレ魔王が勇者に手料理を振る舞ってた件

魔王城:見た目は普通(ファンタジー風)の城だが中身は魔王のかけた魔法により、勇者の部屋や魔王の部屋を除いて不思議なダンジョンと化しています。100亥回迷える城として魔王城に攻めに来る自称勇者(魔王ディア談)及び配下の悪魔には非常に不評

魔王ディアボロス(年齢不詳):見た目は16歳程度の紅眼黒髪の少女だが、真の姿、もしくは最終進化形態が有るかは不明

ディアボロスという名前が本名かどうかは不明だが勇者コンゴルドにはディアと呼んでほしいと言っているため、本名の可能性は高い。

勇者コンゴルドを病的なまでに愛している理由も不明

勇者コンゴルド(19):見た目は十人並みでイマイチぱっとしない地味な青年だが、剣の腕は確からしく故郷の極東地区では時の将軍をして「剣の腕において右に出る者無し」といわしめた強者だが、魔王にはまるで歯が立たなかった。しかし、一応とはいえ聖剣カドケウスに選ばれた身ではあるから勇者に相応しい人物ではないかと人間界魔界問わず噂されているが真偽の程は不明。

――魔都新聞より一部抜粋

「おはようコンゴルド……ご飯にする? お風呂にする? それとも……わ・た・し?」

 朝起きたら、吐息がかかりそうな至近距離に、妙ちくりんな格好をしたディアがいた。どんな寝起きドッキリだ。いいドッキリで感動的だからやめろディアエル。

「なあディア……なんだその格好」

 どれだけ変な格好かと言えば……エプロン姿だった。

 ただし、エプロンを除けば一糸纏わぬ……つまり裸エプロン、全裸+エプロン、荒ぶるZ様の服装+エプロンだ。

 多分今のオレは鳩が豆鉄砲食らったか、親友の怨敵がその親友にデレデレしていたのを見たような、マヌケな顔をしていると思う。それだけ唖然としていたから。

「興奮、した?」

「ドン引きした」

 流石に裸エプロンはねぇわ。二次元じゃあるまいし……

「……なんだか刺したい衝動に襲われた」

「そうかそうか、でもやめてくれ」

 数日前に刺されたばかりだから、そう何度も刺されたくはない。

「そういえば……私の手料理、食べて?」

 そういってエプロンの腹部のポケットから取り出したるは……

「バ○ルスライムか?」

 そう形容せざるを得ない、緑色の毒々しい液体の入った両手鍋を取り出した。

 そんな(エプロンに)入らないよぉ///というワケ分からんボケは締め切ったし、エプロンのどこに入れてたというツッコミも同じく締め切った。悪魔に対してそんな質量保存の法則に関するツッコミは無意味だ。

「……なんだこれ?」

「あなたの故郷、ジャパニカにも伝わってたと思うんだけど……カリーの一種、グリーンカリー」

 ……どうしようかこの毒物めいたカリーらしきもの……食べなかったら刺されそうだわ、食べても死にそうだわで……

 ……味を見てみてみるだけにしよう、そうしよう。そう熱くなるなオレ、たかだか味見だけだ。

 ということにし、ディアに視線を送り……ディアはオレの視線で言いたいことを察してくれたのかオレの部屋にバブルスラ○ムカリーを置いて食堂へと向かった。

 ……何度見直しても毒のような色合いだな、これ……

 食べ物かどうかと聞かれれば半分が否と答えるような……

 オレの答え? もし仮に毒に変わっていたとしてもギリギリ食べ物だ。無意識のうちに毒が入っててもそれは食べられない毒入りの料理じゃなくて食べられる(未来が保証されているとは言っていない)毒入りの料理だ。

 ディアは……まあ、薬はたまに入れたりはするが、そこそこ旨い料理を作ってくれているし、そしてなにより……

 魔王ディア勇者オレの事を真の意味で愛しているし。

 そんな、魔王に知られたら取り返しのつかないことを考えていると、オレの寝室――ディアとしては夫婦の寝室の方がよかったらしいが、そこは一時的に妥協をしてもらった――の扉が開いた。

「コンゴルド……スプーンで『あーん』ってしてほしい? それとも……あつあつのを手で食べる?」

「……なんだその二択」

 あーんってしてもらう:言わずもがな。バカップルじゃあるまいし

 手で食べる:火傷した手をディアがペロペロ、そして食べ終わったらディアがペロペロ

 ……あれ、なんだこの二者択一……どっちもあんまり変わりないんだが……

「…………スプーンで頼む」

「9本でいい?」

「1本でいい。てか、なんで9本も使うんだよ」

「……伝説の謙虚な騎士が言っていた。助けたお礼に10枚の革をくれると相手が言ってきたなら謙虚に9枚でいいと言うべき」

「それ全然謙虚じゃないよな?」

 本当に謙虚であるならば、「お礼はいい」もしくは1枚でいいっていうべきじゃないのか?

 反論出来なかったのか、無言でバブルスライ○カリーを皿に盛るディア……更に盛るディア……更に更に豪華特典と言わんばかりに盛るディア……ダークチャージと言わんばかりに――

「やめろディア」

 皿から溢れ出しそうになっても更に盛ろうとするディアを手で制す。

 ディアは不服そうな顔をしたけど、気を取り直してスプーンで更の……皿のカリーをとり……

「はい、あーん」

 口を強引にこじ開けられ、避ける隙もなく○ブルスライムカリーはオレの口の中にシューットされ……オレは意識を失った。


ディア「このあと無茶苦茶」

コンゴルド「三途渡りした! やったのは三途の川渡りだ!」

ディア「しょぼーん」

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