件名:魔王覚醒
サブタイ……ネタ切れとかじゃないデスヨ?(震え)
「ディア……」
眠っているディアには届かないと分かっているのに、言葉を届けようとする。
……とんだ夢見がちな勇者だな、オレは……いや、希望的観測が過ぎる、といった方が正しいか……
勇者になろうとしたキッカケだって、悪人と組んでいる悪魔の王を……魔王を倒せばいいんだって子供心に思って……世の中そんなにうまくいくハズがないのに、あの時はそんな勘違いをして……
|あの時(・ ・ ・)だって……オレがあの村の村長を信じてしまったばっかりに彼女は……
「コン…………コルド……?」
「……ディア?」
ついさっきまで眠っていたディアが目を覚ました……
……正直なところ、かなり嬉しい。嬉しいのだが……
「…………外は……戦いは」
「…………っ、休んでろ、ディア」
「……でも」
「ディアっ!」
魔王として、人の上に立つものとしてすぐ側で起こっている戦いを無視するわけにはいかないのだろう。
だけど、オレだって病み上がりのディアに無茶させたくはないのだ……
「…………コンコルドの言いたいことは分かる。コンコルドの気持ちも……でも、わたしにも譲れない事はある」
「…………」
「…………」
「…………駄目だ。けど……」
「…………」
「理由を聞かせてくれ、ディア」
ディアがオレの言葉を頑なに無視しようとする理由、だいたい分からなくもないが……
「……民の上に立つべき王として、侵略者が攻めてくるのをただじっと見守っているワケにはいかない。しかも……悪魔だけでは太刀打ち出来ない相手なら、なおさら……だからコンコルド」
「分かった」
「一緒にたたか……え?」
「流石に今のお前の言葉を……覚悟を聞いて、断れるほどオレは腐り切ってねえよ」
……いや、そもそも腐ってすらいない……よな?
「コンコルド……」
「…………勘違いすんなよ、主に魔界の為に戦うんだからな……お前の為にも戦うけど」
そう言った直後、ノックなしに寝室のドアが開き、一人の女が入ってきた。
「素晴らしいツンデレでしたよ〜コンコルドさん。明後日の一面は決まりです〜」
「…………ミクヤ? どうしてこっちに?」
『ディア、儂が』
「ディア様のお父上に〜あ、アルカード様にですね〜招かれました〜」
いつものようにディア父が酷い扱いを受けている。が、今はミクヤが来た理由の方が重要だ。もしも、万が一取材目的だったらその時は……
「……目的は?」
「あ〜取材と〜それに助言のためですね〜」
「助言?」
「ええ!」
「………………」
「………………」
「………………」
「……なんか言え! 助言があるなら言えよ!」
「ん〜ん〜こほん……吸血鬼の力が半分もあれば現実をも浸食出来るんじゃないですか? ……というもう一人のわたくしからの助言でした〜帰りましょ〜アルカード様」
そんなことを言い残して、ミクヤは帰って行った……
「…………ディア、あいつの言ってたこと……」
「……分かった。今思えば、何故思いつかなかったのかおかしい程に……単純な事だった……」
「…………?」
「行こう、コンコルド……2人で」
「……ああ、分かった」